神様転生
(俺が神様役? やだなー)
(恨むなら自分のくじ運の無さを恨めよ)
(そうなんだけどさ。相手がどう動くか全く予測できないのが嫌なんだよ)
(下手に出てれば、いきなり襲われることも無いだろ)
「ここはどこだ?」
青年が真っ白な世界に戸惑っているところへ神様役が登場する。
「解りやすく言えば天国だ」
「天国? 俺は死んだのか?」
「そうだ」
「て言うか、あんた誰だ?」
「解りやすく言えば神様だ」
「神様だって?」
「そうだ。そして君には謝らなければならない。トラックに轢かれる運命だったのは君ではなく別の人の筈だった。こちらの手違いで君は死んでしまったのだ」
本当は青年がトラックに轢かれたから連れて来ただけである。
「何だと!? 間違いで済むか! 生き返らせてくれ!」
「残念ながらそれはできない。しかし別の世界に転生させることはできる。お詫びとして幾つでも望み通りの能力を付けよう」
「そん……、いや、どんな能力でもいいのか?」
「不老不死までなら可能だ」
「不老不死だと? いいじゃないか。それにしてくれ。いや、それだけじゃ、駄目だな」
青年は様々な能力を列挙する。
「いいだろう。しかし不老不死は止めた方がいいぞ」
「おい、ふざけんな! できるって言ったじゃないか!」
「判った、判った。望み通りにしてやろう」
「最初からそう言えばいいんだよ」
「ああ、済まなかったな」
そして青年はとある世界に転生した。しかし、不老不死の彼は母親の胎内で全く成長しなかったために産まれず、意識が目覚めることもないままだった。
(だから止めた方がいいって言ったのに)