第5話 幼馴染メルティア登場(新)
もう、新ルールになる前の話なんてなかったんだ・・・
「だ、駄目だ!」
「そ、そうよね!やっぱり駄目よね!」
急に叫ぶかのように言い出す父、ヴァーダと母、フェンリ。
「?・・・どうしたの二人とも」
俺、アマロとパートナーであるエイフィが二人を見る。
「・・・俺達は二人がそういう関係になるのは反対だ」
「え?」
突然の言葉に頭に?マークが出まくっている。
「だって、『エイフィ』はユニットだろう?ユニットと人間が結婚など聞いた事がないし、子供だって出来るかどうか」
「は!?えっ!?」
父さんの言葉に驚きを隠せない。まだ、6歳なんだけど!?いや、異世界であるある早くても婚約者は見つけておくのは当たり前ってやつか!?
「いやいや、父さん、母さん。俺、まだ6歳だよ!?」
「そうね。でも、6歳で婚約者を見つけるのは別におかしい事じゃないのよ。まぁ確かに少し早い気はするけれどね」
やっぱりか!母さんの言葉にがっかりする。
「まぁ大丈夫だって。エイフィだってこんな6歳児と婚約何て嫌でしょ?」
エイフィにも否定して貰おうと話を振ってみる。
「私は、アマロのもの」
「な!?」
ポッと顔を赤らめながら言うエイフィ。
「だがな『エイフィ』。お前はユニットだ。認めるわけにはいかない」
「そうね。残念だけど私達は認められないわ」
少し、申し訳なさそうな目で言う二人。
「別に、いい。・・・幸せでいてくれるなら・・・」
俯き、少し顔を背ける。
「「うっ」」
二人とも胸を抑える。きっと何かしらの良心が痛みでもしたのだろうか。
「何故だ!・・・何故!こんな良い子がユニット何だ!?」
アーッ!という風に机を叩く。
「本当に、人間なら言う事なかったのだけど」
二人とも残念そうに言う。
俺にとってエイフィはユニットという感じは一切していない。常に出して接しているからだろうか。チラリと見ると照れを隠すように、中途半端な暇を持て余すように片足をブラブラとさせている。
「どうして皆、ユニットを外に出さないの?」
ふと思った事を聞いてみた。
「出していると常にマナを奪われてしまうからな。1体ぐらいなら維持もしていられるだろうが、召喚、実体化させた時に消費したマナ分は回復できないからだ」
つまり、実体化を常にさせていると最大値が減ってしまうからだという。
「その点、アマロはどうなんだ?」
「んー?特に負担に感じたことはないけど・・・」
「・・・ふむ。アマロは魔法に優れているからな。あの神戦試合を見ている限りではマナの最大値もかなり多いだろうから『エイフィ』を出していても何十分の1の消費とかになっているんじゃないのか?」
「んー。そうなのかなぁ」
正直、分からん!
仮にそうだとしたら、エイフィの実体化に必要なマナがかなり少ないか、俺のマナの最大値が非常に高いのかのどっちかだ。後者だと良いなぁ。一般人より強いし俺TUEEEだ。
「それか、その負担を減らしてくれるのが〔パートナー〕の特性の可能性があるな」
「その可能性もあるね」
「どちらにせよ。アマロは凄い子だって言う事に変わりはないから、お母さんは誇らしいわ。そろそろご飯にしましょうか」
笑顔でそう言い、もうこの話はお終いという感じで終わった。
翌日。
「アマロー!いるんでしょー?出てきなさーい!」
ドンドン!と扉を叩く音と共に俺を呼ぶが女の声が聞こえる。父さんと母さんは仕事で留守だ。
「全く、魔法の練習をしているというのに・・・」
魔法を発動と共にありとあらゆるパターンを想定した物を発動し、スキルカード化していく。発動と同時にスキルカード化を念じれば簡単にカード化出来るのだ。こうする事で、アイテム消費で魔法を放つという感じが出来、マナ消費なしの詠唱にも関係なく一定の強さの魔法を連発できるのだ。作れるうちに作りまくっておいた方が良い。それにマナを消費しまくればまた最大値が上がるから一石二鳥ってやつだ。
「アーマーロー!?」
まだドンドンと呼ぶ声が聞こえる。
「五月蠅いなぁ・・・悪い、エイフィ頼む」
言いながら、魔法を放ちカード化していく。横で座って眺めていたエイフィは「分かった」と呟き、玄関に向かう。
「・・・誰?」
「・・・誰?」
ガチャとエイフィが扉を開けるとオウム返しで返してきた赤髪ツインテールの少女。赤いワンピースに身を包んでいる。
「・・・誰?」
