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メロン割り



さて、こいつをどうするか……。


キッチンに置かれたこのメロン。……どうしてくれよう。


ここには…………安全に包丁を握れる人材がいない!!


噛み跡と、あちこちぶつかったメロンを眺めていると、二人がやって来て言った。


「メロン……食べるの?ルンが切る!!」

そう言ってルンが包丁を出そうとした。包丁のありか、もうチェック済みかよ!

「いやいや、無理だ!怖い怖い!包丁怖いからっ!」

「じゃ、メロン割りする?」

え…………?メロン割りって何ですか?それってもしかして、よく砂浜とかでやる…………みんなでよってたかって果物叩くやつですか?


多分、二人の手の届く場所にあるメロンならそう高くはないはず。財布の中身もさほど減ってない。

でも…………スイカ割りはありだけど…………メロン割りは無しだ!!

「メロンって割れる?」

「さ、さぁ?やった事ないからわからないな……。」

「やってみよっか!」


そう言って二人はゴルフクラブでメロンを叩こうとしていた。

「ちょっと待て~!そのゴルフクラブはどこから持って来た?」

「クローゼットの奥。」

「それ借り物。止めて……。メロン叩こうとするの止めて……。」

何だか……この二人、この数時間で俺より家の中詳しくなってるんじゃないか?家の中は、二人の出したよくわからん物が出て散らかっていた。


明日片付けるか……。今日はもう風呂に入って寝よう。この姿で風呂は大変なんだよな……。

「服を脱げ!風呂にはいるぞ!」

二人はピザで服が汚れていた。洗濯も必要だな。

「えーやだ~!」

「もう眠いよ……。」

俺は頭で二人を押して、何とか脱衣場まで行かせた。


洗濯機をなんとか開けたい!俺が洗濯機の蓋をカリカリしていると、ポロが言った。

「洗濯機、開けたいの?」

「開けられるか?」

「うん!」

ポロに洗濯機を開けてもらった。

「お洗濯?ルン、洗剤入れる!」

「じゃ、そこの洗剤一個入れて。」

ルンはジェルボールを1つ洗濯機に入れた。

「さて、洗濯する服がないな……。」


俺がそう言うと、二人はあっという間に服を脱いで洗濯機に入れた。風呂から出たら最後にタオルを入れてスイッチを押そう。


「紅葉、一緒に入ろ!体洗ってあげるよ!」

え…………マジ?


それはありがたいけど…………


ありがたいけど…………


「ぎゃー!!耳に水かけるの止めてー!!顔に向けてシャワー止めてー!!」

「きゃ~!あははははは!」

動物の耳に水はダメ!ダメ絶対!!

「紅葉、肩まで浸かって。二人で100まで数えるから。」

いや、俺の肩どこよ?まぁ、いいか。


三人でのんびり湯船に浸かっていると…………

「誰?」

「え?は?」

「ルン、これがきっと本物の紅葉だよ!」

え…………?本物?


「あ…………!!」


自分の手を見ると、人間に戻っていた。

「やった~!人間に戻った!!戻ったぞ~!」

何故か二人も喜んでいた。

「やったぁ~!紅葉戻った~!」

「戻った?ワンちゃん、紅葉だったの?」

ポロ…………やっぱり犬だと思ってたんだな……。


風呂から上がると…………困った。


着替え…………子供服がない。

まぁいいか。適当に自分の服を着せておこう。Tシャツを二人にそれぞれ着せた。

「ぶかぶか~!」

「明日着替えを買いに行く。それまで我慢しろ。」

「着替え、あるよ?」

え…………?

「早く言えよ!」

二人は自分のリュックから着替えを出して着ていた。


これでやっと寝られる……。と思ってベッドに寝ていたら…………ぐぇっ!!重っ!!背中に乗られた。

「紅葉~!歯磨き~!歯磨き忘れた~!」

「ふぇ~ん!虫歯になっちゃうよぉ~!」

「わかった!わかったから!」

歯ブラシの買い置き…………確か洗面所の棚に……


洗面所の棚を探して、寝室に戻ってみると…………二人は寝ていた。


おい!!…………まぁいいか。結局歯ブラシなかったし……。やっと休める……。


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