茶会という名の
貿易港サカイでは大規模な茶会が催されていた
広大な梅園にぽつりぽつりと茶室が点在している
出席者が自分の茶室を思い思いに設えたようだ
主催者はナリカワ ヒデミツ
招かれたのはサカイの商人達
だが招かれた事は決して喜ばしい事ではないようだ
ヒデミツは鎮西つまり九州への遠征の戦費を商人達に捻出させようとしていた
法外な金額を要求された商人達は皆口々に不満をこぼしている
その中にはニザエモンの姿もあった
「どうしたものか、二千万両も出せと言われて
はい、そうですかと出せるものではあるまいぞ」
「なんと!二千万両?
うちは二千五百万両ぞ
我が方が商売の規模は小さいと言うのにどういう事だ!」
色を失った一人の商人の肩に 落ち着けとばかりに手を置きニザエモンが言った
「まあまあ、お気を鎮めなされ
ナリカワ殿はわざと不公平に金額を要求して
我々の仲違いを狙っておいでなのだろう
皆の要求額を合わせて持ち船の数積載量で振り分けると言うのはどうでしょうな」
「それでは海運だけで商っている儂には不公平だぞ」
「ごもっとも、各々納得行くまで話し合い
我々の結びつきかえって強固なものとしましょうぞ」
ニザエモンがそう告げるとみな納得した様子だ
「小賢しいマネをしおって
あの田舎侍め
おのれの愚策で皆が混乱しておると思い込ませてやろう」
ニザエモンはヒデミツの茶室へと向かって行った
ヒデミツの茶室は奥まった所にあり周囲からは目は届かない
密談に使う目的もあるのだろう
ちょっとした竹林をぬけるとヒデミツの茶室が見えてきた
「ヒデカツ!遅い!今までどこに行っておった!」
「ほほぅ、これは儲け話かのう」
茶室から聞こえて来たヒデカツを叱責するヒデミツの声に
ニザエモンは裏手にまわり聞き耳をたてた




