レールガン
(今度も物作りだ)
(またあのパターンなの?)
(そう言われると思って少し変化を付けたよ)
「た、大変だあ! 魔物だ! 魔物の大軍が押し寄せて来た!」
ナーシュが冒険者ギルドに入るのを見計らったように、冒険者は駆け込んで来た。受付嬢が問い直すように叫ぶ。
「魔物の大軍ですって!?」
「そうだ! 今度の魔物には包囲を遮られて包囲殲滅陣も利かない!」
「そ、そんな! この町はどうなっちゃうの!?」
ナーシュはとんでもないことが起きているのを知った。だが、現場を見なくては話にならない。
「とにかく案内してくれ」
「判った。こっちだ」
冒険者はナーシュを草原へと案内した。
草原には見渡す限りの魔物の群れ。移動はそれほど速くはないが、このままなら明日にも町に達するだろう。
程なくしてナーシュの父親も草原に到着した。報告は父親の方にも伝えられていたのだ。そして魔物の群れを前に嘆く。
「くそっ! 何か強力な武器でも有れば!」
ナーシュはナビゲータースキルに尋ねる。
『何か強力な武器は無いか?』
『レールガンはいかがでしょう?』
『どんなものだ?』
『電磁気力で弾丸を高速で撃ち出す装置です』
『威力は?』
『速度次第では大都市を一撃で壊滅させられます』
ナーシュは早速父親に進言する。
「父さま、レールガンを開発しましょう」
「レールガン? レールガンとは何だい?」
ナーシュは説明する。内容はナビゲータースキルからの受け売りだ。
「それは素晴らしい!」
父親は目を輝かせた。
「電磁気学者だ! 電磁気学者を呼べ!」
「はい、電磁気学者でございます」
「おお、電磁気学者。直ぐにレールガンを作るのだ!」
「かしこまりました」
電磁気学者は開発に取り掛かった。しかしここは電気の無い世界。開発は難航する。
その一方、魔物の群れはどうやら野営するようだ。
翌日。
「まだか!? まだレールガンは出来ないのか!?」
ナーシュの父親は焦りを隠せない。
そんな彼を嘲笑い、恐怖の時を引き延ばすかのように、魔物達は魔物同士で岩を投げ合い、その岩を手で受け止め合うなどして襲撃のウォーミングアップをする。
そして更に恐怖を引き延ばそうとするかの如く、魔物達は野営に入った。
また翌日。
「出来ました」
「おお、電磁気学者。待ちかねたぞ! 直ぐに魔物を薙ぎ払え!」
「かしこまりました」
電磁気学者はレールガンを設置する。危険を察知した魔物が色めき立ち、レールガンへ向けて走り出す。
しかしもう遅い。レールガンは光を放ち始める。
「発射!」
電磁気学者の掛け声に合わせて発射される弾丸。
ひょろひょろ~っ。ぽてん。
落下したのはレールガンと魔物との真ん中辺だった。
「おっし! 飛距離最高記録!」
電磁気学者は喝采を上げた。
しかし、ナーシュも父親も冒険者達も呆然だ。魔物も足を止めて呆然とする。
走る沈黙。電磁気学者に集まる視線。周囲を見回し、視線を一身に集めているのを確認した電磁気学者は舌を出す。
「てへっ、ぺろっ」
ちゅど~ん!
魔物も群れは盛大にずっこけた。あまりのずっこけで大ダメージだ。傷は深く、這々の体で逃げ帰る。
顔を見合わせる冒険者達。「や、やったぞー」「魔物を撃退したぞー」「これもナーシュ様の知恵のお陰だー」。棒読みであった。
続くのはナーシュコールだ。「ナーシュ。ナーシュ。ナーシュ。ナーシュ」。棒読みであった。
「いやいや、それほどのことじゃないですよ」
謙遜しつつも不敵な笑みを浮かべるナーシュであった。
(ねぇ? 電気が無いのにどうして電磁気学者が居るのよ?)
(たまたまかな)
(たまっ……。それはまあいいとして……、良くはないけどいいとして、魔物が岩を投げ合ってたってのは?)
(待ってる間、キャッチボールでもしないと暇だからさ)




