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へいたいさん


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よし!荷物よし、ルンとポロよし、俺は…………よくない!!俺はまだ、狼のままだった。


歩いて行くしかないか?電車で二時間の距離を幼児が歩けるか?絶対無理だろ!じゃあ……犬ぞり?いや、それこそ無理だから!


昨日の夜は風呂に入っても、人間には戻らなかった。どうゆうタイミングで人間に戻るのか全くわからない……。仕方がない……ペットタクシーを手配するしかないか……。ペットって……。


そう思っていたら、ルンとポロのひそひそ話が聞こえて来た。本人達はひそひそ話のつもりでも、こっちはバリバリ聞こえる。

「やっとママに会えるね。」

「でも、会ってもママって言っちゃダメだよ?まだママじゃないからね。」

ん…………?それ、どうゆう事?


「お前達のママってどこにいるんだっけ?」

「葵はね、パパの家。」

「パパは誰?」

二人は俺を指差した。

「はぁ?どこ?どこにいんの?」

え…………もしかしてそれって…………


やだなぁ~やだなぁ~なんか感じるな~…………ってやつ!?怖いよ!怖い事言うなよ!!

「まだママじゃないってどうゆう事?」

「紅葉は心が読めるんだ……!」

「いや、フツーに聞こえてたから!」

あれは全然ひそひそ話って言わないから!

「パパとママは同級生だったんだって!」

「同級生?中学?高校?大学?」

二人は顔を見合わせて言った。

「わかんない。」


俺はポロを背中に乗せて、本棚に前足をかけた。

「一番右の大きいやつ2冊取ってくれ。」

卒業アルバムを取り出して来た。中学が高校の同級生なら、この中にいるはずだ。

「ここからママを探してください。どちらが早く見つけられるかな?はい、スタート!」

二人はすぐに卒業アルバムを開いて、探し始めた。


「あった!!見つけた!!」

見つけたのは、高校の卒業アルバムを見ていたルンの方だった。


誰だ…………?


ルンが指差したのは、伊沢 葵……。

伊沢さん…………葵って名前だったんだ……。伊沢さんとは、同じクラスになった事がある。でも、挨拶する程度だった。特に接点もなく、いいなと思っていても、話しかけられなかった。もう一度…………会えるなら会いたい…………。

「紅葉、全然変わらないね~!」

「ほんとだ~!」

そうか?10年以上経ってるんだぞ?さすがに変わってるだろ。

「変わってるかも……。」

ほら!そりゃそうだ!

「この時はまだ服着てたんだね。」

「は…………?服?…………ギャー!!」

何でこのタイミングで人間に戻るんだ?服!服!服着て出掛けるぞ!!


「紅葉、いつも裸だったんだね…………」

ポロ…………そんなに引かなくても!!

「へいたいさん?」

は?兵隊?

「ポロ、それを言うならヘンタイさんだよ!」

いやいや、ルン!そこしっかり訂正しないで!そんな目で見ないで!


「狼の姿で服着てたら逆におかしいだろ?」

「服着てるワンちゃんもいるよ?」

確かになぁ…………って俺は犬じゃない!!


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