閉め出し
12
いない!!いない!!もうすぐ日が暮れるのに!!俺はあちこち探した後、マンションの前に戻って来た。
このまま探す
家で待つ
猫バスを呼ぶ◀️
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って呼べるか!!俺は森に住んで無いんだよ!!中身人間なんだよ!!実際…………俺は何もできない。無能は無価値…………昔の俺ならそう思っていた。本当は今でもそう思ってる。
今の俺は無価値だ……。人間として働く事もできず、ペットとして誰かを癒す事もできない……。なんだ?この絶望感…………。こうゆう時、人は死にたくなるんだな……。
すると、マンションからルンが出て来た。
「紅葉~!私も一緒に探す!!1人じゃできない事も、誰かとならできるんだよね。紅葉となら、きっとポロを見つけられる!」
「ルン…………。」
「紅葉!行こう!!」
…………で、何で背中に乗るの?もしかして、乗りたいだけ?俺、乗り物?まぁいいか。乗り物なら、乗り物としての価値がある。
俺がゆっくり歩き出すと、マンションからポロが走って来た。
「うわぁあああああん!!みんな、置いて行かないで!!」
え…………?ポロ、家にいたの…………!?何で?あんなに探したのに…………
「僕、みんながいなくて、ベランダから外の様子を見たら、ルンの靴下落ちてて…………」
あ…………要はベランダにいたのね。
「わかったわかった。もう日が暮れて寒くなって来る。早く中に入ろう。」
そう言って、マンションの中に入ろうと自動ドアの前に行くと…………鍵、誰か持ってる?
「ルン、鍵は?」
「え?」
嫌な予感…………。そうだよね、誰も持ってないよね…………。
って閉め出されたー!!
どうすんだよ!もう夜は冷えるぞ?俺、野宿やだよ!!
少し落ち着こう。困った……。とりあえず、誰かの出入りを待つしかないか……。
「紅葉~!ポロ、元気になったって!公園行こう!!公園!!」
「いや、病み上がりに公園は……」
そういえば、ポロは人間の姿に戻っていた。治ったのか?
こんな時に限って誰も出入りしない。二人はマンションの前の駐車スペースで遊び始めた。
「きゃ~!あははははは!」
ルンとポロ、二人で楽しそうだな~。公園とかならもっと楽しいだろうな。…………よし、公園に行くか!!
俺達は開き直って、公園へ遊びに行った。二人は、公園で嬉しそうにめいいっぱい遊んでいた。
「紅葉~!見て~!紅葉の葉っぱ落ちてたよ~!」
ポロはそう言って俺の頭に紅葉の葉を乗せた。
「良く知ってるな。」
「ママが教えてくれたんだよ。これはパパの葉だって。」
そっか……ママが……。
向こうは…………多分、俺を知っている。誰なんだ?この二人を産んで、ここまで育てた女は……。
「お腹空いた……。」
ルンが突然、ポツリと言った。そういえば、お昼抜きだった!腹が減って死ぬ事は無いだろうけど……空腹はつらいよな……。ルンは俺の背中に乗ってぐったりしていた。ちょ、ちょ、大丈夫なのか?
「ルン?大丈夫?」
ポロがルンの様子を見て心配していた。
どこかで何か食べるか……近くのファミレス……さすがに幼児二人のご利用は……って財布すらないし!!
ここは、どうにか中に入らないと!!
「マンション戻るぞ。ポロ、歩けるか?ルンを支えてやれ。」
「うん。」
こうして、俺達はまた、マンションに向かった。