第3話 初めての神戦(新)
少し長いです。
区切ろうか迷いましたが、終わらせた方がきりが良さそうなので・・・。
2019/02/06 更新 ルール変更に伴い大幅に変わっております。
第3話 初めての神戦
あの3体のゴブリンを倒した後、父、ヴァーダが〔索敵〕により動物を見つけ、弓で3匹の飛んでいる鳥を射貫き、持ち帰った。動物ですら死ねばカード化されるようだ。
流石、猟師。横でスゲーと俺、アマロは見ていた。
狩りが終わり帰って来た。
「お帰りなさい」
家に入ると母、フェンリが温かく迎えてくれる。
「「ただいま」」
「アマロ、どうだった?」
狩りに出かけた俺を心配しての事だ。この世界では6歳で恩恵スキルを手に入れ、『初心者です』しか入っていない50枚のデッキとこれまで培ってきた技能、スキルカードを手に入れると誰もが経験する事だ。
「フェンリ。うちのアマロはヤバイかもしれん」
「え?」
そのヴァーダの言葉に、驚きで目を見開く。足が竦んで狩りが出来なかったのだろうか、初めての狩りの日はそういった子供は少なからずいる。アマロも上手く出来なかったのだろうかと心配顔だ。
「すまない。良い意味でヤバイ」
「良い意味?」
ヴァーダが訂正するがよくわからずキョトンとしている。
「アマロはな、いつの間にか隠れて魔法を取得してやがったんだ」
「魔法を!?」
フェンリは驚いて俺を見ると、俺は苦笑いしながら頭を掻いた。
「最初はラビットで問題なく行って、次にゴブリンがそこのエイフィが難なくと切り伏せた。まぁ、狩りを小さい頃から教わって来た子供なら、『初心者です』がいれば、出来る子供は結構いるからまぁ騒ぐほどじゃないんだが、俺も言葉だけだが教えていたしな。問題はその後に、ゴブリン3体と戦闘として、流石にエイフィの方がステータスが高くても3体は厳しかったらしく、残り1体となったところで石礫を食らってな。その時に、アマロがスキルカードを投げてアイスランスでゴブリンを倒したんだよ。しかも、3枚もスキルカード使いやがった」
「まぁ!?アマロ、本当なの!?」
フェンリも信じられないと俺にも事実を確認してくる。
「まぁ・・・あの時は必死で・・・」
必死だったのは間違いない。危うくエイフィが殺されると思ったのだから。
「はぁ・・・まぁ良いわ。今後はスキルカードを使って魔法を使用しない事!スキルカードの魔法は危険で上級冒険者ですら滅多に使わないんだから。まだ6歳のあなたに何かあったら私達は・・・いいわね!」
「・・・うん」
後半、涙声になりつつも気丈に振る舞うフェンリに頷く事しか出来なかった。
「アマロ、お前が優秀なのは今日の狩りを見て分かったが、俺達をあんまり心配させないでくれ。良いな!」
フェンリとそっと寄り添うヴァーダ。何か悪者にされたみたいで、気が重い。そんなにもスキルカードを使う事が悪い事なのだろうか。カードの世界のはずだろ?他の者がスキルカードの扱い方を間違っているだけじゃないのか。それ以外に思えないのに・・・。
そのフェンリとヴァーダの二人の態度にエイフィが人知れず期限を悪くしていた。
「さぁ!ご飯にしましょ!」
パンと手を叩き、暗い雰囲気を変える様に明るく言うフェンリ。
「そうだな!今日の飯は何だ~?」
ヴァーダもそれに便乗して明るく振る舞う。
「今日は、ハンバーグよ!」
「ほ~。今日はいつもとソースが違うな!」
「そうなの、新しいのにチャレンジしてみたの!さっ!アマロも食べましょ!」
転生したとはいえ、この二人は実の父親だ。二人も心配してくれての事だろう。なのに、二人に心配かけては駄目だ。
「・・・うん!」
そう、明るく言って席に着いた。エイフィはその家族の様子を後ろから暖かく静かに見守っていた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
翌日。
「さぁ、アマロ!今日は模擬戦だ!」
闘技場の様な、野球場の様なドームの中にいる。大きさは直径200メートル程だろうか。
だが、実際は、家の中にいるのである。
「「マナデュエル!」」
お互いに手を向い合せに翳し、そう言う事でこの世界の仕組みなのか、この不思議空間が出来上がる。
この空間をマナフィールドと呼ばれ、この空間のマナ濃度はかなり濃く、様々な現象・事象が起こしやすい。このマナ濃度の濃さのお蔭で、ユニットが死んだり、スキルカードを使用しても消費されないという事が起こるのだそうだ。
しかし、このマナフィールドでは一定のルール条件の戦いしか出来ない。
ユニットカード、スキルカード、武器カード、防具カード・アクセサリカード・アイテムカード等様々な能力を持ったカードを用いたカードゲーム、それが『マナカード』である。
何故、カードゲームの様な使用になっているのか誰も知らない。過去、人類がこの世界に誕生した時からあるとされており、今は、神の娯楽の1つの見世物ではないかと推測されている。何故、そう思い至ったのか、〔祈願〕スキルの上位スキル。〔神託〕を持つ者が神の声を聞こえるようで、年に1度、恩恵スキルやアイテムなどを景品として開催される大神戦大会が行われるのだ。景品も人が作り出す事が出来そうにないような物も多く、ましてや、新たな恩恵スキルの付与など人が出来るはずがないという事からそう考えられるようになった。
