手掛かり
(ところで彼らに支給された路銀は?)
(パン1個分かな)
(ちょ……)
ナーシュは町を抜けて街道を進む。
「どこに行けば魔王に会えるんだ?」
「判りません」
「え!? 魔王退治を言い出した国王はヨロインの父親だよね? 聞いてないの?」
「はい。お父様も知りません」
「ええっ!? じゃあ、魔王の目撃情報は?」
「有りません」
「ちょっと待ってくれ! 魔王なんて居ないんじゃないか!?」
「いいえ。悪の陰には必ず魔王の手の者が潜んでいるのです」
「その証拠は?」
「有りません」
「それって、妄想じゃないか!」
「いいえ。これは世界の真理なのです」
「どんな世界の真理だーっ!」
ナーシュは次第に声を荒らげたが、ヨロインは眉一つ動かさない。
「それじゃ、仮に魔王が居るとして、目撃情報すら無しにどうやって捜すの!?」
「情報を集めるのです」
「どうやって?」
「聞き込み?」
「どんな風に?」
「虱潰し?」
「できるかーっ!」
「はあ……。ナーシュ様、幾ら勇者様でも『あれも駄目、これも駄目』は通じませんよ」
「できないものをできないと言ってるだけだ!」
「全く……、ああ言えばこう言う……」
「うむ。ナーシュよ、我が儘を言うものではないのじゃ」
「ご主人様、かっこわるいでしゅ」
「やれやれ……、俺が悪いことになるとは思わなかったぜ」
一周回って達観したナーシュであった。
(さすがに何の情報も無いなんて無理なくない?)
(え? よくあるゲームじゃ、最初は目的も判らないじゃないか。それに比べたら親切でしょ?)
(そんな話!?)




