タイザイ3
(ねぇ、ミロインへの指示に「ペットの振りをするつもりで」なんて書いてるんだけど?)
(だって、実体は奴隷と言う名のペットだから……)
(それって酷くない? 動物扱いじゃないの)
(だからさ。奴隷ってことなら一応人間扱いになるよね)
(ええー)
「あそこのダンジョンに行ってみたいが、罠ばかりらしいんだよな……」
「ご主人さま、ミロインは罠を見つけるのが得意なのでしゅ。お役に立つのでしゅ」
「それなら行ってみよう」
そしてダンジョン。
「ミロインは頑張るでしゅ」
ミロインは先頭に立って突き進む。
バタン。
ガチン。
ドドン。
ドコドコドコ。
何かが閉じたり、何かが噛み合ったり、何かが落ちたり、何かが突き刺さったり。
さしものナーシュも言葉が出なかった。確かに罠を見つけてはいるんだけど……、と。
ミロインは次から次に罠に掛かって発動させるのだ。明らかな即死の罠にも率先して掛かりに行く。
ところが即死の罠に掛かっていながら生還する。謎だ。しかし、さすがに無傷ではないのでナーシュが治癒魔法で治療する。
「ご主人さま、しゅき!」
「あ、ああ……。ミロインは前からこんなことをしていたのか?」
「そうでしゅ。でも身体が動かなくなったから奴隷になったでしゅ」
(ちょっと待って! 何なのこの身の上は!? シュールすぎるし、痛すぎるでしょ!)
(少しインパクトが必要かなって……)
(こんなインパクトは誰も望んでなくない?)
(彼も引いちゃったか……。ここは後でうやむやにしてしまおう)
(マジ?)
(うん、マジ)
そうこうしている内にナーシュ達はダンジョンの最奥に着いた。その途端にまた出口が塞がれてしまう。
「よくここまで来た。よもや罠を悉く発動させながら進んでくるとは思いもしなかったぞ」
どこからか声が響いた。
「俺もだ」
ナーシュは率直に答えた。
「ところでお前は誰だ?」
「ふっふっふ。我はこのダンジョンの主にして七つのタイザイが一つ、カプセルホテルだ」
「……で、どうやったらここから出られるんだ?」
「ここを出たくば、そこなるカプセルで眠るのだ」
光で示された方には足もと以外は全て塞がれた二段ベッドのようなものが在った。這わなければ出入りできそうにない。
「これがカプセル……」
「仕方がないのじゃ。ここで眠るのじゃ」
ナーシュ達はそれぞれにカプセルに入って眠った。
そして翌朝、ナーシュ達が目を覚ましたのは工事現場の土管の中だ。
「おい、兄ちゃん達。こんな所で寝ちゃ駄目じゃないか」
「俺がやっちゃったことになるのか……」
作業員に叱られて溜め息を吐くナーシュであった。
業務を終え、居酒屋でミロイン役が管を巻く。
(「しゅき」はないだろ。その後もどんな頭の悪さだよ……)
(くっくっく……。あんたの「しゅき」も案外似合ってたわよ)
(やめろ。ほら、鳥肌……)
(あらら。あれはあれで可愛かったのに残念ね)
(言ってやがれ)




