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木の家

(また内政だ)

(周りを馬鹿っぽくしたら努力してなくても頭が良さそうに見えるから楽よね)

(そゆこと)


 ナーシュは父親に連れられて森の畔の村にやって来た。そこでは住民の誰もが地面で寝ている。

「とうしゃま、どうちてみんなじめんにねてるのでしゅか?」

「どうしてみんなが地面で寝てるかだって? 簡単さ、お家が無いんだ」

「どうちておうちがないんでしゅか?」

「ほら、ここの土はこんなにふわふわしていてレンガにできないんだ。切り出せる石も無くて家を建てる材料が無いんだよ」

 ナーシュにはレンガや石に拘る理由が解らなかった。

「きがありゅんだかりゃ、きをちゅかえばいいのでしゅ」

「何だって? 木を使うのかい?」

 父親は驚いた。

「おい! 誰か木こりを呼べ!」

「はい、木こりでございます」

「おお、木こり。お前は木を家の材料にできるのを知っていたか?」

「何と! 長年木を切って材木にしてまいりましたが、材料にできるとは始めて聞きました」

「ナーシュができると言うのだ。早速やってみよ」

「かしこまりました」

 一旦その場を離れた木こりが柱を戻ってくる。

「できましてございます」

「おお、素晴らしい柱だ!」

 喜んだの束の間、父親の顔が曇る。

「しかしこれでどうやって家を建てるのだ?」

「だいくしゃんにたのめばいいのでしゅ」

「大工!?」

 父親は驚いた。

「おい! 大工を呼べ!」

「はい、大工でございます」

「おお、大工。お前は木で家が建てられると知っていたか?」

「何と! 長年家を建ててまいりましたが、木でできるとは始めて聞きました」

「ナーシュができると言うのだ。早速やってみよ」

「かしこまりました」

 とんてんかん。大工は家を建てた。

「できましてございます」

「おお、素晴らしい家だ!」

「凄い! これで地面で寝なくてもよくなるぞ!」「何て賢いご子息だ!」「ナーシュ様ばんざい!」

 住民は口々にナーシュを讃えた。ナーシュも鼻高々だ。


(ねぇ?)

(何かな?)

(どっから突っ込めばいいの?)

(さあ?)


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