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無理強いは失礼

(今更だけどスローライフって何なんだろうね)

(え? そんなことも知らないの?)

(だったら教えてくれる?)

(そんなの……、あ、あれ?)

(ほら、判らない)

(ま、待ってよ! そ、そうよ、あれよ、あれ!)

(どれ?)

(ファストフードへの反駁として提唱されたのが旧来ののんびりと食事するスローフードで、その派生としてのんびり生活するのをスローライフと言うのよ!)

(だけどさ? ファストフードをせっせか食べなきゃいけない法は無いし、きっとスローフードにカテゴライズされるものでもせっせか食べないといけないものが有るよね?)

(どゆこと?)

(ハンバーガーをおしゃべりしながら30分掛けて食べたっていいし、高級な天ぷら屋なら揚げ立てを即食べなきゃだよね?)

(それはほら、料理を受け取るまでの待ち時間とか有るじゃない)

(それって客に何にもしない時間が有るだけで、店の人は料理を作るのに必死で全然のんびりじゃないよね?)

(そ、それは……。ぐぬぬ……。そんなに言い込めて嬉しい!? キーッ!)

(会話を投げちゃったか)


 ここまで逃げれば大丈夫だろうとナーシュが休んでいたところ、馬車が通り掛かった。

「おや? こんな所でどうしなすった?」

「ちょっと道に迷って……」

「おやおや難儀じゃね。乗ってくか?」

「いいの?」

「困った時はお互い様だぁ」

「ありがとう」

 ナーシュは馬車に乗せて貰った。

「どこに行こうとしてるんだ?」

「スローライフのできる所にかな」

「スローライフねぇ。何だかよく判んないけど、見付かるといいやね」

「だね」

「んじゃ、もしかして泊まる所もないんかな?」

「そう言われれば無いな……」

「内に泊まってくか?」

「いいの?」

「困った時はお互い様だぁ」

「ありがとう」

 ナーシュは彼の自宅に泊めて貰った。

 そして翌日の出立前、ナーシュは彼に金貨を差し出した。

「これはお礼です」

「んなものは貰えねぇよ。俺が勝手にやったことだ」

 ナーシュは謝礼を受け取るよう無理強いするのは失礼だと思い、金貨を自分のポケットに戻して出発した。


(謙虚な人だったのね)

(まあね)

(あれ? そこから仕込み?)


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