同級生
23
ギャー!カオス!!カオス~!!
俺は4人の子供に揉みくちゃにされていた。
「うわぁ~!や~ら~れ~た~!」
織部……さすが子持ち!やられ方が上手いな!!
「いや~なんか感慨深いわ。里梨の子供とこうして遊べるなんて。お前絶対結婚しないと思ってたし。」
いやいや、織部、俺まだ結婚してないから。
「で、子供連れて戻って来たのはなんで?離婚?嫁に出て行かれた?」
「いや…………それは…………」
大人ばかりか、子供までもがこっちを向いた。全員が、俺の方を興味津々に見ている。
今晩、家に来たのは、高校の同級生、堀田幸、あ、もう岡野か……。そして、これまた高校の同級生の織部亮次。
インターホンを聞いて玄関を開けると、そこには赤ん坊を抱いた堀田がいた。
「こんにちは~!里梨、久しぶり~!」
「え!あ!友達って堀田?久しぶり。」
「お邪魔しまーす。あ、ちょっとこの子持ってて」
え!!えぇええええええ!!
「俺、赤ん坊の抱き方なんてわからないよ!」
「え?だって子供いるんじゃないの?抱いた事ない訳ないじゃん。」
堀田は俺に赤ん坊を差し出した。
「いや、無理だから。」
「首も腰もすわってるし、全然大丈夫っしょ!私、車から荷物取って来て、葵の手伝いしなきゃ。しばらくこの子頼む!」
そう言って、堀田に赤ん坊を渡されてしまった。
「え、あ、ちょっ!」
ど、どうしよう!!どうすればいい?何千万の壺を抱かされてる気分だ……。
「だぁ!あぁっ!」
「喋った!」
「喋ったというより喃語だろうね。ご機嫌だね~よし坊~!じゃ、よろしく~!」
堀田は俺に赤ん坊を渡すと、玄関を出て行った。
「紅葉~!誰か来たの~?」
ルンが目を擦りながら起きて来た。ルンは赤ん坊を見ると驚愕していた!!
「妹!?」
違う違う!!
「ポロ~!大変!!紅葉が子供産んだ!!」
いやいや!俺産めないから!ポロも起きて来て、赤ん坊を見て言った。
「弟!?」
いや、だから……
「こんにちはー!」
俺が赤ん坊を持ちながら困惑していると、玄関から元気な声が聞こえて来た。堀田が荷物を持って、子供と一緒に入って来た。
「ほら、隼人、ちゃんと挨拶。」
「岡野隼人です。」
岡野……堀田、結婚して岡野になったのか。堀田の子はポロより少し大きいくらいの男の子だった。
「ルンです!初めまして!」
「ポロです。よ、よろしく……。」
二人も挨拶をした。
「これが里梨の子供~!パパの高校の同級生の岡野幸です。」
「同級生~!」
ルンとポロはお客さんに何だか浮き立っていた。三人の子供はすぐに仲良くなって遊んでいた。子供はすぐに誰とでも遊べるんだな……。俺は昔からぼっちだったけどな……。
「サチ、やっぱり来てたんだ!」
「里梨、これ、服が無いって聞いたからうちのお下がりで良かったら、部屋着にしてよ。」
うわっ……こんなに?
「悪いな堀田、ありがとう。」
「…………。」
二人は何故か黙った。え?何かおかしい事言ったか?
「え?何?」
「いやぁ…………里梨からそんな爽やかなお礼が聞けると思わなかったよ。」
「それ、どうゆう意味だよ?」
そう言われると、何だか恥ずかしい……。
「私も……最初、何だかビックリした。あの里梨君が、こんなに素直にありがとうって言うから……。」
ちょ、ちょっと、伊沢さんまで……俺の事何だと思ってた?
正直、俺自身驚いている。『ありがとうが』が言えない大人だったのに、今は、何故か素直に『ありがとう』が出て来る。まるで、刺を抜かれたみたいだ。
「子供できて丸くなったんだね~」
「いや、それは……」
ルンとポロが、刺を抜いたのは間違い無い。だけど、未来から来た俺達の子供だとは、口が裂けても言えない。こんな、頭のオカシイ話、誰にも信じてはもらえない。
すると、またインターホンが鳴った。
「あ、織部君だ。」
「え?織部も来るの?」
「ダメだった?」
「いや、堀田だけだと思ってただけ。」
堀田が玄関を開けると、織部も子供を連れてやって来た。
「子供服届けに来た~!里梨!久しぶりだなぁ~!」
織部だ……。久しぶりだ。