仲良し
32
夕方、保育園へ迎えに行くと、堀田と織部に会った。二人の子供はルンとポロと同じ保育園に通っていた。
「よぉ!」
何だか二人の様子がおかしいような気がする。そういえば……先生も……。
「よし坊のママだ~!」
「あ、オリベもいる。」
「何で俺だけオリベ?」
それは織部、幼児にナメられてるからだ……。
「二人とも良かったな~あーちゃんとクータンが仲良しで~!」
「は?それどうゆう意味だよ?」
「え?いやさっき、二人が言ってたぞ?紅葉がまた裸であーちゃんと一緒に寝てたって。」
ちょ、ちょ、ちょっと待てー!!
「いや、あれは違うんだよ!」
「何が違うんだよ?やることやってんだな。安心したわ。」
安心すんな!こっちは安心じゃねーわ!!
堀田がため息をついて言った。
「仲良しはいい事だけど、子供にバレないようにしなよ~?」
「いや、だからあれは違うって……」
完全に誤解されてる!!
「なんか羨ましいよね~」
「何だ?堀田ご無沙汰か?」
それ普通にセクハラだぞ?織部……。
「そうゆう事じゃなくて、付き合い初めってなんか幸せだよね~」
「え?今が一番幸せじゃねーの?やっぱり欲求不……」
「織部、テメェのケツの穴埋めてやろうか?あ?」
堀田がキレた。堀田はよし坊を片手で抱きながら、片手で織部の顔を掴んだ。
「オリベ、お尻の穴埋められちゃうの……?」
堀田の言葉を聞いて、子供がドン引いている……。
「堀田、堀田、気持ちはわかるけど、子供の前、子供の前だから!」
堀田は織部の顔を離してにっこり笑顔を作った。
「小次郎平気か?」
「ん?ママも同じようによくパパのお顔掴んでるよ?掴み易いって。」
小次郎……。お前、顔だけじゃなくて、性格もパパに良く似てるな……。
すると、堀田が二人に訊いた。
「妹と弟どっちが欲しい?」
二人は同時に答えた。
「妹!・弟!」
「いやいや、そんなのありえないから!」
ルンのスイッチが入ってしまった。
「えー!欲しい~!サンタさんにお願いする~!!」
「そうだな~!サンタさんにお願いだな~!」
織部……煽るな!!
サンタ…………!?それってもしや、クリスマスに物品を寄付してくれるという、伝説のご老人ですか?サンタは子供までくれるんですか!?怖いわ!!
そうか…………もうすぐクリスマスか…………。そういえば、葵は、年末年始はどうするんだろう?
家に帰ってそれとなく聞いてみた。
「え?年末年始?ここにいちゃダメ?」
「いや、別に構わないけど、実家に帰らなくて大丈夫?」
「…………。」
それ以上…………葵は何も言わなかった。もしや…………実家の事は地雷だったのか?