その為、マナカードによる戦いは、神の為の戦い、神戦とされている。
因みに、この世界も365日の12か月だ。
俺とヴァーダはお互い、フィールドの端にいる。100メートルぐらい離れているだろうか。
「アマロ、昨日言った通り、ゴブリンとラビットはメインデッキに入れて来ただろうな?」
「うん!」
にも関わらず、普通に会話が届いているのは不思議空間、神の空間という事で納得されてしまっている。
メインデッキ・・・主にユニット、アイテム、装備品からなる50枚の事だ。
デッキは、アイテムボックスの一種でデッキボックスが存在し、そこでデッキ構築、操作して保管する事が出来る。
目の前に台座が出現し、メインデッキをアイテムボックスから選択する事で自動的に置かれる。
「スキルデッキはお前の扱いやすい所に置いておくと良い」
スキルデッキ・・・魔法や技能、アイテム、装備品で構成される。この技能やアイテムといった物はは己の技能、所持しているアイテムからなるデッキで自身の技量をカード、デッキ化した物で、自身を磨けば磨く程、戦略の幅が広がっていくのである。
このスキルデッキも50枚からなり、メインデッキとスキルデッキ合わせて100枚を使用するTCGの中では非常に枚数の多いものとなっている。
更にこのスキルデッキは常に全てのカードを確認し、自由に使える事が出来る。もう一つの手札だ。
デッキ作成時の注意点としては、リアルタイムバトル、実戦により死んだユニットカードや消費されたスキルカード等があればそれらが消滅してしまい、デッキからも消えそのデッキが使用できなくなる点だ。
幸いとでも言えばよいのか、デッキに入っているユニットが消えた場合、自動で『初心者です』になる為、枚数は変わらない。スキルデッキは、消えたスキルの代わりに『石』がフィールドにいる場合のみカード化され枚数調整されている。
フィールドから出ても『石』があると勘違いしないように注意しないといけない。
因みに、デッキ構築する際、カード化して実際に並べながら作成する事も可能だ。
「一通りルールを覚えて来ただろうが、初めての神戦だ。説明しながらするぞ。まず、は先攻後攻を決める。これはプレイヤーの素早さによってマナフィールドが自動的に決めてくれる。・・・まぁ、そうなると当然、俺からになるわけだ。そして、そのメインデッキからマナカードとしてマナゾーンにカードを5枚置く。そして、更に手札として5枚引くと良い」
言われた通りにする。
「あー。アマロ。後攻は手札は6枚だ。つまりもう一枚引いても良いぞ」
と、いう事なので追加で一枚引く。
手札は『初心者です』が5枚に『ゴブリン』が1枚だ。
『ゴブリン』が1枚来てくれただけで良い。
「よし、それじゃぁ俺からだ」
「この俺の番となった時、行動権。つまり、行動する権利を俺は得たんだ。その行動権を使い、様々な行動を取ることが出来る。様々な、コストの支払いに必要なマナを溜めたり、行動する為に必要な手札をマナから手札に加え、これはまた後で教えるが、精神力を回復するように、スキルデッキからコストを払ったカードを戻す事も出来る。そし・・・」
「大丈夫だよ、父さん。その辺りの基本ルールは頭に入れて来たから」
最初は大人しく聞いていたのだが、早くプレイ・・・神戦試合をしてみたくて、間に割って入る。
「そ、そうか。なら、容赦なく行くぞ!」
(容赦なく!?)
まぁ、舐めプされるよりは良いが、これはルールを覚える為の試合じゃ?などと思ったが。
(なら、逆に父さんを倒して驚かせてやる!)
ユニットは弱いが、スキルでそれなりにどうにでもなるはずだ。・・・たぶん。
「俺は、マナゾーンからコスト4を支払い『リザードマン』を召喚する!」
緑の薄い鱗を持つ二足歩行のトカゲで片手に剣を持ったユニットが出現した。
『リザードマン』
コスト:4 タイプ:蜥蜴 距離:近
攻撃力:4 体力:4 素早さ:1
能力:移動/沼
装備可:片手装備/2
ユニットのステータスはエイフィのステータスを見る時と同様に確認する事が出来る。
少し特赦なステータスを説明します。
距離、これは攻撃できる距離である。また、自身の距離でもある。近、中、遠があり、近から中へ、近及び中から遠へは攻撃、反撃が出来ない。
装備可の項目。お察しの通り、ユニットに装備をさせる事が可能な一覧だ。この『リザードマン』の場合、片手で扱える武具が装備可能となる。片手剣、片盾等である。:2とあるのは2つ迄装備可能という事だ。
能力の〔移動:沼〕は、沼地であっても素早さが下がらないといった能力だ。そのうちフィールドに影響を及ぼすカード等が出てくる予定である。・・・たぶん。
「うわ!?父さん、それいつも自慢している『リザードマン』じゃ!」
「フフン!」
大人気なく鼻を鳴らしながら胸を張る父親。父親自ら武勇伝の様に語る神戦試合の内容では『リザードマン』を主軸として展開して勝利するのがヴァーダの必勝パターンであるらしい。
「さぁ、基本ルールを覚えて来たんだろ?『リザードマン』を召喚する行動を取った為、行動権はアマロ、お前に移った。さぁ、来い!」
両手でドーンと来い!と言わんばかりに手で招いている。
(話には聞いていたからある程度は対処できるはずだ。基本ルールにはない〔パートナー:エイフィ〕を試させて貰うよ!)
