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醤油

(またまた料理だ)

(……)


 料理人の努力で天ぷらは完成した。ところが食卓でナーシュの父親は溜め息を吐く。

「天ぷらは美味しいと思ったけど、毎日塩味ばかりだと飽きてしまうよ」

「そうですね。天つゆが有れば良いのですが……」

「天つゆ? 天つゆとは何だい?」

「出汁と醤油と……」

『何だっけ?』

『みりんです。それらを混ぜて一煮立ちさせてから冷まします』

「……みりんを混ぜて一煮立ちさせてから冷ましたものです」

「醤油? 醤油とは何だい?」

『何だっけ?』

『大豆と小麦をコウジカビで発酵させた調味料です』

「大豆と小麦をコウジカビで発酵させた調味料です」

「そんな調味料が有ったのか!」

 父親は勢い込んで立ち上がる。

「醤油屋だ! 醤油屋を呼べ!」

「はい、醤油屋でございます」


(待てや、こら!)

(まっ、女の子がなんてはしたない言葉遣い)

(あんたこそ、突然おねぇ言葉にならないでよ!)

(何をカリカリしてるんだい?)

(カリカリ梅をカリカリ……。ちゃうわい! 何やらせとんねん!)

(いや、勝手にやっただけだろ……)

(と、とにかく! 醤油が無いのにどうして醤油屋が居るのよ!? 父親もあいつが醤油を言い出した時に疑問に思いなさいよ!)

(ん? 疑問には思ったでしょ「醤油とは何だい?」って)

(ちーがーうー! あいつが醤油を持ち出したことに疑問を持ちなさいって言ってるのよ!)

(はあ……、細かいなぁ……)

(こま……)

(そんなにカリカリしてるとカリカリ梅が無くなっちゃうよ)

(カリカリ梅はほっとかんかい!)

(自分で言い始めた癖に……)

(それはもうええっちゅーねん! 話はあっち! あの後はどうせまた同じパターンなんでしょ!)

(人生なんて同じことの繰り返しだって前に言ったじゃないか)

(だからって、飽きるでしょ! とーにーかーくー、どうにかして!)

(仕方ないなぁ、じゃあこうしよう)

(うん?)

(以下略)

(ちょ……)


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