転生やっぱりやり直し
(やり直し、やり直し)
(また? 一ヶ月保ったんだからもう交替させてよ)
(中での時間で計るな。イベント以外をスキップしてて、まだ一日過ぎただけだろう)
(その間ずっとおっぱいの時間だったあたしこそ母親役を交替して欲しいわ)
(そこはまだ一日と思って我慢してくれ)
(……しょうがないわね)
(そうそう、まだ一日一日)
(あんたが言うんじゃないわよ! 次こそしっかりしなさいよ!)
(へーい)
「ここは……? またここか!」
青年が真っ白な世界に苛立っているところへ神様役が登場する。
「またまたまた会ったな」
「おい! 何度繰り返させるんだよ!」
「成長が早すぎたせいだ。増加した腕力の加減ができずに母親を殺してしまった。解っているだろう?」
「ぐぬぬ……」
「何事も加減が必要だってことだ。だから一年の努力で能力が倍になるので妥協してくれ」
「……仕方がない。解ったからそれでやってくれ」
「良かった」
そして青年はとある世界に転生した。立ち上がって走り回れるように努力したので人並み外れた成長を見せる。しかし、自由に動けるようになったら途端に怠惰になった。前世が怠惰で、その時の性質そのままだったのだ。だから能力は増えない。
彼は叫ぶ。
「いつになったらチートが使えるんだ!」
(努力しなきゃ能力は増えないぜ……)
(あんたもびっくりの怠惰ぶりね)
(俺もびっくりって……。切ないことを言ってくれるぜ、ベイビー)
(ベイビー、止めろや)
(怖っ! でもそこが好き!)
(はいはい、冗談は顔だけにしてよ)
(ちぇーっ)