「〔パートナー:エイフィ〕!スキルデッキからマナでコスト3支払い召喚!」
「スキルデッキからだと!?」
やはり、〔パートナー〕というもの出回っていないからスキルデッキからユニットが出せるというのは特殊な様だ。
長い黒髪のポニーテールで腰に漆黒の剣を滞納し、両手に漆黒の篭手、漆黒の鎧、その下に漆黒の服、漆黒のズボンといった黒色中心に身を包み、漆黒の瞳を『リザードマン』に向けて出現する。
『エイフィ』
コスト 3 タイプ:人間
攻撃力 3 体力 3 素早さ1
【パートナー】
装備カード:片手装備/2、鎧
「・・・スキルデッキから出せるという事は確実にそのユニットを召喚する事が出来るという事か・・・」
そう、父さんは〔パートナー〕の利点に気付きながらも、俺と父さんはやはりエイフィはユニットなのだと実感させられるのであった。
「・・・勝てない」
ボソっと嫌そうに呟くエイフィ。
「そりゃぁ、ステータスではそうかもしれないけどちゃんとサポートするから!」
苦笑いしながらエイフィに言う。
「ほう・・・。父さんの『リザードマン』を倒すつもりか?アマロ!」
「当然だよ!むしろ、父さんに勝つつもりだよ!」
ビシッと指差す。
「良いだろう!このナシメイト村最強と言われる俺に勝てるもの買ってみるがいい!」
ボスの様な台詞を胸を張って言うヴァーダ。
「『エイフィ』を召喚したことによって、行動権は俺の物となった!それじゃあ、さっそくお前の『エイフィ』を倒させてもらおうか!『リザードマン』!『エイフィ』に攻撃だ!さぁ!どうする?アマロ!」
(6歳である俺を絶対甘く見ているだろうな。大したことは出来ない、出来ても無駄に消耗させる事が出来ると思っているはずだ)
『リザードマン』が『エイフィ』に向かって走り、剣を振り上げる。『エイフィ』は只それを目で追って何もしていない。
攻撃と行動を取った為、行動権は俺に移る。
「マナから2コスト払いスキルデッキから『シールド』を発動!この戦闘中、ダメージを2減らす事が出来る!」
『エイフィ』と『リザードマン』との間に、透明な壁が出現し、剣を受け止める。
スキルを発動する行動をしたため、行動権はヴァーダに移る。
「その年でもうシールドを使えるのか!?しかも独学で・・・何て奴だ!凄いぞ!だが、『リザードマン』の攻撃力は4だ。『シールド』を打ち破り、『エイフィ』にダメージを与える事が出来る!だから俺はそのまま行動権を再びお前に渡す事で、『リザードマン』の『エイフィ』への攻撃を成立させる!」
『シールド』がパリンと打ち破られ、『エイフィ』が『リザードマン』の剣に立てに切り裂かれる。
「くっ!?」
苦痛で顔をしかめながらもすかさず、抜刀する事で『リザードマン』の腹部を切り裂いた。
「ギャー!?」
苦痛の悲鳴を上げる『リザードマン』。
「はぁはぁ」
ポタポタと『エイフィ』と『リザードマン』が血を流す。
(ちょっと待て!これはTCGだろ!?ゲームなんだろ!?某カードアニメみたいにホログラフィックみたいな感じで再現しているだけじゃないのか!?)
「どうした?アマロ。行動権はお前にあるぞ!」
「ちょっと待ってよ父さん!神戦試合はこれが普通なの?」
悲痛な様子の声にヴァーダは困惑する。
「あ、ああ。そうだが・・・何か問題があるのか?」
「問題って・・・エイフィが怪我をして血を流しているんだよ!?それを・・・!」
恐らくだが、これがエイフィでなければ何も思わなかっただろう。短い間だが、ユニットであるエイフィを人として接し、コミュニケーションを取っていた者が俺の指示で、カードの戦略というだけで、死にそうになり血を流しているのだ。冷静にいられるわけがない。
「・・・アマロ。大丈夫。分かっていた事」
ニコリとアマロの笑顔を向けるエイフィ。
「ごめん、痛みがあるなんて思いもしなかった。出来るだけ、傷つけないようにするから」
「ううん。マナフィールドで例え死んでも、神戦試合が終わればすぐに生き返れるから、勝つことに集中してくれたら良い」
エイフィは首を振り、諭す様に言うが、
「俺にはそんな簡単にエイフィを殺すような事、出来ないよ。神戦試合をする度に死ぬような痛みを味合わせるだなんて」
「それが、私の条件。気にしなくても良い」
「え?だけど!」
「それよりも!・・・この状態の方が辛い。早く行動して・・・!」
一瞬、条件という言葉に疑問を感じたが、そんな事よりもエイフィの事が心配でそんな言葉は聞き流した。早く、ダメージを負っている状態から回復させてやらねば。
「・・・ごめん。もう少し我慢していてくれ。『リザードマン』にスキルデッキからコスト3を支払い、『ヒール』を発動」
『ヒール』
コスト 3 素早さ 1 タイプ:回復
メインデッキ又はユニットの体力を2回復する。
スキルデッキからコストを支払う場合、裏向きで任意のカードを除外する。最初の方の説明にあった、スキルデッキからコストを払ったカードを戻す事も出来る。というのはこの裏向きで除外されたカードをスキルデッキに戻し、本来使えなくなったスキルカードを使えるようにする為の行動だ。精神を集中させ、MPを回復しているようなイメージだ。
「甘いぞ、アマロ!『速射』を発動!この時、俺のステータスを一部開示する!『猟師』を開示する事によって、本来『速射』コストが3必要な所を『猟師』の効果によって、弓タイプカードのコスト1が下がる。よってマナから1、スキルデッキからコスト1を支払い『エイフィ』に発動する!」
『速射』
コスト:3 タイプ:弓
攻撃力:1 素早さ:3
