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戦利品



こうして俺達は、バレーボールより一回り小さい戦利品を持って、家へ帰ろうとした。


「あ、紅葉にも、これあげる。」

「は?」

ルンに、突然、キャラメルを口に突っ込まれた。この甘さ…………懐かしい……。

「一個だけだよ?虫歯になるからね。」

まったく…………どっちが世話焼かれてるのかわからなくなってきたな……。


に、しても、キャラメルって食べづらい。ヨダレが出る。


「あれ?みたらし団子足りない…………?」

スーパーの前に出ていた出店の店員がそう言っているのが聞こえた。なんか…………嫌な予感……。


「帰ろう!今すぐ帰るぞ!!」

そう言うと、俺は走り出した。しかし…………

「重いよぉ~!ルン、手伝ってよ~!」

「待って!ポロのキャラメルも開けてあげる。」

「ありがとう。」

何のんびりしてんだよ!こっちは急いでるんだよ!!疑われる前に逃げないと……!

「あ……!」

ポロがキャラメルに気を取られていると、ビニール袋の中のメロンが転がった。俺はそのメロンを咥えて二人を置いて走った。

「あ!待ってよ~!」


足…………遅っ!!スーパーの前から離れてしばらくすると、ポロの足が止まった。

「疲れちゃった。僕、もう歩けない。」

えぇえええええ!!ど、どうすればいいんだ?

「ポロ、キャラメルで元気出して。」

「だって一個だけだって……。」

「いいよ、いいよ。それでもいいよ。」

何だ?それ……おまじないか?ルンはもう1つ、ポロの口にキャラメルを入れた。

「……ありがとう。」

ポロは涙を拭きながら、キャラメルを食べた。


そりゃそうだ。結局ろくな食事をしていない。力が出なくて当然だ。開き直ってあそこの出店で団子でも買って食べさせれば良かった……。


「紅葉、メロンそのまま食べちゃ駄目だよ?」

食わねぇよ!メロン丸ごと、丸飲みにできると思ってんのか?狼なんだと思ってるんだよ?


俺は、メロンを地面に置いて言った。

「メロン持て。少し背中に乗せてやる。少しだからな?」

「いいの?やったぁ!」

おいおい、急に元気じゃねぇか!さっきのは何だったんだよ……。


「ルンも~!」

え?二人とも!?


幼児推定約20㎏×2+メロン800g=約40.8㎏


乗っけてみたものの…………ものの?もののけ?あれ?これ、俺、あの映画に出て来る山犬の図じゃね?いや、俺あんなにでかくないし!多分、あってもセントバーナードぐらいじゃ…………いや、だから俺犬じゃないし!

「せめて交代でお願いします……。」

「はーい!」

片方がメロンを持って乗って、片方が支えながら歩く。それを20数える間歩いて、その都度乗り手と支えを交代して歩いた。大人が10分で歩ける距離を一時間かけて帰って来た。


疲れた……。家についたら、急に脱力感が襲って来た。もう、食事はピザでも注文しよう……。携帯、携帯……。そう思って携帯まで、はいずり進んでいたら……俺の目の前に、二人がやって来た。

「紅葉!これ、紅葉の分だよ!」

そう言って、ポロは缶詰めを1つ差し出した。

「俺の分…………?」

何だか…………涙が出そうだった。子供二人だけで心細かったろうに、俺の事まで気にしてくれて…………


涙ぐみながら、その缶詰めを見ていると、猫の絵柄がついていた……。ん?これ、猫缶?


違う意味で泣きそう……。


これ、動物の餌……!!いや、100歩譲ってそれは仕方ないとしよう。この身成だ。そこは真っ当な気遣いだ。でもこれ、猫の絵ついてるよ?明らかに猫用だよね?俺、犬よ?いや、犬じゃねーし!

いやいやいや!開けなくていいから!…………ご丁寧に開けて、皿の上に乗せてくれた。


「ほら、紅葉。お腹空いたでしょ?ご飯だよ。」

「紅葉のご飯だけは買えて良かったね!」


もしかして…………俺は普通の食事が食べられないと思って、買い物に出かけたのか?もしかして、俺、飼い主に置いて行かれた可哀想な喋る犬だと思われてる?


「あの…………その…………」

「食べないの?」


猫缶を食べる◀️

猫缶を食べない

キレる


もう一度、猫の餌を見た。

「…………。」


猫缶を食べる

猫缶を食べない◀️

キレる


「俺、動物の食べ物はちょっと……。」

「え…………。」

二人のショックを受けた顔と言ったら…………ポロは泣き出した。

「あぁ!ごめん!ごめんなさい!食べます!食べます!」


俺は思いきって猫缶を食べた。…………うぉっ!生臭っ!…………でも、思ったよりは不味くない。いや、でも不味いよ!全然不味いよ!!

「どお?」

「…………あ、味が薄いかな……。」


もう、泣きそう……。もう、普通に…………ピザ食べたい。


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