メロン割り
6
さて、こいつをどうするか……。
キッチンに置かれたこのメロン。……どうしてくれよう。
ここには…………安全に包丁を握れる人材がいない!!
噛み跡と、あちこちぶつかったメロンを眺めていると、二人がやって来て言った。
「メロン……食べるの?ルンが切る!!」
そう言ってルンが包丁を出そうとした。包丁のありか、もうチェック済みかよ!
「いやいや、無理だ!怖い怖い!包丁怖いからっ!」
「じゃ、メロン割りする?」
え…………?メロン割りって何ですか?それってもしかして、よく砂浜とかでやる…………みんなでよってたかって果物叩くやつですか?
多分、二人の手の届く場所にあるメロンならそう高くはないはず。財布の中身もさほど減ってない。
でも…………スイカ割りはありだけど…………メロン割りは無しだ!!
「メロンって割れる?」
「さ、さぁ?やった事ないからわからないな……。」
「やってみよっか!」
そう言って二人はゴルフクラブでメロンを叩こうとしていた。
「ちょっと待て~!そのゴルフクラブはどこから持って来た?」
「クローゼットの奥。」
「それ借り物。止めて……。メロン叩こうとするの止めて……。」
何だか……この二人、この数時間で俺より家の中詳しくなってるんじゃないか?家の中は、二人の出したよくわからん物が出て散らかっていた。
明日片付けるか……。今日はもう風呂に入って寝よう。この姿で風呂は大変なんだよな……。
「服を脱げ!風呂にはいるぞ!」
二人はピザで服が汚れていた。洗濯も必要だな。
「えーやだ~!」
「もう眠いよ……。」
俺は頭で二人を押して、何とか脱衣場まで行かせた。
洗濯機をなんとか開けたい!俺が洗濯機の蓋をカリカリしていると、ポロが言った。
「洗濯機、開けたいの?」
「開けられるか?」
「うん!」
ポロに洗濯機を開けてもらった。
「お洗濯?ルン、洗剤入れる!」
「じゃ、そこの洗剤一個入れて。」
ルンはジェルボールを1つ洗濯機に入れた。
「さて、洗濯する服がないな……。」
俺がそう言うと、二人はあっという間に服を脱いで洗濯機に入れた。風呂から出たら最後にタオルを入れてスイッチを押そう。
「紅葉、一緒に入ろ!体洗ってあげるよ!」
え…………マジ?
それはありがたいけど…………
ありがたいけど…………
「ぎゃー!!耳に水かけるの止めてー!!顔に向けてシャワー止めてー!!」
「きゃ~!あははははは!」
動物の耳に水はダメ!ダメ絶対!!
「紅葉、肩まで浸かって。二人で100まで数えるから。」
いや、俺の肩どこよ?まぁ、いいか。
三人でのんびり湯船に浸かっていると…………
「誰?」
「え?は?」
「ルン、これがきっと本物の紅葉だよ!」
え…………?本物?
「あ…………!!」
自分の手を見ると、人間に戻っていた。
「やった~!人間に戻った!!戻ったぞ~!」
何故か二人も喜んでいた。
「やったぁ~!紅葉戻った~!」
「戻った?ワンちゃん、紅葉だったの?」
ポロ…………やっぱり犬だと思ってたんだな……。
風呂から上がると…………困った。
着替え…………子供服がない。
まぁいいか。適当に自分の服を着せておこう。Tシャツを二人にそれぞれ着せた。
「ぶかぶか~!」
「明日着替えを買いに行く。それまで我慢しろ。」
「着替え、あるよ?」
え…………?
「早く言えよ!」
二人は自分のリュックから着替えを出して着ていた。
これでやっと寝られる……。と思ってベッドに寝ていたら…………ぐぇっ!!重っ!!背中に乗られた。
「紅葉~!歯磨き~!歯磨き忘れた~!」
「ふぇ~ん!虫歯になっちゃうよぉ~!」
「わかった!わかったから!」
歯ブラシの買い置き…………確か洗面所の棚に……
洗面所の棚を探して、寝室に戻ってみると…………二人は寝ていた。
おい!!…………まぁいいか。結局歯ブラシなかったし……。やっと休める……。