プレイヤー同士の行動したスキルの素早さが2以上離れていた場合、相手の効果を解決する前より先に効果を解決する事が出来る。つまり割り込みという奴で、この場合、『エイフィ』が『ヒール』で体力を回復する前に『速射』による1ダメージを受ける事により『エイフィ』最後の体力1が0となり、回復前に死んでしまうという事になる。
「『トップハイクイック・シールド』を発動。スキルデッキからコスト6を支払い発動する」
『トップハイクイック・シールド』
コスト:6 タイプ:防御 素早さ:5
ダメージを2軽減する
「『トップハイクイック・シールド』だと!?そんな高度な魔法を1人でどうやって覚えたんだ!?」
『速射』の矢が『シールド』と見た目が同じ素早さが早いだけの『トップハイクイック・シールド』にヒビを入れて地面に落ちて消える。
「・・・何て奴だ。素早さ5以上の魔法を使えるなんて。・・・俺には素早さ5以上の行動を行えるものがない。『エイフィ』を倒し損なってしまったか・・・しかし、その分、アマロ!お前のスキルデッキのコストの消費は無駄に大きくなったはずだ!」
そう、素早さが高いスキル等はその分コストが重い。このTCGはスキルデッキがコストともう一つの手札の両方として扱える。スキルデッキからコストが支払うのが多くなるとその分、コストが払えなくなったり、カードを除外していくため、戦略の幅が狭まられていく。その為、コストで支払うスキルデッキのカードは選択を誤ってしまうとそれが原因で負けてしまうことだってあるだろう。
「仕方がない、『エイフィ』を対象に捕れなくなったから俺はマナを溜めて行動権をお前に返す」
「・・・ごめん、エイフィ。もうしばらく耐えてくれ」
辛そうな顔で言う俺を見て、エイフィは僅かに微笑んで頷いてくれた。
(やはり、神戦試合中でも意思疎通が出来る。何で皆自分の仲間を平気で死地に送る様な事が出来るんだ・・・)
心が叫びたがっているんだ・・・。
『トップハイクイック・シールド』も即座に守りを展開しなければいけない場面も出てくるだろうから覚えていたのが幸いした。神戦試合でない場合は如何に、早く魔法を展開できるかが鍵となっている為、マナの消費量とかは神戦試合とは関係があまりない。
「スキルデッキからコスト4を支払い、『ハイクイック・ショット』を発動する」
『ハイクイック・ショット』
コスト:4 素早さ:3
攻撃力:2
高速で放たれるエネルギー、魔法の弾。
「そんな魔法まで!?・・・くっ。俺には素早さ3で対応できる防御魔法はない。・・・したがって、俺はマナを溜める」
「なら、行動権を使い攻撃を成立させる」
『リザードマン』が『ハイクイック・ショット』を受けて絶命する。
戦闘をしていた両ユニットを対象とする行動が両プレイヤー行わなくなった為、ダメージを受けていた『エイフィ』の傷が回復する。
「な、なぁ。何か怒ってないか?アマロ・・・」
「・・・ううん。別に怒ってないよ。神戦試合何だからどうしようもない事だもん」
目が笑っていない笑顔で返すと、父さんの顔が少し引き攣ったように感じたのだが、気のせいだろう。
「さぁ、父さんの行動だよ」
「あ、ああ。リ、『リザードマン』を1体倒したことは誉めてやろう。凄い魔法も覚えていて父さんは凄く嬉しいが、1体倒しただけで喜んでいては駄目だぞ!」
(まぁ当然だよね)
「マナからコスト2、スキルデッキからコスト2を使い『リザードマン』を召喚!」
ドヤァ。
父さんのドヤ顔にイラっとしつつもどうやって勝とうか考える。
「どうした?もう終わりか?」
ニヤニヤしとる。
「・・・マナを溜める」
取り合えず、スキルデッキからコストを支払い過ぎてしまっている。マナを少しでも貯めないと。異世界だ。自分の身を守る為の修行は赤ちゃんの時からやって来た。
そう、赤ちゃんの頃から物心が合ったんだ。目を盗んではマナを限界まで使うようにしてマナの最大値を増やし続けた。よくある定番修行だ。
「なら、再び『リザードマン』で『エイフィ』を攻撃だ!」
(だよなぁ。そう来るよなぁ。こうなるとジリ貧だ。・・・なら、やっぱりこの手しかない)
「コスト3をマナから1とスキルデッキから2を支払い、『ハイ・シールド』を発動する」
『ハイ・シールド』
コスト:3 タイプ:防御 素早さ:1
ダメージ軽減 4
『エイフィ』と『リザードマン』との間に『シールド』よりも部集めの透明な盾が現れる。
「攻撃をしている側はスキルや効果等の行動以外取ることは出来ない。よって、『リザードマン』の攻撃を成立させ、『ハイ・シールド』を破壊する」
『ハイ・シールド』が割られ、それと同時に『エイフィ』が『リザードマン』にすかさず攻撃に入り、『リザードマン』の悲鳴の様な鳴き声が上がる。
「『ハイクイック・ショット』で『リザードマン』に攻撃」
すかさず、先ほどと同様『リザードマン』に止めを刺す。
「クッ。卑怯だぞ!素早さ3以上の魔法ばかり使うなんて!」
何だが、駄々を捏ねだした父さん。
「父さんは『リザードマン』を使いこなすんじゃなかったの?もしかして、ユニットパワーだけで今まで戦っていたの?」
ちょっと馬鹿にするように言ってみる。
「ち、違うぞ!俺の腕で『リザードマン』を更に上手く使いこなし、場を圧倒するのが俺のやり方なんだ!素早さ3以上の魔法なんてのはな、そこらの奴が使える様な簡単な魔法じゃないんだ!」
自分が素早さ3以上の術がないから文句を言っている様だ。
「・・・待てよ。素早さ5以上の魔法が使えるお前は・・・天才か!?・・・そうか、俺の子は天才だったのか!?よし!なら父さんを超えて行け!」
何だか、1人で勝手に盛り上がりだした。初めての神戦試合をしている6歳の子供に何を言っているのやら。
【現状】
アマロ 『ゴブリン』1枚『初心者です』5枚 マナ0
メイン39枚スキル23
ヴァーダ 手札3枚 マナ0
メイン45スキル46 ステータス猟師
といった感じである。
