いなくなる
11
やっぱり落ちてた……。気付けばもう日が傾いていた。俺はくしゃくしゃのまま乾いた洗濯物を取り込んだ。
あ、ルンにお昼……そろそろお腹空いた~って言う頃だろうな。
「ルン~!昼飯……ルン?」
あれ?どこだ?ポロと一緒に寝てる?トイレか?じゃあクローゼット…………いない。
…………いない!?
ルンがいなくなった!!
中にいないって事は外か?靴は…………無い!!
えぇええええ!!家出!?いや、ポロを置いてそれは考えにくい。買い物?財布…………無い!!とりあえず、鍵だけ持って探しに…………無い!!鍵も無い!!
探しに行く◀️
家で待つ
探しに行く
家で待つ◀️
幼児1人で…………危なくないか?交通事故……それに誘拐とか…………
ダメだ!!こうしてはいられない!!探しに行こう!!
走って、走って、この前来たスーパーまで来た。ルンはどこだ?スーパーの前でうろうろしていると、ルンが出て来た。
「コラ!!ルン!!どうして勝手に出て行くんだよ!!」
俺の大声に…………周りの人間達が固まった。
「え……?今の声、どこから?」
ギャー!!人前で喋っちったー!捕まる!!捕まるー!
「ルン、急いで帰るぞ。背中乗れ!」
俺はルンを背中に乗せて走り出した。
しばらく走って、マンションの前まで来ると、足を止めた。
「……っく……ひっく…………」
ルンが…………背中で泣いていた。俺はルンを降ろすと、ルンの目の前に立った。
「ルン、今回は俺も怒ってる。1人で出掛けたら危ない!1人じゃ何かあっても誰にも助けてもらえない。」
自分で言っていて…………気がついた。
「1人じゃ解決しない事も、誰かとなら解決できる。今はポロがいないんだ。俺はこんな姿で頼りないかもしれないけど……だけど…………」
俺こそが…………誰かに頼るべきだ。こんな事続けられない。実家に預けるなり、施設に預けるなりしないと…………あ、実家!!
そうだ…………実家へ行こう!!
「ポロ…………ポロが…………プリン食べたいって……。」
ルンが泣きながら言った。そうか……。ポロがプリン食べたいって言ったから買いに出かけたんだな。
「ポロが……ポロが…………」
うん…………わかったから。
「…………ママに…………会いたい。」
それは…………ポロが言ったからじゃない。今のはきっと…………ルン自身が思った事だ。ルンだって、母親に会いたくはないはずはない。でも…………会えたとしても……。
「ルン、帰ろう……。ポロが待ってる。」
俺はそう言ってルンを背中に乗せた。
家に帰ると…………何で!?今度はポロがいない。
「ポロ?ポロはどこ?ポロがいない…………うわぁあああん!!」
トイレ?クローゼット?いるわけないだろ!!
誰もいない事に気がついて……外に出たのか?靴がある…………裸足で出て行ったのか?
「ルン、お前は家で待ってろ!」
俺は、ルンを家に残してまた走り出した。