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悪魔のおにぎり


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カレーを煮込む間、織部の持って来たチョコレートでおやつにした。

「で、ルンは何で伊沢さんに謝るんだ?」

織部はルンに喧嘩の原因を訊いて来た。

「あーちゃんの悪魔のおにぎりが悪魔過ぎるから。」

「悪魔のおにぎりって何?物騒なおにぎりだな?あ、海苔で真っ黒にしたやつ?」

「違うよ!ご飯に、揚げ玉とだし醤油と青のり入れるおにぎりなの。けどね、あーちゃん、ルンが青のり好きじゃないから、代わりに、おかかと塩昆布を混ぜ混むの。ずるいでしょ?スペシャル過ぎるでしょ?」

それは、葵がルン好みにアレンジしたおにぎりだった。俺にはそのおにぎりに、ゆず胡椒を入れてくれる。

「えーと、じゃあ何?揚げ玉とおかかと塩昆布、だし醤油混ぜ込みおにぎりが悪魔?どこが?」

「悪魔だよ~!絶対美味しくて食べちゃうんだもん!だから最近太って……」

ルンは俺の方を見て涙ぐんだ。いや、だからごめんって……。


すると、織部が言った。

「まぁ、子供の時太ってると、大人になって痩せるって言うだろ?」

「本当!?」

ルンが喜んだ瞬間、さらに織部がボソッと言った。

「まぁ、そのままの奴もいるだろうけど……。」

織部~!フォローするならちゃんとやれ!

「あ、でも、子供の時に肥満細胞増やすと大人になってから太りやすいとか聞くよな~!」

「おい織部!それフォローになってないだろ!?」

俺は織部の腕を噛んだ。

「痛って!やめろ!やめろって里梨!ちょっ!マジで痛いから!何?怒ってんのか?」


すると、織部の声を聞いて葵が二階から降りてきた。

「織部君来てたの?あれ?紅葉君は?」

「え?里梨ならここに……痛て!」

「またどこかに行っちゃったの?もう……」

織部が葵にバラそうとしていたからまた噛みついた。


「こら!紅葉!織部君に噛みついちゃダメでしょ!?」

「あ、そういえば伊沢さん、里梨にプロポーズされた?……あー!痛い!痛いから!」

わかっててやってるよな?え?織部?

「紅葉~!離れなさい!ダメよ!ダメ!メ!!」

あ、葵に怒られるのも悪くなってないかも。


「里梨~!お前手加減して噛んでるんのか~?」

「え?里梨?」

葵がそう言った瞬間…………あ…………バレる……。そう思って、思わず咥えていた織部の足を離した。

「…………あ、あ~!紅葉だから、里梨って呼んでるの?織部君、それじゃ紅葉君と区別つかないよ~?」

あれ?バレてない?あ、危ね~!良かった!バレてない!!まぁ、区別つかなくていいんだけど。同じだから。


「そ、そうそう!紅葉だから、里梨って呼んでるんだ~!里梨、お手!」

くっそ~!犬じゃないのに…………俺は渋々織部の手に前足を置いた。

「凄い!紅葉はお手とか絶対しないのに……。」

ごまかすつもりでお手をしたのに、織部の株が上がるのは納得いかない!


「じゃ、俺そろそろ帰るわ!」

「え?もう?お茶入れるよ?」

「こいつら見てたら、自分の子供をかまってやりたくなったよ。またな里梨!」

そう言って織部は俺の頭を撫でた。犬扱いすんじゃね~!さっさと帰れ!

「え?オリベ、カレー食べて行かないの?」

「もしかして、織部君が子供達とカレー作ってくれたの?」

「あー、ポロに手伝ってって頼まれたから。」

また…………織部の株が上がってしまう!!

「織部君ありがとう!!ルンとポロもありがとう。」

そう言って葵は二人を抱き締めた。え?俺は?!俺は悔しさのあまり転げ回った。本当は俺が子供達と一緒に作って、葵に美味しいって言われたかったのに!!逆に、子供達置いてどっかに行った器の小さい男……そう思われる!俺の株下がりまくり!!今に始まった事じゃないけど!!


織部を見送った後、ルンは葵に謝った。

「あーちゃん、ごめんなさい。」

すると、葵は笑顔で言った。

「いいよ。ルンはそのままでいいからね。」

と、言った後、ルンの口の周りについているチョコレートを見て携帯で検索を始めた。

「子供のダイエット……。」

「え?あーちゃん?」

さっき、そのままでいいって言ったよね?

「あ、なんか心配になっちゃって……。紅葉君の心配性がうつっちゃったのかな?それに、私の努力が足りないのかな?と思って……ダイエット料理、頑張って作るね!」

「…………。」

ルンは呆然としていた。


葵…………!!真面目が裏目に!!散々、ルンはそのままでいいって説得したのに!!

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