おつかい
3
俺は…………バカか!?バカなのか!?
食品や日用品が欲しいなら、ネットスーパーがある!!なのに、何故、何故その事に気がつかなかった!?
気がつかず何故…………外に出て来た!?
それは2時間ほど前……
「お前ら、本当の名前は?」
「本当の名前…………?」
二人は顔を見合わせた。すると、女の子のお腹が鳴った。
「…………何の音?」
「腹……減ったのか?」
「うん。」
困った…………。
ここ数日引きこもっていて、ろくな食べ物が無い。出前でも取るか……。と、思っていたら、二人に見つめられた。何……?雛鳥の餌待ち?
「お買い物行く?ルンも行く!」
え…………そっち?
「僕も!僕も行く!」
買い物って……俺がこの姿じゃ……。
二人はソワソワし始めた。これ、買い物……行きたい感じ?
「おつかい…………行くか?」
「行く~!ルン!お買い物行く~!」
「ぼ、僕も!僕も!」
困った…………。
俺、財布と携帯と鍵、持てない。携帯は多分あっても使えない。諦めよう。あとは……。ふと、二人がリュックを背負っている事に気がついた。
「これ……そのリュックに入れてくれないか?」
「いいよ!じゃあ、ルンはお財布。お財布係。ポロは鍵係ね。」
「うん。わかった!」
二人はそれぞれリュックにしまって、靴を履き始めた。
何だろう…………。財布と鍵を持って出かける。そんな当たり前の事が、当たり前にできないなんて…………なんて情けないんだろう……。
こうして俺達三人は近くのスーパーへ向かった。
「道の真ん中を歩くなよ!車が来たら危ない!」
「はーい!」
二人は道路の白線の上を一列に歩いた。
「ポロ、この白い道から落ちたらワニに食われるからね?」
何だ?その設定……。
「なぁ、お前達、本当の名前は?」
「本当は名前?」
また……さっきと同じ反応だった。
「うーん、わかんない!」
「うん、わかんない!」
はぁ?わからない?じゃあ……
「母親の名前は?」
「ママ?ママは、葵。」
葵…………?知らない名前だ。やっぱり人違いか……。
少しホッとしたような……ガッカリしたような……複雑な気持ちになった。