「行くぞ!『ゴブリン』を召喚だ!」
「『リザードマン』が尽きたんだね・・・」
「う、うるさい!お前の行動権だ」
『ゴブリン』
コスト:2 タイプ: ゴブリン
攻撃力:2 体力:1 素早さ:1
宣言効果:石礫 対象のユニットに1ダメージを与える。
「それじゃぁ行くよ!スキルデッキからコスト2を支払い、エイフィに『フィジカル』を発動」
『フィジカル』
コスト:2 タイプ:強化系 素早さ:1
攻撃力、体力を1ずつ上昇させる。
「これで、父さんの『リザ―ドマン』で圧倒する事はまず出来なくなったね」
「本当にいつそんなに魔法を覚えてたんだ?普通の子供が出来ないような魔法ばかりじゃないか」
この世界の魔法は基本的にイメージが重要とされている。難しい詠唱なんてものも必要としないが、一般的には口に出して詠唱っぽいのを言う方がしっかりと威力ある物として発動されるので無詠唱で発動するのは実力者の証というよくある設定の世界だ。
「魔法を覚えるのが楽しくて・・・」
苦笑いして答える。
「そうか、この調子なら将来凄い魔法使いになりそうだな。楽しみだ!」
嬉しそうに笑う父さん。
「だけどな!アマロ!既に俺よりも魔法を使いこなせているのには流石の俺もショックを隠せないぞ!」
威張って言っている風だが顔は喜んでいるのと泣いているのがごっちゃになった様な複雑な表情だ。
「だがな、魔法で負けたからと言って、これまで培ってきた俺の猟師としての技術は馬鹿にさせないぞ!」
「何か、言い出した・・・」
チラリとエイフィを見ると、暇そうに片足をブラブラさせている。
「俺は、猟師だ!例え、息子であろうと、狩り獲ってみせる!」
「・・・」
握り拳を作って良い顔をしてさらりと息子に狩り獲るとか言いやがった。
「俺は、スキルデッキからコスト3を支払い『弓(ヴァーダお手製)』を装備する」
『弓(ヴァーダお手製)』
コスト:4 タイプ:装備/両手弓 距離:遠
攻撃力:2 素早さ:1
効果:弓タイプの魔法・スキルの攻撃力+1
プレイヤー自身に装備をすることで様々な効果を得ることが出来る。
「猟師としての俺の力を見せてやろう!」
弓の弦を引く様にビンビンさせて調子に乗っている。
「エイフィ!あのおっさんに攻撃!」
エイフィが全力でうんうんと頷き、父さんに切り掛かろうと走り寄る。
「アマロ!父親に対しておっさんとは何だ!?」
「やっちゃえ!エイフィ!」
容赦なくエイフィに指示する。
「このやろ!俺はその攻撃を、マナを溜めつつ受けるぜ!」
「エイフィの攻撃を成立させる!」
エイフィの漆黒の剣が父さんを切り裂く。
「つっ!」
豪快に切り裂かれたが、飛び散ったのは血ではなく、4枚のカードであった。
「・・・父さん。痛くないの?」
少しよろけた父さんに恐る恐る聞いてみる。
「ん?ああ、殆ど見た目だけだぞ。若干チクっとするぐらいだ」
「へ?じゃぁなんでそんな痛そうに?」
痛みはなくとも衝撃は大きいのだろうか。
「いや?そっちの方がなんか熱い感じになるだろ?」
「・・・あ、そう」
少し、安心したが、ユニットだけ何故、ダメージはそのまま反映されるのだろうか。
父さんがダメージ、攻撃力4分、メインデッキから4枚裏向きで除外される。
「ただし、実際よりは痛みはないが、攻撃力10以上になるととてつもなく痛い。俺も何度かくらった事があるが、涙目になったからな。攻撃力に比例して痛みが変わって来るから、その辺りはしっかりと気を付けておけよ。昔、痛みに耐えることができなくて気絶した奴もいたからな。心構えは大事だぞ」
「う、うん」
少し、怖いっす。
「そして、ダメージを受けた時、裏向きで除外されたカードを任意の枚数表向きにする事で逆転チェックが得られる。知っているか?アマロ。
「うん。確か、表向きにした時に【逆転】を持つカードが捲れた場合、その条件が合う効果を発動する事が出来るんだよね?」
主人公がピンチになった時に何処からともなく特殊な力や、急激なパワーアップで敵を倒す演出の再現といった感じだ。
「その通りだ。このチェックは行動権を必要としないが、【逆転】を持つカードが捲れた場合にそれを使用するのには行動権は必要となる。それと、除外されたカードを表向きにすると、【回復】効果をする時にそのカードは【回復】出来なくなるからそれも注意が必要だ」
【回復】・・・メインデッキから除外された裏向きのカードをデッキの下に戻す。
「まぁ、俺は回復魔法なんて使えないから、逆転チェックを行う。・・・4枚とも何もなしか。まぁ、【逆転】を持つカードを手に入れるには実際に死にそうになったり何かしらピンチになると手に入るのが普通だからな。持っている奴も少ないだろうが、父さんは猟をしている時に何度も危ない目に合っているからな・・・」
父さんは少し遠い目をしている。その時の事を思い出しているのだろうか。
と、アマロは思っていたが、実際はフェンリに本気で怒られている時の恐怖が思い出されていたのだった。
「ゴホン。【逆境】も発動しなかったなら、俺は再びマナを溜める」
遠い目をしたのを誤魔化す様に咳をして試合進める。
「この時、連続でマナを溜めた回数分溜める事が出来る。だから、今回は2回目だから2マナ溜める事が出来る。次も溜めたら3マナ一気に貯められるという事だな」
(しまった。そのルールは忘れていた。流石に初めてだとミスが多々あるな)
「再びエイフィで攻撃!」
「俺はマナを更に溜める!」
エイフィの攻撃を成立させ、父さんが斬られるが今回は特に何もしなかった。少し痛そうな顔をしただけだった。・・・何だかなー。
現状
アマロ 手札:『ゴブリン』1枚『初心者です』5枚
メインデッキ:39枚 スキルデッキ:20 マナ:0
フィールド:『エイフィ』
