また狼に
25
嘘…………だろ?
何で今さら?このままここに寝ていたら…………狼の姿がバレる!!
あれからしばらく、平穏な生活が続いていた。ルンとポロは保育園へ行くようになり、俺は葵の農業の手伝いと仕事探しに、忙しくしていた。
どうして急に…………?俺は家を出て、とりあえず、その日の晩は使っていない倉庫に隠れて寝た。
昨日までは、あんなに幸せだったのに……。またこんな姿に……。
朝になると、子供達の声が聞こえてきた。
「紅葉~!紅葉~!」
「紅葉~!どこ~!?」
ルンとポロだ!!
「ルン!ポロ!俺はここだ!」
俺が小屋から出ると、二人がこっちにかけ寄って来た。
「紅葉~!良かった!」
「紅葉~!ちょうど良かった!秋の終わりに秋の食べ物総選挙してるの~!紅葉どれがいい?」
いやいやいやいや!!今それどころじゃないから!!良かったって…………俺を見つけた良かったじゃないの?そう思うと、なんか切ないんだけど!
ルンとポロと一緒に家へ帰ろうとすると、葵に見つかった。
「うわっ!大きな犬!ちょっと待って!このワンちゃんどこから来たの?どこから拾って来たの?」
ああっ!やっぱり!!野良犬扱い!!
「ウチではこんなに大きなワンちゃんは飼えないよ!それに、紅葉君にも相談してみないと……。
そう言って葵は山へ行く準備を始めた。
「紅葉君、どこに行っちゃったんだろう……。」
今ここにいます!いますよ~!
「紅葉ならここにいるよ~?」
「え?どこに?」
二人は俺を指差した。葵は俺の方を見て言った。
「やだ…………もしかして…………」
え…………もしかして、俺だってわかってくれたのか??
「もしかして…………もう名前つけちゃったの!?しかも、紅葉君の名前つけるなんて!」
あ、やっぱり……!?ですよね~!
「私、今から紅葉君探して来るから、二人でいい子でお留守番しててね。」
「あーちゃんどこ行くの?」
「紅葉君探して来るから。」
これにはルンとポロも困っていた。
今から山に行くつもりか!?雨も降りそうだ!止めておけ!俺ならここにいる!そう、言おうとしたけど、言葉が出なかった。俺は葵の上着の裾を噛んで引っ張った!
「離して!!きっと……きっと、どこかで何かあったんだ……。紅葉君は……子供を置いて行くような人じゃない……。」
葵…………。