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雪かき


44


話があります!!と言われた日の夜は疲れて寝てしまった。今日は、昨日降った雪の雪かきをした。雪かき用の大きなスコップで、雪をどかして道を開けていく。


昨日の雪は結局30センチ以上も積もった。こんなに雪があれば、かまくらが作れそうだな……。ちょっとやってみるか!そう思って庭の1ヶ所に雪を集めた。遠い所にある雪は、倉庫にあった古い子供用のそりに雪を乗せて運んだ。まだ使えそうだ。これ、後で二人と土手でも行って、そり滑りをして遊べるな。


久しぶりの雪かきは、思ったより簡単には進まなかった。単純に力がないのと、やっぱり雪かきはテクニックがいる。慣れている近所の爺さん婆さんの方が、よっぽど進みが早いように思えた。しばらく都会暮らしをしていた身としては、筋肉痛が心配だ。


何とか午前中は表の道までは雪かきができた。裏の畑へ行く道は休憩の後にしよう。裏の様子を見に行くと、裏口のすぐ横に、黄色い花が咲いているのを見つけた。これ、何て名前の花だろう……携帯で調べてみると、ウィンターコスモスという名前らしい。そういえば、初めてここに来た時、ルンからコスモスをもらって、葵にあげた。これも持って行って、部屋に飾ってもらおう。


家に入ると、ルンとポロが突然俺を呼びに来た。

「紅葉!見て!見て!」

「こっち来て!凄いよ!!」

二人の言われるまま、靴を脱いで座敷へ行くと、そこには雛人形が飾られていた。それはまるで、そこだけ春が来たように華やかだった。

「これは…………。」

「紅葉君のお母さんから今朝電話があって、今日は立春だから雛人形、お姉さんのがあるよって言われて出したんだけど…………私もまさかこんなに立派だとは思わなかったよ。」

雛人形は、7段飾りの大きな段飾りだった。田舎の家はスペースがあるから、こうゆうの気合い入れて飾るんだよな……。


「早く出すとお嫁に行けないんじゃなかったっけ?」

「それ逆だよ?早くお嫁に出すって意味で早く出して、早くしまうんだよ?」

ルンが早く嫁に行く……?それは寂しい。

「じゃあ…………ずっと出しておこう。」

俺がそう言うと、葵が笑った。

「あはははは!ルンをお嫁に出したくないの?私みたいに行き遅れたらどうするの?」

それ、なんか笑えねぇっす……。


葵は自爆した。自分で言って自分で凹んでいた。俺はふと、持っていた花に気がついて、葵に差し出した。

「はい。これ。」

葵は頭をあげると行った。

「これ……くれるの?」

「そこら辺に咲いてたやつだけど。」

「ありがとう!冬にお花なんて珍しいね!」

葵は嬉しそうにその花を受け取った。


「ウィンターコスモスって名前らしい。」

「ウィンターコスモス……。そういえば、秋にみんながここに来た時もコスモスもらったよね。何だか私、もらってばっかりだね。」

「俺は葵に色々してもらってばっかりだ。」

二人で少し笑った。

「いいよ。葵にだったら、全部やるよ。俺の持ってるもの全部やりたい。そんな気分だ。」

「何それ……?」


何だろう…………?自分で言ってて、意味不明だ。ただ……それは何だか、プロポーズみたいに聞こえた。

「それ、どうゆう意味?」

「いや、それは……その……。」

困った。思わずそんな言葉が出ただけ。なんて言えなかった。

「…………。」

それ以上何も言えなくて、黙ってしまった。


「あ、せっかくだから、雛人形とお花の写真撮っておこう。携帯携帯。そうだ、紅葉君がいない間に、どんど焼きもやったんだよ?小正月のやつ。」

それ知ってる。狼の姿で一緒にいたから。

「写真見る?」

そう言って葵は携帯の写真を探した。


「あれ?おかしいな~カメラ調子悪かったのかな?ルンとポロ、全然映ってないや。これなんか、何撮ったんだろうね?」

葵に見せられた写真は、どこか違和感があった。玄関の写真……?


そこへ、ルンとポロが来た。

「あーちゃん、お腹空いた~!」

「あ、もうこんな時間!そろそろお昼にしようか。紅葉君も雪かきお疲れ様。すぐお昼にするね。」

「ルンお手伝いする~!」

「僕も!僕も!」

そう言ってみんなで台所へ行った。


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