手押しポンプ
(今度も物作りだ)
(……)
父親がナーシュの前で嘆く。
「はー、困った。井戸に虫や埃が飛び込んで不衛生だ」
釣瓶を使うのにはどうしても井戸を開放することになり、その間に虫や埃が飛び込んでしまうのだ。
ナーシュはナビゲータースキルに尋ねる。
『井戸に蓋をしても水が汲める方法は無いか?』
『簡単なものには手押しポンプが有ります』
『どんなものだ?』
『原理的には灯油ポンプを大きくしたようなものです』
ナーシュは早速父親に進言する。
「父さま、手押しポンプを付ければ良いのです」
「手押しポンプ? 手押しポンプとは何だい?」
ナーシュは説明する。内容はナビゲータースキルからの受け売りだ。
「それは素晴らしい!」
父親は跳ねるように立ち上がった。
「手押しポンプ職人だ! 手押しポンプ職人を呼べ!」
「はい、手押しポンプ職人でございます」
「おお、手押しポンプ職人。直ぐに東の領地の井戸に手押しポンプを設置するのだ!」
「かしこまりました」
翌日。
「設置できました」
「おお! ハンドルを押すだけで水が汲めるではないか! これなら衛生的だ!」
東の領地の住民も大喜び。「水が汚れなくなったぞ!」「汲むのも簡単になった!」「ナーシュ様の知恵のお陰だ!」。
続くのはナーシュコールだ。「ナーシュ! ナーシュ! ナーシュ! ナーシュ!」。
「いやいや、それほどのことじゃないですよ」
謙遜しつつも不敵な笑みを浮かべるナーシュであった。
(やっぱりこのパターンなのね?)
(このパターン以外にどうしようもないじゃない?)
(だからってワンパターンのままじゃ飽きるでしょ)
(人生なんて同じことの繰り返しさ)
(おいおい)




