転生やり直し
(え? また俺が神様やるの?)
(当たり前だ。何にも始まらずに終わっただろ)
(それはそうだけど……)
(だいたい、説明が足りなすぎるんだ)
(だって、あの被験者って、いきなり襲ってきそうだったじゃない?)
(それは判らないでもないが、やはり説明不足が駄目だった)
(さいですか……)
「ここは……? またここか!」
青年が真っ白な世界に驚いているところへ神様役が登場する。
「また会ったな」
「おい! どう言うことだ!? どうして俺がまたここに居る!?」
「不老のせいだ」
「はあ!? 何でそうなる!」
「成長と言われるものでも、細胞が分裂するのは老化に他ならない。つまり受精卵の段階で全く細胞分裂しなかったのだ」
「意味が解らなねぇよ! ちゃんと産まれるようにしろよ!」
「そうするには不老を付けられない」
「付けろよ」
「そうするとまた同じ結果になる」
「くそっ! じゃあ、不死は大丈夫なんだろうな?」
「それもお勧めできない」
「どうして?」
「細胞レベルで不死にすると、ただの肉の塊になる。ガンは知っているだろう?」
「ああ」
「生物レベルで不死にすると、普通の人が寿命を迎える頃を過ぎたらよぼよぼで身動き取れないまま永遠に生きることになる」
「駄目じゃん」
「そうだろう?」
「だったら他のは大丈夫なんだろうな? 最強の力や色んなスキルは」
「それもあまりお勧めできないが……」
「いいから付けろよ」
「判ったよ……」
そして青年はとある世界に転生した。しかし、胎児の間に身動ぎした時、無限とも思える腕力によって母親の腹部を破壊、死に至らしめたために産まれることなく、意識が目覚めることもないままだった。
(だからお勧めできないって言ったのに……)
(ちょっといい加減にしてよ。母親役のあたしが死んじゃってるじゃないの。擬体だって安くないのよ?)
(産まれる前のは試験管に皮を被せているだけじゃないか)