首を傾げ、もう一度訪ねるエイフィ。
「あ、貴方こそ誰よ」
指をびしっと指して聞き返す。
「・・・エイフィ」
「え、あ、そ、そう」
普通に名乗られて戸惑う少女。
「わ、私はメルティア。こ、こはアマロの家よ!ど、どうして知らない人がいるの!?」
声が震えている。
「・・・パートナーだから?」
「はい?」
予想外の返答にどうしたら良いか分からなくなってしまってしどろもどろするメルティア。
「エイフィ。誰だぁ?」
きりが良くなったので戻って来ないエイフィの様子を見に来た。
「あ、あんた!この人は一体何なの!?」
びしっと指を指してくるメルティア。
「ああ、やっぱりメルティアか」
「ああって何よ!ああって!」
ガミガミと言ってくるメルティア。
隣に住んでいる子だ。幼馴染というやつで確か同い年だ。
「で、何の用?」
はいはいと言った感じで先を促す。
「アンタが、恩恵スキルを授かったって聞いたから見に来てやったのよ」
フンと鼻を鳴らすかのように言う。
「それなら、もう見ているよ」
「・・・どういうこと?」
キョトンとしている。まるで分っていない様だ。
「えーっと。〔パートナー〕ってスキルで一緒に戦ってくれるんだよ」
説明が難しい。
「・・・それってユニットと一緒でしょ?私だって、もうじき恩恵スキルを授かるんだから勉強しているわ」
少しだけメルティアの方が誕生日は遅かったか。
「んーっとだなぁ」
どう説明したものか・・・。
「ん?あれ?という事は、その人はユニットってこと!?」
エイフィをめっちゃ凝視しよる。
「人間のユニット何ていたかなぁ。帰ったらパパに教えてもらおっと」
「じゃぁ、帰れば良いと思うよ」
早く、魔法の修行とカード化をしたい。
「な、何よ!その言い方!せっかく最近姿を見てないから様子を見に来てあげたのに!」
メルティアプンプン。
「ん?何だ?心配してくれていたのか?」
「ち、違うわよ!帰る!」
赤くなった顔を隠すようにプイっと背を向けてプンプンしながら自分の家に帰って行った。
「・・・ツンデレ」
ボソっとエイフィが呟く。
「え?」
「・・・何でもない」
聞き取ることが出来なかった。
エイフィの事は、家族と相談した結果、特に隠していない。カードであるエイフィはカードとして守られているからである。実体化している時に仮に攫われたとしても直ぐにカード化する事で傷も癒え、手元に戻ってくる。暗殺や即死などない限りはそうそうエイフィが死ぬことはない。
それに、もしも誰かを人質にエイフィを渡せと言われて渡したとしてもユニークスキルである〔パートナー〕の効果か、他人に所有権が渡る事はない。エイフィ本人がその人本人を〔パートナー〕として認めない限り戻ってくる。実際、父さんと実験してみた結果だ。因みに、無理やりパートナーと思えば、その間は父さんの所にいる事が出来る様だ。だが、意識を変えると直ぐに俺の元に帰ってくることが出来た。もし、そういった事態になったとしても一時的にその人間のいう事を聞いて、安全になったらすぐに戻って来られるという事だ。
この世界では他人がカードに干渉する事は基本的に出来ない。つまり、俺がエイフィに見放されない限りは何の問題もないという事になったのである。
「ま、いっか。さぁ、エイフィ最強計画に戻るぞ」
「?・・・うん」
エイフィは首を傾げ、取り合えず頷いた様だ。初めてそんな計画を口にしたのだからまぁ当然の反応だ。
エイフィ最強計画。その名の通り、エイフィを強くしようというものだ。当然、第1の理由はエイフィが死なないようにする為だが、エイフィが神戦試合でユニットとして戦う際、ダメージを与えられるとエイフィに痛みが感じてしまうのが問題なのである。その軽減方法は体力を上げまくれば攻撃力との差分、痛みが減る。体力10に対して1だと大した痛みにはならないのだ。それでも確実に死ぬ痛みの10分の1だから相当な痛みのはずだが、そうすると全く動けなくなるので神による調整がされているようなのだ。
まぁ、どういう事をしたいかというとエイフィに如何に被ダメージを最小限に抑えて戦うかというデッキを作っている訳だ。その為のマナ最大値強化と魔法カード化をしているのである。
「装備も整えないとな」
「・・・うん」
デッキを作るのが楽しいといったアマロの笑顔にエイフィは安心したようにその後ろ姿を見つめるのであった。