魂は惹かれ会う 似た色を持つが故
「ニザエモン殿これではラチが開きませぬ
一、二、の、三でお互い頭を上げるというのは如何か⁉」
「おお!それでは某が音頭とる故
一、二、の、三!」
ニザエモンの掛け声で二人が顔を上げると二人の予想に反したものが目の前に現れた
イヨ姉様の顔だった
「うわっ!姉様!」
「なんと!イヨ様!」
「なんだい!なんだい!
驚いてんのはあたしの方だよ
やい!色男あたしを騙してたね
シジマの殿様だなんて聞いて無かったよ!」
「いやいや、この事が知れたら姉様にも迷惑がかかりますから…」
「知ってたけどね」
「えっ⁉」
「だって作務衣に名前書いてあったもの」
「なっ!なんと!確かに!
はあ…我ながらなんと間抜けな…」
「ははは!はははは!
アキヨリ殿は東国一のキレ者と聞き及んでおりましたが
如何かなさった
ははは!ははは!」
「今日は恥をかき通しで御座る
それにキレ者などというのは事実に反しまする
野放図な拙者の案を策と呼べるものにして下さったのは全て兄上の力で御座る」
「ははは!ははは!
謙遜なさるな!
アキヨリ殿此度ヒデカツ殿が何故そなたがここにいること分かったのか見当つきますかな?」
「そこで御座る
さっきから引っかかっておりました…
拙者と外の世界との関わりは無かったかと思いますが…
唯一の繋がりと言えば…
もしかしたら拙者の作った茶器で御座るか⁈」
「ご名答!
ヒデカツ殿はそなたの茶碗の曲線をそなたの作る弓の曲線になぞらえて御座った
だがそれでそなたの名は出さず
この茶碗を作った職人に会いたいと申し出なさったという次第で御座った」
「なんと!拙者を良く知る人物が見れば拙者が作った物だと分かりかねないという事か…
また土捏ねだけの見習いに逆戻りか…」
「いやいや、これまで通りどんどん焼いて下され
倍の値段で買い取らせて頂く」
「何か企んでおられるな」
「ははは!
ご名答!しかし今は明かす訳には行かぬ」
「だったらお売りできかねる」
「ははは!
本日はこれにて失礼つかまつる
近い内にある御仁を連れて参る
その御仁を見ればアキヨリ殿もそれがしを信用するであろう」
「含みを持たせますな
拙者はニザエモン殿にとって
利用価値がある
ならば利による繋がりが出来たという訳で御座るな
手の内は見せぬが手の内は見せぬというのは見せる
拙者の興味を引いておられるな」
「ご名答!
楽しゅう御座ったアキヨリ殿
リッカさんいるので御座ろう?
せっかくのもてなしであったが
急いで戻らなくてはならなくなった
無礼をお許し願う
アキヨリ殿そこまでで結構だが送ってくれまいか?」
襖の影からリッカの声が応えた
「ニザエモン様アキヨリ様の事どうかご内密にお願いします」
「あっ!そうで御座った!
ヒデカツは先に帰り申した
ヤツの家臣達が山小屋でお待ちしているようです」
「言わずもがな
それでは参ろうかアキヨリ殿」
立ち上がる直前ニザエモンはイヨ姉様に耳打ちした
「イヨ様大変な秘密を聞いてしまいましたね
ただでは帰しませんよ
近い内にさらいに参りますから」
「ひゃー!」




