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六角の花   作者: フミ
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ダブル土下座

僅かに眉間にシワを表し小さくなったヒデカツの後姿に目をやったままアキヨリは呟くようにリッカに尋ねた


「ミクリヤ殿はまだ居られるのだろう?」


「まさか!お会いになるのですか?」


「ああ どんな御仁か分かれば手の打ちようもあるだろう

俺は会った事は無いが

シジマ家やゴクラクサイ様とも所縁のあった方だ

俺がここに居る事をとぼけて何とか出来る方では無いのは知っている

だったら味方になってもらう他無い

お会いしなければ失礼だ」


「あなたがそう仰るなら…」


アキヨリとヒデカツを見つけた雑木林から屋敷までの道のりは

僅かな時間で距離で終りを告げる

リッカにはそれがアキヨリと過ごせる最後の時間の様に思えてならなかった


「リッカどうした?」


「なんでもない…」


「なんでも無い訳無いだろう?

不安にさせてしまっているのだろう?」


「分かっているならどうしたなんて聞かないで下さい!

どうせあなたは行ってしまうのです!

沢山の本当に沢山の人があなたを必要としているのです!

ヒデカツ様のお誘いは断ったようですが

あなたが家臣の皆様をご自分の命より大切にしているのは痛い程分かっています!

生き残った家臣の皆様から帰ってきて欲しいと言われたらあなたは断れるのですか!

俺の事は忘れてくれ何て惨い事を仰れるのですか⁈」


「言うさ」


「嘘よ!」


「皆の為に言うさ

俺が戻れば皆シジマ家の復興を願うだろう

それは戦を災いを呼ぶだろう

皆はそれを恐れるどころか望むだろう

皆の命の為俺はここに居る

お前を安心させようとして言っているのでは無い

客観的に考えてそう思うのだ」


「分かりました

でも一つだけ仰って下さい!

わたしの為にこの子の為にここに居るって!」


「ああ お前と生まれてくる子の為にここに居る

だがそれだけじゃない

俺は俺の幸福の為にここに居る」


「少しだけ…少しだけ安心できました

ありがとう…」


「ああ 幸福とは自分の道を切り開こうと行動し努力する者にだけ訪れるのだ」



リッカの屋敷の客間からは笑い声が漏れ聞こえてくる


「あっきゃきゃきゃきゃ!

それで捕まったニザエモンちゃんとゴクちゃんはどうしたんだぇ」


「ははは

イヨ様は朗らかにお笑いになられますから話していて張り合いがあります

それでいて下品な感じはいたしません

非常に魅力的に感じられます」


「うわ!このジジイもおべっかが上手いよ!

なんだい今日はおべっか祭りかい⁈

ああそうだよ!

話のつづきだよ捕まってどうなったんだい?」


「ナガヨリ…いやゴクラクサイのヤツは尻から火炎を噴き出しましてな」


「あーきゃきゃきゃきゃきゃ!」


「シジマ アキヨリと申す

ミクリヤ ニザエモン殿にお目通り願う!」


「きゃー⁈」


襖のすぐ向こう側から腹に力の入ったよく通る武士の声が襖を震わせ

さらに震えた襖がアキヨリの声帯となった


「おお!ならば拙者はカミカワ ニザエモンとしてお会いいたす!

襖を開けられよ!

シジマ アキヨリ殿よ!

我が同胞の息子よ!」


「御免!」


勢いよく襖が開け放たれ堂々とした偉丈夫が現れた


「散々お世話になっておきながら長々と身を隠していたことお詫び申し上げる

この通り!」


偉丈夫は堂々とした土下座を披露した


「頭を上げられぃ!

それがしの短慮により其方を騒動に巻き込んだようだ

此方こそお詫び申し上げる!」


ニザエモンも豪快な土下座を披露して見せた


「きゃー⁈」



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