表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/105

ミッション


54


「とりあえず、指輪のサイズ測って来いよ!夜、メジャー持って部屋に忍び込むんだよ。」


頭の中では、ミッションインポッシブルのテーマがかかっていた。深夜に、メジャーを持って葵の部屋に来た。


いや、バカか俺は!!指輪のサイズくらい堀田に聞いてもらえばいい事だろ!?何考えてたんだ!?


それは、この前ポロの話をした時の続きの話で…………


「なぁ、織部、数年後に死ぬってわかってて…………プロポーズってしてもいいと思うか?」

「何何~?お前、余命宣告受けちゃった~?」

そんな……好きでもない奴にコクられちゃった~?みたいなノリで言うか?それ。

「多分、5年以内。」

「5年かぁ……。それって絶対なの?」

「わからん。」

5年……いや、一緒に過ごせる時間はもっと短いはずだ。


「それじゃ、余命宣告されてもされなくても同じじゃね?」

は………?

「だって考えてもみろよ里梨、人間いつ死ぬかなんてわかんねーだろ?明日死ぬかもしれねーし。それでも、明日会いたい奴とは約束すればいいんじゃね?」

明日の約束……?


「俺、結婚も明日の約束も変わんねーと思うわ。明日も明後日も、10年後も20年後も側にいて欲しいって、そうゆう約束みたいなもんだろ?まぁ、俺は嫁に、20年後離婚するって言われてるけどな~!」

おいおい!途中までいい事言ってたのに、最後の最後に夢も希望も無いこと言ったな!

「つーかさ、どうせ死ぬから~とか言ってたら誰も結婚しねーよ。」

そりゃそうだ。でも、相手より先に死ぬとわかっていたら…………相手の事を考えたら…………相手の事?葵はどう思っているんだろう……。


「あのさ、一応参考として聞くけど、織部はプロポーズって……どうやった?」

「え?俺…………?覚えてないわ。」

「はぁ?」

本当は言いたくないのか、本当に覚えてないのか……。もし覚えてなかったら…………

「お店のねーちゃんには、俺と結婚するか?って言った記憶あるけどな~!うちの嫁には記憶ね~な~。」

そりゃ……確実、20年待たずに離婚だな。

「あ、悪いけど俺、ダンスとかは無理だからな?」

「はぁ?」

「いや、今時のプロポーズって、突然周りがダンスし始めて、ダンスの後にプロポーズするんだろ?」

それはまた……無茶苦茶な……。本当にそれ一般的なのか?それ、片寄った情報じゃないのか?ダメだ……織部は全然参考にならない。他の人に聞こう。

「まぁ、焦んなよ。里梨、お前最近焦る傾向があるから。焦ると人生楽しめねーぞ?よし、じゃあ、まずは焦らず、ミッションクリア目指すか!」

そう言って織部は俺に自分の結婚指輪を見せて言った。

「とりあえず、指輪のサイズ測って来いよ!メジャー持って。夜、部屋に忍び込むんだよ。」


他人の言った事は鵜呑みにしちゃいけない。


本当にやったのか~!バカだな~!って織部に絶対バカにされる……。


冗談じゃない。冗談じゃないんだよ……。本当は清水の舞台から飛び降りる覚悟で来てるんだよ。起こさないように…………手を…………

「うーん、ルン食べ過ぎだよ~!」

え…………寝言?

「またいなくなるの…………?」

「葵……。」

しばらく息を潜めていると、寝言が止んだ。もう一度チャレンジしようとすると…………葵の寝顔を見たら……何だかこのまま寝かせてやりたいという気持ちになった。


やっぱり無理だ。今日はやめよう。普通に堀田に訊こう。起こさないようにそっと部屋から出ようとすると…………

「紅葉君……?」

えぇええええ!!起きた!?

「なんだ。紅葉か。おいで。お布団入れてあげる。」

え!?えぇええええ!!嘘!?狼になってる!!


俺はせっかくだから、葵の布団に入った。暖かい布団の中に入ると、眠くなった。俺は焦ってばかりだ。こんなにも、暖かい布団の中は幸せなのに……。

「紅葉のお腹の毛……もふもふだねぇ……。」

本当に……俺の腹の毛、睡眠導入効果半端ないわ……。

「おやすみ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