表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/47

言葉遣い

(あたしは何を見たのかしら……。包囲殲滅陣だっけ? ガバガバにも程があるわ)

(そうかな?)

(いちいち突っ込むのは自重したけど、両脚が折れてるのに力強く足を踏み締める冒険者とかも何かも、ガバガバじゃないところが何一つ無いじゃない)

(細かいなぁ)

(細か……)

(それはともかく、包囲殲滅陣の方は今回省略したけど応用は利くんだ)

(応用?)

(例えば包囲殲滅陣に見せ掛けるとか。ファンタジー世界だって考えれば方法は有るものさ)

(確かに見せ掛けだったわね)


 ナーシュを先頭に、兵士や冒険者が凱旋する。重傷を負った兵士や冒険者も折れた腕を大きく振り回し、折れた脚で大きく飛び跳ねて盛大にはしゃぐ。


(ま、待って。やっぱりもう駄目……。折れた脚でどうして飛び跳ねられるのよ!?)

(あれって凄いだろ? 特殊メイクの光学迷彩で本当の足が見えなくなってるんだ)

(え……? ……ほんとだ。何かおかしな見え方してる……)


 町で真っ先に出迎えたのは受付嬢。

「きゃー! ナーシュ君! 大活躍だったのね!」

 勢いよくナーシュに抱き付いて、頭を胸に抱く。

 受付嬢の胸の谷間で顔を赤くして慌てつつも、ナーシュは少し鼻の下を緩める。少し驚いたのが受付嬢の耳の早さだ。ナーシュが戦いの場に着いてから町に戻るまで、誰一人として戦いの場を行き来していない中でのことだから、大した早さである。

「町の人総出でナーシュ君の活躍をお祝いするための準備を始めてるわ!」

「そんな、大袈裟ですよ。たまたま策が当たっただけですから」

「そんなことはないわ。ナーシュ君が居なければその策も無かったんだから」

 受付嬢はナーシュを抱く腕にきゅっと力を籠める。

「わぶっ! う、受付嬢さん! 放してください! ちょっと苦しいです!」

「うふっ。ナーシュ君、その敬語を止めてくれたら放してあげる。ナーシュ君とわたしの仲なんだから、もう他人行儀は嫌よ?」

「で、でも、年上の人にそんな……」

「だーめっ! 敬語を止めてくれるまで放さないんだから」

 受付嬢はナーシュを抱く腕に益々力を籠める。

「わぶっ! わ、判ったから! こ、これでいいだろ!?」

「うふっ、許してあ・げ・る」

 受付嬢はナーシュを放した。それでも衰えない受付嬢の熱視線にナーシュは照れる。

「受付嬢さんには参ったな……」

「あーん! その『受付嬢さん』って言うのも止めて。『受付嬢』って呼び捨てにして!」

「そ、そこまでは……」

「そうなんだ……。じゃあ、そう呼んでくれるまでまた抱き締めちゃうんだから」

 受付嬢がナーシュに躙り寄る。

「わ、判った! 受付嬢! こ、これでいいだろ!? その代わり、受付嬢も俺を『ナーシュ』って呼んでくれ」

「うん、ナーシュ。きゃーっ、言っちゃった」

 顔を赤らめ照れ合う二人であった。

 そしてこの日のお祝いは夜遅くまで続いた。


(ねぇ、「受付嬢」が名前なの?)

(だって、名前考えるのめんどくさいじゃない)

(……)


 業務を終え、居酒屋で受付嬢役が管を巻く。

(かーっ、やってられうかってーの! 見てよ、思い出すだけでこのサブイボ)

 受付嬢役は袖を捲って鳥肌立った腕を見せた。

(うわー)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