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谷底

(セクハラには鉄拳制裁あるのみ!)

(チッ、反省してまーす)

(反省の色が無い! 態度がなってない!)

(こう叩かれたらミス連発しそうだよ……)


『落下耐性を獲得しました』

『暗闇耐性を獲得しました』

『気配察知を獲得しました』

『暗視を獲得しました』

 ナーシュの脳内にナビゲーターのアナウンスが次々に響く。

「ぐおおお!」

 しかし、肝心のナーシュはアナウンスに気を留める余裕を持っていなかった。

 ぐもっ。

『衝撃耐性を獲得しました』

『打撲耐性を獲得しました』

『自然治癒を獲得しました』

『出血耐性を獲得しました』

『自然治癒はレベルアップして高速治癒に変化しました』

『壊死耐性を獲得しました』

『高速治癒はレベルアップして再生に変化しました』

『即死耐性を獲得しました』

『再生はレベルアップして高速再生に変化しました』

 ナーシュは目を覚ました。

「何だったんだ……」

 ナーシュは起き上がる。周りを見ると谷底のようだ。上を見ると随分高い。

「どれだけ落ちた……」

 登れる場所が無いかと探してみるが見つからない。切り立った崖を体力任せで登ろうかとも考えたが身体が重くて思うようにいかない。魔法で飛び上がろうにも何故か魔法が発動しない。

 ナーシュは知らないが、ここもフィールドの影響下にあって、過ぎた力が抑制されているのだ。

「ぐぬぬ……」

 ナーシュは歯噛みした。


“居たかーっ!?”

“こっちには居ない!”


 捜索隊らしき声がした。

「おーい! ここだーっ!」

 ナーシュは叫んだ。


“これだけ探しても見つからないんじゃ、もっと深い場所に落ちたんだ!”

“そのようだ! これ以上は俺達が危ないから引き上げるぞ!”

“おう! 落ちこぼれ一人に命は賭けられないからな!”


 どうやらナーシュの声は捜索隊に届かず、捜索も打ち切られたらしい。

「マジか……」

 いくらナーシュでも見捨てられたのは辛い。

「くっ!」

 鼻を啜って涙を堪え、ダッシュした。

 こけっ。

『ずっこけ耐性を獲得しました』


(「獲得しました」って何なの?)

(ちょっとした演出だよ。元々彼が持っているものだけど、何かの切っ掛けで目覚めたようにした方が格好いいでしょ?)

(んー? どーかなー?)


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