ヴァーダ 手札:2枚 マナ:6
メインデッキ:32枚 スキルデッキ:40枚
ステータス:猟師
フィールド:『ゴブリン』『リザードマン』
「俺はマナから2枚ドローする!・・・フ」
(あのニヤ付きは絶対『リザードマン』を引いたな)
「なら、マナを溜める」
父さんが『リザードマン』を出して、攻撃するまでは2回の行動権が回ってくる。少しはマナを溜めて置かないとスキルデッキの消費が激しすぎていざという時に何も出来ないのは駄目だ。
「行くぞ!アマロ!マナからコスト4を支払い『リザードマン』を召喚!」
「やっぱり。でも俺はこのままマナを溜める」
「何かの準備か?させないぞ!行け『リザードマン』!アマロを攻撃だ!」
(『リザードマン』とエイフィのステータスは同じ。相打ちは避けてこっちに来たのか。エイフィに庇わせた場合、行動権を使うから、そのまま父さんに攻撃を成立させられたらそのまま相打ちは免れない。それなら)
「まだ、マナを溜める!」
3回連続なので3マナ溜める。
「『リザードマン』の攻撃を成立させる!」
『リザードマン』の短剣で切り裂かれ、血飛沫の代わりにダメージ分のカード4枚が飛び散る。思ったより痛くはなかったが、地味~に痛い。
「まだ、まだマナを溜める」
「アマロ。マナを沢山溜めるのも良いが。メインデッキは自分の命でもある。0枚の状態で【逆転】を発動できなかったらダメージを受ければお前の負けだぞ」
「うん、分かってるよ。父さんを倒す為の準備をしているんだ」
マナを溜めればそれだけメインデッキが減る。いくらマナをコストで支払った時にメインデッキの下に戻るといっても限界があるし、対処できない攻撃をされてしまえばそれで終わりだ。
何気に今明らかになった気がする勝利条件。まぁそれぐらいは事前に覚えてきているから問題ない。
「ならば、容赦なく行くぞ!」
「息子に言う台詞か!?」
「コスト3を支払い、スキル『シャドーシュート』を発動。貫く!」
『シャドーシュート』
コスト:4 タイプ:弓 距離:遠
攻撃力:3 素早さ:2
・相手に攻撃して成立させた次の行動権の時に発動可能
『リザードマン』の後ろ急に現れるように迫る矢。これは本来連携して不意打ちで使われている技術だろう。かなりの連弩が必要なはずだ。
「だけど、まだマナを溜める!」
4回連続なのでマナが4溜まる。これで貯めた合計マナは14だ。大概の事は出来るだろう。
「ならば、『シャドーシュート』を成立させる。俺の装備している弓の効果でダメージは+1される。よってダメージは4だ」
肩を射貫かれ、ダメージ4が入る。
「つぅー」
「さぁ、どうするアマロ?」
自慢気に言う父さん。なんて父親だちくしょぅ。
「コスト10を支払い『ハイフィジカルフルブースト』をエイフィに発動だ!」
「コスト10だと!?」
『ハイフィジカルフルブースト』
コスト:10 タイプ:強化系 素早さ:1
攻撃力+4 体力+4 素早さ+3
エイフィは、輝きが集まるように光に包まれる。
『エイフィ』
コスト:3 タイプ:人間 距離:近
攻撃力:8(+5) 体力:8(+5) 素早さ:4(+3)
【パートナー】
装備カード:片手装備/2、鎧
()内は補正値
となり、脳筋と言われようとこれがエイフィを一番怪我をさせずに勝てる方法のはずだ。
「本当に6歳児か・・・?自分の息子なのに心配になってきたぞ」
(ごめん。転生前の33歳と合わせれば、39歳のオジサンなんだよな・・・悲しい)
「しかし、自分の息子に、しかも初めて戦う奴に負けるわけには父親的に駄目だ!俺は、コスト3を支払い『シャドーシュート・ツイン』を発動」
『シャドーシュート・ツイン』
コスト:4 タイプ:弓 距離:遠
攻撃力:4 素早さ:3
・『シャドーシュート』の攻撃を成立させた次の行動権の時に発動可能。
まるで、『シャドーシュート』の影から出て来たかのように現れる。
「なっ!?何で猟師なのにそんな技持ってるんだよ!」
只の猟師が出来るような芸当じゃないだろこれは。
「父さんな、昔は冒険者だったんだよ。大したことはなかったがな。弓だけはそこいらの奴よりは自身があったんだぞ」
えへんと胸を張る父さん。
「うん。流石に尊敬しちゃいそうだよ父さん」
「何だよ。流石にって」
苦笑いだが、少し嬉しそうだ。
「それでどうするアマロ?」
流石にまたマナを溜めるのは愚策だろう。
「それならマナからコスト3を支払い『ハイフィジカル』を使う」
『ハイフィジカル』
コスト3 タイプ:強化系 素早さ:1
攻撃力+1 体力+1 素早さ+1
『エイフィ』
コスト:3 タイプ:人間 距離:近
攻撃力:9(+6) 体力:9(+6) 素早さ:5(+4)
「なら、その矢を受けて貰おう。これもダメージも+されるぞ」
「うわ!?」
ダメージ5が思いの外痛くて変な声が出てしまった。父さんはプッと笑っているが、エイフィは心配そうにこちらを見ていた。恥ずかしさを隠す為に、無駄に咳をして進行をさせる。
「よ、よし。今度はこっちの番だ!行くぞ!エイフィ!」
お、おうという反応を示しながらエイフィは父さんに駆け寄った。ただ、素早さは物凄かった。まるで消えたかと思う程の素早さには父さんも目を疑う程だった。
「『ゴブリン』に攻撃!」
「『ゴブリン』の宣言効果、〔石礫〕を『エイフィ』に発動」
コンとエイフィの腕に当たり、1ダメージを与える。特にエイフィは痛くなさそうで安心する。思った通り、体力の割合のダメージによって変わってくる様だ。これなら体力を底上げする強化魔法や装備を使えばエイフィの痛みを軽減する事が出来るという事だ。
「エイフィの攻撃を成立」
『ゴブリン』が攻撃される間際にエイフィの腕に傷をつけようとするが、華麗に躱し。一刀両断『ゴブリン』を倒す。
