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六角の花   作者: フミ
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策士と食わせ者

「アキヨリ殿 屋敷を出たらやって欲しい事があるのだが」


ニザエモンはアキヨリの体を上から順に観察するように

頭、肩、腕、尻、足といった具合に句読点をつけるように眺めた


「何で御座ろう?」


「歩き方に癖が御座るな

大怪我なさって完治間もないと見た」


「ご名答!

決まり文句頂きました」


「ははは!

いや笑い事ではない失礼した

此度の戦心中察する

先程ヒデカツ殿と姿を眩ました時はいかように?」


「心遣い痛み入る

それなら拙者がヒデカツを肩に担いで走り申した」


「なんと!

陶芸家には無用の剛腕脚力

しかし下手を打ったな」


「ニザエモン殿もお気付きか」


「見張られておるな しかも手練れ

此度同行したヒデカツ殿の家臣の一人であろう

恐らくヒデミツ殿が派遣したお目付役かと思われる」


「やはり ヒデミツ殿にも拙者の事周知となったか

どうしたものだろう…」


「こうしたらどうだろう

彼奴もそこもとの足に気付いておろう

ヒデカツ殿を担いで無理をした為古傷を傷めて歩くのも難儀している芝居を打ってみたらどうか

シジマ アキヨリはもう脅威ではないと印象づけるのだ」


「なるほど見張られていること逆手に取る訳ですな」


「鎮西平定を控えてヒデミツ殿も課題山積であろう

そこもとを侮るならすぐには何もしては来るまい

時間が稼げるというものだ」


「少しだけでも聞かせてはくれませぬか

ニザエモン殿の策というものを」


「ははは!

正直何も考えてはおらぬ

だか目的は天下だ!」


「どういう意味で御座るか」


アキヨリは下から突き上げるように語気に力を籠めた


「ははは!

戦ではない金だ!金にて日の本を買い上げ天下を取る積もりじゃ

それがしとて元は侍 野心は人一倍じゃ

それにアキヨリ殿は天下はナリカワのものと決まったと思っておるのか」


「それは…」


「やはり分かっておったか

ナリカワは金で天下を治めようとしておる

侍は金では心底心服したりはせん

逆に金に尻尾を振るような輩は初めからおらん方がよい

心を治めるは信、義

世を治めるは法

それがしは今一度天下分け目の大戦があると見込んでいる」


「それ以上は申してくれるな」


「まあよい

それがしとて戦など無いに越した事は無いと思っておる

さっ外に出ますぞ」


二人は悪戯な笑みを浮かべすぐにひっこめた


「ぐっ!ニザエモン殿許されよ

先程の無理が祟って歩みがままならぬ

うっ!うわ!」


アキヨリは足を引き摺りもつれさせてよろけ倒れようという所をニザエモンに支えられた


「アキヨリ殿体を慈しまれよ

見送りはここで結構

それではさらば」


「申し訳御座いません

此度は失礼に失礼を重ね申しました

これに懲りずこれからもごひいきにお願いいたします」


ニザエモンは振り向きもせず草履を履き屋敷を後にした

そして門をくぐり山道に出ると自らに向けられた視線を確認し

吐き捨てるように独り言というには大き過ぎる声で呟いた


「シジマ アキヨリ語るに落ちた!

胸くそ悪いわ軟弱者!」


悪戯な笑みを殺すにはかなりの労力を用する行為であった



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