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看病


10


俺達は急いで寝室へ向かった。


いや、まさかそんな…………まさか…………ポロが…………ポロが…………


子犬になるなんて!!


ちょっと待て!!俺の子じゃないんだよね?そうだよね?そうゆう話だったよね?


「1人にしてごめんね……ポロ。寂しかったよね……。」

そう言って、ルンは子犬のポロの頭を撫でた。


どうしよう!!どうしたらいい!?最近こればっかりだな……!


このまま全員狼になったら…………マジで野生に帰るしかなくなる!!いや、ルンとポロは貰い手がいるかも…………でも、犬として貰い手があったとしたら人間としては生きられない!うわぁ~!狼人間ってマジ中途半端!!


待てよ……?自分の親はどうしてたんだろう?正直、自分の親が狼の姿になった所は見た事がない。え…………じゃあ俺もしかして……本当の親子じゃないとか!?……そんな話全然聞いて無いんだけど。普通そうゆうのって大人になったら話されるんじゃないの?


「ママ……。ママ……。」

「ポロ…………。」

ポロがうなされている……。

「なぁ…………お前達の母親はどこにいるんだ?」

「……パパのお家。」


は…………?


それって…………それって…………新しい父親って事ですか!?しばらく俺の所に行けってそうゆう事!?


うわっ……それ、訊いちゃいけなかったやつだ……。


「ママに会いたい……。僕、ママに会いたいよ……。」

ポロがそう言うと、ポロを撫でながらルンが言った。

「ママには…………まだ会えないよ。」

いや、二人には酷かもしれないがこうゆう場合、この先ずっと会えない可能性の方が高い……。


ずっと…………会えない…………


「ごめん……。」

「どうして紅葉が謝るの?」

「いや、それは…………その……」

俺が……母親の事を覚えていないから…………とは言えず……。でも、本当に葵なんて名前の人に覚えがない。


どうにかしなければ……。このままずっと俺がこの状態であれば……確実に二人を育てる事はできない。人間の姿でなければできない事ばかりだ。割れた皿の1枚片付ける事さえできてない。


「ポロ……水飲めるか?ルン、ペットボトル開けられるか?開けて飲ませてやってくれ。」

「うん。」

ルンはペットボトルの蓋を開けてポロの口に突っ込んだ。そしてペットボトルを思いきり縦にした。

「ちょ、ちょっと、もうちょい優しく……。もっとゆっくり!溺れる!ゆっくりじゃないと溺れるから!」

辺りに水が飛び散った。言わんこっちゃない。

「…………。」

「あ、いや、怒ってないから!」


ルンは黙ってポロに水を飲ませていた。

「ルン。もういいよ~お腹たぷたぷだよ~!」

「あ、そうなの?全部飲むかと思った。」

ルン…………お前鬼だな……。


困った……。こいつらには、本当に帰る家がなかった。それよりも…………困るのはそれだけじゃない。一番困るのは病院だ。もし二人に何かあった時に、俺がこの姿のままでは病院へ行けない。

このまま熱が下がらなければ、病院に連れて行きたい。ところだけど…………動物病院へ行って、ポロが人間に戻ったら…………俺は、幼児虐待で捕まるな……。


そもそも、動物が動物の子供を診察してくださいって…………絵本の世界ですか?ファンタジーですか?森のお医者さんに行けって話だよ!


「寒くないか?」

「うん……。」

「もう少し……寝るか?」

「うん……。」


そう言うと、ポロはルンに撫でられながら、また眠りについた。


一応、一番近い小児科と動物病院調べておこう。あと、消化のいい食事……。

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