他国
(いよいよ新展開だ)
(珍展開よね。きっと……)
(いやぁ、そんなに褒められると照れちゃうなぁ)
(……)
(スルー!?)
ナーシュは目覚めた場所の周囲を調べてみたが、終ぞダンジョンの入り口は見つからない。
「ダンジョンはどこに行った……」
「面妖じゃな」
フロインも首を傾げるばかり。
ともあれ起きたのは橋の下だ。橋の上に行けば道がある。道なりに進んだら、そこそこ大きな町に着いた。その町に着いて初めて知ったのは、ここがナーシュの産まれた国とは別の国と言うことであった。
「そう言うことなら丁度いい」
学園に戻らない決心をしていたナーシュだが、ちょっとだけ捨て台詞を吐いた。
「とにかく宿を探そう」
「そうじゃな」
気持ちを切り替えて宿を探した。ところが。
「所持金が一晩泊まる分しか無いぞ……」
「困ったのう」
「手っ取り早く稼ぐなら冒険者だろうな」
「伝手も無いのでは仕方ないのじゃ」
二人は道を尋ねながら冒険者ギルドへ行った。
冒険者ギルドにて、ナーシュは知った顔を見た。
「受付嬢! 受付嬢じゃないか!」
受付に座っていたのがナーシュの故郷の冒険者ギルドに居た受付嬢だったのだ。
「ひ、人違いです!」
受付嬢はさっと顔を背けながら言った。
「いや、確かに受付嬢だ」
「は、初めてお会いしますよ?」
「そうかなぁ……」
「誰なのじゃ?」
「と、とにかく! ご用件を伺います!」
フロインが口を挟みかけたのを受付嬢は強引に遮った。
「依頼を請けたい」
「ギルドカードをお願いします」
「これでいい?」
ナーシュは故郷で作ったギルドカードを出した。ギルドカードは世界共通で、預け入れた金銭や物品はどこの窓口でも引き出せる優れものだ。
「はい。Bランクでらっしゃいますね。こんなのはいかがでしょう?」
「これにしよう」
適当に見繕われた依頼を請け、さくっと達成して目先の資金を確保したナーシュであった。
業務を終え、居酒屋で受付嬢役が管を巻く。
(何であたしなのよ! 別の町なんだから他の人にしなさいよ!)
(……これにはちょっと同情するわ)




