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一話

拙いものですが見て行ってくださると嬉しいです。

短編とは殆ど変わりありません。


誤字修正しました。





私が転生者だと分かったのは、これから行く学園の初等部校舎での見学の直前。

それも目の前にあるこの学園ーー桜峰(おうみね)学園という名前で思い出したのだ。




この世界が前世でやった乙女ゲームの世界に酷似していると。




正直、最初は自分でも何考えてるんだと思いましたよ、ええ。

私はこの世界ではまだ六歳だ。なのにフラッシュバックで今の私ではない『私』が大人になり、就職して、仕事をしていたという記憶が脳の中で駆け巡った。けど、その記憶は『私』が三十代になる前に終わっている。


それは、交通事故に遭ったからだ。確か自動車側の信号が赤だったにも関わらず、猛スピードで車が突っ込んできたはず。痛みもなくそのまま目の前が真っ暗になったということは、即死だったのだろう。他人事みたいに言うけど、本当に事故に遭った時は何が起こったのか分からなかったのだ。

相手がどうなったか分からずじまいだけど、今からそいつに会って一発殴りたいんだが。転生してしまった今は無理か。チッ。


「美夜子、顔色が悪いけど、どうかした?」

「お兄様」


隣で私を怪訝そうに見つめてくるのは今の私の兄、西園寺(さいおんじ) 悠人(ゆうと)だ。

そう、今の私は西園寺(さいおんじ) 美夜子(みやこ)。家は西園寺グループという大企業の会社を牛耳っており、私のお父様はその社長に座している。

そして皆様が思う通り、そういう子どもは超がつくほどのお坊ちゃまお嬢様だ。今さっき前世を思い出した私の中身は庶民だが。


その私が行く桜峰学園は、お坊ちゃまお嬢様が行く初等部から大学部までエスカレーター式で行けるお高い学校だ。

私は来月から初等部に入る予定だが、兄は三年前にその入学を終えている。来月で確か四年生になる筈だ。

そんな兄はまだ十歳にもなっていないのに、顔立ちがとても整っていて、イケメンというのが分かる。何だこのイケメン。金持ち、そして先程の心配そうに声をかけてくる優しさ、イケメンの三拍子って。狙われる確率大だな(主に女子から)。


けれど先程の心配げな対応も、私に対してだけなのだ(親には私よりかは軽い)。屋敷、西園寺グループの会社に勤めている人には多少寛容だが、それ以外の他人に対してはこんなことは絶対に(滅多にでは)ない。

でもまあ、そういう贔屓目もあって私はこの兄が大好きだ。ブラコンとまではいかないけど。


「いいえ、何でもありません。大丈夫です」

「そう? 体調悪く感じたらすぐに言うんだよ?」


こっくりと頷くとまだ心配そうだったが納得した様子だ。


さて、話を戻そう。

この学園ではお坊ちゃまお嬢様が入学するところだと言ったかな?うん、そして中等部、高等部になるとありがちなことに外部生が入学してくる。つまり学歴を買うということ。

その高等部に、この世界の物語の主要人物、主人公が入学してくるのだ。

確か私はその子の友人役だったはずだ。決してイジメっ子ではない。

そして、何が重要かと言うとこの世界の物語の攻略対象者が人外、という点だ。


この世界は、前世で嵌まっていた『桜の花弁~君の手のひらを捕まえて~』というR-18指定の女性向け恋愛シミュレーションゲーム、所謂その乙女ゲームの世界観に酷似しているのだ。

正直言って学園ものにR-18が出るのはヤバいのでは……と思ったが、そこはほら、所詮ゲームだし。

そして、私はもう既に攻略キャラの何人かに出会っている。

正直言ってリアルで出会いたくなかったの一言だ。今更だけど。

日本の妖怪から海外の魔物やらが出てくるんだよ?しかも攻略キャラの全員が全員主人公の血を欲しがるって何の妖怪だよ。海外である吸血鬼なら分かるけど、日本の妖怪で血が欲しいって、ないからそんな妖怪。あるとしても髪の毛から血を吸う磯女くらいだから。



……話が逸れた。



取り敢えず、そんな人外な奴らにヒロインはやらん。何故かって?それは前世の私が主人公至上主義だったからだ!

健気で明るく、強い意思を持っていた子で、それぞれ攻略キャラが抱えていた悩みを何度も払い、恋人に発展するが周りからの脅威が二人を離そうとしたり、運命の悪戯に攻略キャラが苛んだりと、なかなかに凝っていた気はする。……多分。

兎も角、そんな事もあってヒロインのそんな痛々しい姿が見れなかった。あいつらに関わったばかりにあんなことが起きるなんて、これはもう目標が決まったも同然だ。


ヒロインと会って攻略キャラ達に会わせないようにする!


いや、会えるかどうかも分からないけどね?でももし実際に十年後ここに入学してきたら、出会いやらイベントが避けられないかもしれないのだ。それはなんとかしなければ。

それと、確かあの攻略キャラ達は随分とひねくれてしかもエンドではそれぞれ軽いヤンデレから重いヤンデレが発揮されていた。

二次元だったら需要はあったけどリアルではお断りです。さらに人外という点でもう既にお断り。こっちは普通の人間ですから。ということで、入ることになりました、桜峰学園に。


本当は高等部までは他の学校でも良いと思ったけど、それは両親、特に兄が許してくれなかった。

「美夜子がそっちに行くなら僕もそっちに行く」とのこと。

いやあの、シスコンは発揮しなくても良いんですよ?悠人お兄様。


何はともあれ、攻略キャラに顔が知られるのは癪だが、我慢しよう。ヒロインのために!そのためには高等部までひっそりと生きねば。





誤字・脱字がありましたら教えてくださると嬉しいです。


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