転生三度目の正直
(やり直し)
(え? また?)
(またも何も、やり直しにならないとでも思ったのか?)
(何となくは思ってたけど……)
(だったら、やれ)
(へいへい)
「ここは……? またここか!」
青年が真っ白な世界に驚いているところへ神様役が登場する。
「またまた会ったな」
「おい! どう言うことだ!? どうして俺がまたここに居る!?」
「力が強すぎたせいだ。胎児の間に母親を殺してしまった」
「何で胎児にそんな力をやってんだよ!?」
「それが君の希望だったじゃないか」
「んな訳あるか!」
(やれやれ、何て短気なんだ……)
「判った。悪かったよ。じゃあこうしよう。最初から力を与えるんじゃなく、一年努力したら力が二倍になるようにしよう」
「一年? 長すぎる。一日にしろ」
「一日? お勧めできないんだけど……」
「いいからやれよ」
「判ったよ……」
そして青年はとある世界に転生した。希望通りに腕を動かすだけでもりもり筋力が増強する。しかし、産まれて一ヶ月後、母親に抱かれた際にその顔に触れようとして頭部を粉砕、撲殺した。仕方なく父親が乳母を連れて来たが、乳を飲ませようとした際に、またも乳房に触れただけでそれを粉砕する。結果、乳を飲むことができなくなって餓死した。
(大損害だ)
(すいません)
(勘弁してよ。母親役のあたしがまた死んじゃったじゃないの。いくら擬体でもフィードバックが来るんだからね?)
(この度はお日柄も良く……)
(お見合いじゃないわよ! 謝んなさいよ! 乳母役も泣いてるじゃないの!)
(ボクと結婚してください)
(絞め殺すわよ?)
(ごめんなさい)