『エイフィ』の残体力:8。
「相手ユニットとの素早さの差が4以上離れている時、エイフィの素早さを相手ユニット、『ゴブリン』の素早さを引いた状態で行動権を相手に渡さずに再び攻撃する事が出来る」
「チッ。覚えてやがったか」
「父さん・・・?」
まさかの初心者相手にしっかりとルールを教えずに勝ちに来ようとする父さんをジーっと見る。
「ひゅ~ひゅ~ブフッ」
そっぽを向いて吹けもしない口笛をして誤魔化している。しかも変失敗の仕方をして咳き込んでいる。
「せこい父さんに攻撃!攻撃力9ならかなり痛いはず!しかも、素早さ4なら父さんには対応できないはず」
「フハハ!父さんを舐めるな!」
「ワザと『リザードマン』を倒させていたのか!?」
流石にそう甘くはないか。
「マナを溜める!さぁ来い!」
ライフで受けるというやつだった。
「エイフィの攻撃を成立!」
「いっでー!!」
ザシュっと見事に切り裂かれ、血飛沫の様にカードが9枚飛び散る。まじ、痛そう。
「お、俺は9枚全てを逆転チェックを行う。いてぇ・・・ちょっと涙出そう」
後半ぼそっと聞こえたのは聞こえなかった事にしてあげよう。
9枚を同時に展開。すると一枚の【逆転】カードが捲れた。
「おっし。発動!」
『自然草の罠』
コスト:1 素早さ:1
【罠】 設置:地面
【逆転】ダメージを受けた時に発動できる。
・自然の絡まった草が相手の足にたまたま絡み付き、ダメージを与えたユニットを転倒させる。草を解く迄、そのユニットは行動出来ない。
「地味・・・」
ステーンとエイフィがこける。顔面直撃でこける事はなかったが地味に痛そうだ。しかも、草が絡まって外すのに手こずっている様だ。
「何を言う!この自然の罠で俺が何回助かったと思っているんだ!」
確かに、カードゲームでなく、実際に襲われている時にそんなことが起こると九死に一生を得るというやつだと思うが。
「この隙に、攻撃するんだよ!『リザードマン』でアマロを攻撃!」
エイフィは行動が取れない為、庇って貰うことも出来ない。そもそも庇って貰うつもりなどない。庇う行動は、素早さ関係なく相手の攻撃が入ってしまうからだ。
「取り合えず、エイフィ!その地味な罠から脱出だ」
手でやるのが鬱陶しくなったのか、剣を取り出し、草を切り裂いて脱出する。
「『リザードマン』の攻撃、成立」
「痛い・・・」
ダメージ4の痛みを我慢。
「動けるようになったエイフィで『リザードマン』に攻撃!」
「コストを合計4支払い『リザードマン』を召喚する!」
『リザードマン』はエイフィの素早さについてこれず、一方的に斬られる。『リザードマン』は素早さが1の為、先ほどの『ゴブリン』を倒した時と同様、再び攻撃出来る。
・・・何故、あの時『ゴブリン』で石礫を使ったのだろうか。特にスキルもその後に使わなかったし。
「アマロ、正直、父さんな舐めてたわ。水が溜まり大地が飲み込む。コスト8を使いフィールド魔法『スワンプ』」
フィールド魔法!?まさか、父さんがそんな魔法を使えたなんて。
『スワンプ』
コスト:8 素早さ:1
【フィールド】:地面
フィールドの地面を沼地に変える。
・【飛行】又は〔移動/沼〕を持たないユニットは素早さが半分(切り捨て)となる。
・移動/沼を持つユニットの素早さ+1
フィールド魔法はその名の通り、フィールドにいるだけで様々影響を及ぼすものである。
『スワンプ』効果により、エイフィの素早さが2になってしまう。
「エ、エイフィの攻撃成立」
「いっでー!!」
再び父さんが声を上げる。
現状
【フィールド】地面/沼
アマロ 手札:『ゴブリン』1枚『初心者です』5枚
メインデッキ:21枚 スキルデッキ:20枚 マナ:0枚
フィールド:『エイフィ』
ヴァーダ 『ゴブリン』1枚『ラビット』1
メインデッキ:13枚 スキルデッキ:20枚 マナ:0枚
ステータス:猟師
フィールド:『リザードマン』
「行くぞ、アマロ」
(父さんの目つきが変わった!?・・・気がする)
「フィールド魔法『スワンプ』がある時にのみ発動可能だ。コスト1支払い、『スワンプ・フォール』を『エイフィ』に発動する」
『スワンプ・フォール』
コスト:1 タイプ:罠 距離:遠
フィールド魔法『スワンプ』がある時のみ発動可能。
【飛行】を持たないユニット1枚を沼に落とす。
行動権を2回脱出に使わないとそのユニットは行動出来ない。
「今度は落とし穴か!?」
「そうだ、沼の落とし穴だ。しっかりと這い上がらないとどんどん落ちるぞ。という事だから2回行動権を使いしっかりと這い上がらせるがいい。しかもこれは相手のユニットのステータスなど関係なく低コスト足止めをする事が出来るのだ」
説明乙。
「だけど!コスト4支払い『フライ』をエイフィに発動!」
沼の落とし穴から空を飛び脱出する。飛行魔法だ。
『フライ』
コスト:4 タイプ:強化系 素早さ:1
【飛行】を与える。
「それぐらいの対策はしているぞ!コスト4を支払い『アースネイルド・ショット』を発動!地面に釘付けだ!」
『アースネイルド・ショット』
コスト:5 タイプ:弓 距離:遠
攻撃力:1 素早さ:3
攻撃がヒットした際、そのユニットの【飛行】を失わせる。また、その矢を抜かない限り新たに【飛行】を付与できない。
ユニットが攻撃中の場合、攻撃を中断させることが出来る。
今までで一番早い矢だ。それに何か黒い靄みたいなものが纏っている。
「くっ!?なら止めるまで!コスト4を支払い『ハイクイック・シールド』で防ぐ」
『ハイクイック・シールド』
コスト:4 タイプ:防御 素早さ:3
ダメージを2軽減
「『アースネイルド・ショット』の攻撃を成立させる。俺の弓装備の効果で攻撃力は+1され、『ハイクイック・シールド』を壊す」
