表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/105

同級生


23


ギャー!カオス!!カオス~!!

俺は4人の子供に揉みくちゃにされていた。

「うわぁ~!や~ら~れ~た~!」

織部……さすが子持ち!やられ方が上手いな!!

「いや~なんか感慨深いわ。里梨の子供とこうして遊べるなんて。お前絶対結婚しないと思ってたし。」

いやいや、織部、俺まだ結婚してないから。

「で、子供連れて戻って来たのはなんで?離婚?嫁に出て行かれた?」

「いや…………それは…………」

大人ばかりか、子供までもがこっちを向いた。全員が、俺の方を興味津々に見ている。


今晩、家に来たのは、高校の同級生、堀田幸、あ、もう岡野か……。そして、これまた高校の同級生の織部亮次。



インターホンを聞いて玄関を開けると、そこには赤ん坊を抱いた堀田がいた。

「こんにちは~!里梨、久しぶり~!」

「え!あ!友達って堀田?久しぶり。」


「お邪魔しまーす。あ、ちょっとこの子持ってて」

え!!えぇええええええ!!

「俺、赤ん坊の抱き方なんてわからないよ!」

「え?だって子供いるんじゃないの?抱いた事ない訳ないじゃん。」

堀田は俺に赤ん坊を差し出した。

「いや、無理だから。」

「首も腰もすわってるし、全然大丈夫っしょ!私、車から荷物取って来て、葵の手伝いしなきゃ。しばらくこの子頼む!」

そう言って、堀田に赤ん坊を渡されてしまった。

「え、あ、ちょっ!」

ど、どうしよう!!どうすればいい?何千万の壺を抱かされてる気分だ……。

「だぁ!あぁっ!」

「喋った!」

「喋ったというより喃語だろうね。ご機嫌だね~よし坊~!じゃ、よろしく~!」

堀田は俺に赤ん坊を渡すと、玄関を出て行った。


「紅葉~!誰か来たの~?」

ルンが目を擦りながら起きて来た。ルンは赤ん坊を見ると驚愕していた!!

「妹!?」

違う違う!!

「ポロ~!大変!!紅葉が子供産んだ!!」

いやいや!俺産めないから!ポロも起きて来て、赤ん坊を見て言った。

「弟!?」

いや、だから……


「こんにちはー!」

俺が赤ん坊を持ちながら困惑していると、玄関から元気な声が聞こえて来た。堀田が荷物を持って、子供と一緒に入って来た。

「ほら、隼人、ちゃんと挨拶。」

「岡野隼人です。」

岡野……堀田、結婚して岡野になったのか。堀田の子はポロより少し大きいくらいの男の子だった。

「ルンです!初めまして!」

「ポロです。よ、よろしく……。」

二人も挨拶をした。


「これが里梨の子供~!パパの高校の同級生の岡野幸です。」

「同級生~!」

ルンとポロはお客さんに何だか浮き立っていた。三人の子供はすぐに仲良くなって遊んでいた。子供はすぐに誰とでも遊べるんだな……。俺は昔からぼっちだったけどな……。


「サチ、やっぱり来てたんだ!」

「里梨、これ、服が無いって聞いたからうちのお下がりで良かったら、部屋着にしてよ。」

うわっ……こんなに?

「悪いな堀田、ありがとう。」

「…………。」

二人は何故か黙った。え?何かおかしい事言ったか?

「え?何?」

「いやぁ…………里梨からそんな爽やかなお礼が聞けると思わなかったよ。」

「それ、どうゆう意味だよ?」

そう言われると、何だか恥ずかしい……。

「私も……最初、何だかビックリした。あの里梨君が、こんなに素直にありがとうって言うから……。」

ちょ、ちょっと、伊沢さんまで……俺の事何だと思ってた?


正直、俺自身驚いている。『ありがとうが』が言えない大人だったのに、今は、何故か素直に『ありがとう』が出て来る。まるで、刺を抜かれたみたいだ。


「子供できて丸くなったんだね~」

「いや、それは……」

ルンとポロが、刺を抜いたのは間違い無い。だけど、未来から来た俺達の子供だとは、口が裂けても言えない。こんな、頭のオカシイ話、誰にも信じてはもらえない。


すると、またインターホンが鳴った。

「あ、織部君だ。」

「え?織部も来るの?」

「ダメだった?」

「いや、堀田だけだと思ってただけ。」

堀田が玄関を開けると、織部も子供を連れてやって来た。

「子供服届けに来た~!里梨!久しぶりだなぁ~!」

織部だ……。久しぶりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