出会い
(聞き忘れてたけど、あいつって不老不死じゃないならどうしたら死ぬの?)
(老衰かな)
(じゃあ、あいつの天下も100年も無いのね)
(え?)
(え? って……、違うの?)
(いやあ、普通の人の1億倍くらいの寿命にしててね……)
(どうして!?)
(超速再生だと寿命が縮むから……。スライムからなら100年単位で)
(スライムからでもたったの100年?)
(え?)
(1億回もスライムにならないでしょ)
(あはは……)
(はあ……。星が滅んでも寿命が残りそうね)
ナーシュはダンジョンを奥へ奥へと進む。それに連れて出てくる魔物が強くなるが、それ以上にナーシュが本来の力を取り戻す方が早く、ほぼ鎧袖一触で魔物を屠るようになっていた。
ただ、ナーシュの心は荒んでいる。
「見捨てやがって……」
突き落とされたこと、捜索を打ち切られたことが澱のように心に凝っているのだ。
このダンジョンを脱出したら学園には戻らず、自由に生きようと決心するナーシュである。
それから暫くして。
「きゃあああ!」
絹を裂くような女の悲鳴。ナーシュはその悲鳴の元まで走った。
「放せ! 放さぬか!」
人型ゴーレムの頭から生えた触手にエルフ耳の少女が捕らわれている。助け出せば、ダンジョンの出口を聞けるかも知れない。
「じっとしていろ!」
パッカーンとパンチ一発でゴーレムの頭を粉砕した。続けてゴーレムの胴を足場に跳び上がり、少女を抱えて飛び降りる。
「無事か?」
「うむ。かたじけない。私はフロイン。気付いたらここに飛ばされていて、あやつに絡まれて難儀していたのじゃ」
「飛ばされて? じゃあ、出口は知らないのか?」
「うむ」
「マジか……」
「すまぬな」
「まあいいさ。一緒に行くか?」
「うむ。そなたに助けられた身。連れて行ってくれるのなら、そなたが望むならどこへとも行こう」
フロインはナーシュに頬を寄せ、上目遣いに言った。
(一人目がヒロインで、二人目がフロイン……)
(判りやすくていいでしょ?)
(……)