天ぷら
(また料理だ)
(あー、うん)
(気の無い返事だね)
(大体の流れが予想できるからよ)
食卓でナーシュの父親は溜め息を吐いた。
「じゃがバターもこう毎日だと飽きてしまうよ」
じゃがいもと言えばじゃがバターが常識であった。
「父さま、違う料理を作れば良いのです」
「どんな料理が有ると言うんだい?」
「簡単なのは天ぷらです」
「それはどんな料理なんだい?」
「衣を付けて沢山の油で揚げるだけです」
「それは簡単だ!」
父親は立ち上がる。
「料理人、料理人を呼べ!」
「はい、料理人でございます」
「おお、料理人。お前は油で揚げると天ぷらになると知っていたか?」
「何と! 長年料理をしてまいりましたが、油で揚げる料理など初めて知りました」
「早速作るのだ!」
「かしこまりました」
暫くして。
「出来ましてございます」
「おお! これが天ぷらか!」
早速食べる父親。
「これは美味い! さすがはナーシュだ!」
「ナーシュ様のお知恵にはこの料理人も驚かされました」
「それほどのことではありません」
謙遜しつつも鼻高々なナーシュ。少し困惑しつつも、何も言わずに出来上がったフライドポテトを食べるのであった。
(がくっ)
(口で擬音を言うのが癖なのかな?)
(あんたが悪いのよ! 天ぷらはどうしたの!?)
(ちょっとした手違いさ)