『アースネイルド・ショット』シールドに阻まれ、シールドが割れると共に矢が落ち始める。
「よし、エイフィ。父さんに攻撃だ!」
「甘い、甘いぞアマロ!対策はしていると言っただろ!コスト4を支払い『アースネイルド・シャドーショット』を発動」
『アースネイルド・シャドーショット』
コスト:5 タイプ:弓 距離:遠
攻撃力:2 素早さ:4
『アースネイルド・ショット』の攻撃成立をさせた次の行動権の時に使用可能。
攻撃がヒットした際、そのユニットの【飛行】を失わせる。また、その矢を抜かない限り新たに【飛行】を付与できない。
ユニットが攻撃中の場合、攻撃を中断させることが出来る。
「んな!?」
まさか、そのスキルでも出来る何て。
「コスト7を支払い『ハイクイック・ハイシールド』を発動」
『ハイクイック・ハイシールド』
コスト:7 タイプ:防御 素早さ:5
ダメージを3軽減
「まだ、そんな魔法を隠し持っていたのか!?」
(けど、スキルデッキがもうほぼない。だけど、それは父さんも同じこれを防げれば、あとはエイフィで圧倒できるはず)
「『アースネイルド・シャドーショット』の攻撃を成立」
弓装備の効果により、攻撃力が+1されているので、攻撃力が3となり、『ハイクイック・ハイシールド』のダメージ軽減3を相殺する。が、
「エイフィの攻撃を成立させる」
またもや豪快に斬られる父さん。
「だから、痛いって言ってるだろ!」
何だかキレだした。
「逆転チェック!・・・よし、これでどうだ!」
『倒木』
コスト:7 素早さ:1
【罠】設置:地面
【逆転】
ダメージを受けた際にそのユニットに偶然、大きな倒木が倒れて行動を封じ、ダメージを4与える。
行動権を使用して抜け出す事が出来る。抜け出すまでダメージが回復しない。
「がはっ!?」
急に現れた倒木の下敷きになるエイフィ。
「エイフィ!」
「だ・・・い・・・丈夫」
とは言うものの辛そうだ。体力が残り5。回復しないし、助けないとエイフィは動けない。
「【逆転】での効果の為、行動権はまだ俺にある!さぁ『リザードマン』!エイフィに攻撃だ!行動を封じられているから反撃も出来ないぞ!」
「ならその前に助ける!」
エイフィの上に倒れていた木が横に転がり落ちる。
「『リザードマン』の攻撃を成立」
「ああ!!」
「キシャー!?」
『リザードマン』の剣がエイフィの腹を抉る様に切り裂き、エイフィは『リザードマン』を斜めに真っ二つにした。沼の効果により、素早さが半分になっている為、一方的に倒す事は出来ずダメージを負ってしまう。
エイフィの立っている地面が血で染まっていく。
「はぁはぁ」
「ごめん・・・ごめん!」
体力が残り1となった血を大量に流しているエイフィを見て謝らずにはいられない。泣きそうだ。早く、進行させて回復させてやらないと。
「・・・マナを溜める」
「俺は、まだ『エイフィ』を対象に行動を取り続けているからまだ、『エイフィ』は回復しない。残り体力1となっている『エイフィ』に俺は弓で攻撃する」
自身の装備している弓を構えて射る。
「くそ、防いでももう一度攻撃されればエイフィがやられてしまう。どうしたら・・・」
何とか、エイフィを殺されないようにして勝つ方法を考えるが良い案が思い付かない。
「・・・ア、アマロ。勝って・・・」
無理に笑って答えるエイフィ。
「ぜ、絶対に・・・勝って・・・」
一度目を瞑り、今何をすべきか考える。別に勝っても負けても何もない試合ではあるが、エイフィが勝ってと言っている。実際に死ぬわけじゃない。試合が終わればまた直ぐに会える。なら、エイフィの願いを聞き届けるべきじゃないのか。
その意味も込めてエイフィを真っ直ぐに見ると、エイフィは微笑んで頷いた。じわっと俺の目に涙が溜り、頷き返した。
「お、おれはマナを溜める」
「はっはー!遂に厄介な『エイフィ』を倒したぞ!攻撃成立!」
矢が、エイフィに当たり、エイフィが倒れる。
「エイフィ!!」
思わず叫ぶとこちらを見て、僅かに微笑みながら粒子となって消えてしまった。
「さぁ、アマロ。どうする?あとはお前に何が出来るんだ?ん?」
「この糞オヤジ!」
「親に向かって糞とはなんだ!」
「マナを溜める!」
「この!」
「早くしてよ」
喚く父さんに切れ気味で言う。
「ぐぬぬ。俺はもう、メインデッキもスキルデッキもほぼないからな、後はお前に弓を射つづけるだけだ。ダメージは2だから対して痛くないから・・・な!」
「コスト7を支払い『ハイクイック・ファイアランス』を発動」
『ハイクイック・ファイアランス』
コスト:7 タイプ:炎/槍
攻撃力:4 素早さ:3
「死ねーーー!!!」
「おま!?さっきから親に向かっていう言葉じゃねーだろー!!・・・何もできないから弓の攻撃を成立」
「『ハイクイック・ファイアランス』の攻撃を成立」
「!?」
「あっつい!」
お互いほぼ同時にダメージを受ける。
「逆転チェック・・・まじかよ・・・なしかよ。俺が・・・負けた?」
「勝ったよ、エイフィ・・・」
正直、最後のは賭けだった。【逆転】が発動すればまだ、勝負は終わっていないからだ。その場合、【逆転】の効果次第でもあるが、マナを溜めている間に先に倒される可能性も十分にあったからだ。
最終結果
アマロ 手札:『ゴブリン』1枚『初心者です』5枚
メインデッキ:19枚 スキルデッキ:0枚 マナ:0枚
フィールド:『エイフィ』
ヴァーダ 『ゴブリン』1枚『ラビット』1
メインデッキ:0枚 スキルデッキ:2枚 マナ:0枚
ステータス:猟師
フィールド:『リザードマン』
勝者、アマロ
女性の声がフィールドに響き渡り、フィールドが光の粒子となり、消えて行く。
枚数の計算ミスがあったらごめんなさい。