最終回 エスピーとスナイパーはスパイラルパートナー
とくに何事もなくパーティーは終わった。
「あの、よかったら」
冷蔵庫からいつぞや貰った試供品のエナジードリンクを取り出した。
私はこういうドリンクが好きじゃない。
冷蔵庫のこやしにしておくのも勿体ないので、誰かにあげたいと思っていた。
「いただく訳には」
「飲む人いないんで…」
「では、任務が終わり次第…」
SPさんは懐にビンをしまった。
次の日、思いがけない出来事がおきた。
なんと母の元カレが逮捕されたのだ。
――――これでひと安心。
「いままでありがとうございました!!」
「いえ、大してお役に立てず」
問題はおきなくても安心はできたのだからそれで十分だ。
SPさんが帰って、寂しいと思っていたところ―――――
誰かが部屋にいる。
まさか、殺し屋―――――
電気をつけて、近くにあった棒を握りしめた。
「あなたは…」
スーツではなく、うごきやすそうな格好をした元SPさんだった。
どうして、彼が私を殺しにきてるの?
「正体を明かしにきた」
「なんで…正体って」
「俺はお前の母に雇われたスナイパーだ」
「え?元カレじゃなくて?」
「二人は共犯なんだよ」
あまりに突飛すぎて、頭がついていかない。
「最初にお前を見たとき、殺したくなくなった
今まで見てきた人間は、生きててもしかたない悪人だった。だがお前は違う」
「…SPさんは偽物だったの?」
「格安だったろ。
実際の警護については目の前の箱で調べろ」
「……どうして、それを話してくれたんですか」
「さあな……もう俺と会うこともないだろう。大財閥のお嬢サマ」
え――――?
彼が去って、間もなく、私は実の父親に保護された。
なんと父は資産家だったのだ。
小説より奇なり、とはこのことだろうか。
「お嬢様、紅茶はいかがですか」
「もらいます」