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六角の花   作者: フミ
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野心

ミクリヤ ニザエモンの舌打ちの理由

それは金儲けの好機をみすみす逃したからに他ならない


天下はほぼナリカワのものと定まったとはいえ

ナリカワの世を良しとしない大名は数多くいる

一つ一つの勢力は小さいものの力を合わせる事が出来ればもう一度天下をひっくり返すのは容易である

各々の家を第一とする彼等が意思を一つとする

動機、

きっかけ、

名目

は幾つかあるが

初めて武家政権を確立したヨリトモの血をひく名門シジマ家の存在はそれ等の中でも一際大きく

先のイスパニアの外威より日の本を死守したアキマサの戦いは諸大名の心を強く打った


そのシジマ家の象徴と言うべき超常の力を持つシジマ アキヨリの生存並びに所在をただ一人知る

それは上手く立ち回れば天下を手の平で転がし巨額の富を得る絶好の機会であった

その好機に自分は一番近い存在だった筈だ

ホゾを噛まずにはいられなかった


それだけではない盟友ゴクラクサイの遺したこの工房を厄災に巻き込んでしまったのではないか

自責の念も次第に強まりつつあった


「ヒデカツ様

アキヨリ様とはどちらのアキヨリ様で御座いますかな?…あっ!ああ?…」


ニザエモンはとにかく時間を稼ぎ最良の策を模索しようとした


だがヒデカツの姿は既にその場には無かった


「アキヨリ!降ろせ!何をそんなに激しているのだ!」


ヒデカツは何時の間にか忍び寄ったアキヨリの肩に担がれ少し離れた雑木林にいた

多少大声を出してもリッカやニザエモンには聞こえない距離だ


「約定を違えたなヒデカツ!

俺の事は他言無用と言った筈だ!」


「誰にも言ってはおらん!」


「言っているのも同じだ!

商人などに知れたら瞬く間に知れ渡るぞ!」


「だったらお前も同じだ!

麓の集落にいると言ったな!

俺を謀ったな!」


「ああ…それはすまん

どうだ落ち着いて話してはくれんか?」


アキヨリはヒデカツを降ろし

上手い具合にそこにあった切株に座らせた


「全く勝手だ

アキヨリ先に落ち着きを失っていたのはお前だろう

だいたい何故そんなに身を隠そうとするのだ?」


「わからんか?」


「ああ分からん」


「ならば言って聞かせてやる

俺の存在すなわち火種だ!」


「何を言っている?

まだまだ東西の諸大名の情勢は不安定だ

お前程の力を持った者が隠者を気取っているのは怠慢以外の何者でもないぞ!

今すぐシジマの残党をまとめ上げ共に天下を平定するのだ!」


「それをお前の父君が望んでいるとでも言うのか!」


「望んでいるに決まっているだろう!」


「ヒデカツ!お前は何も分かっていない

よしんばナリカワ家シジマ家力を合わせ天下を平定したとする

その後だ

ナリカワ家にとってシジマ家は政権を脅かす存在以外の何者でもないぞ!」


「お前がそんな事をする筈が無い!」


「つもりが無くても周りはどうだ

俺を担ぎ上げようとする輩は数多くいるぞ!

そんな存在の俺を父君が放っておく筈は無いだろう!」


「父上は鬼や悪魔ではないぞ!」


「鬼や悪魔でなくとも聡明な指導者なら当然の処置だ!

お前は純粋過ぎるのだ世の中はそんなに分かりやすいものではない!」


「ああ!ああ!ああ!分かった分かった!

ならば俺の本心を聞かせてやる

シジマ家の当主として世に再び出るのがそんなに嫌なら

俺の片腕としてならどうだ⁈

俺は愚かな兄達を追い落とし

ナリカワ家の当主になる

力を貸してくれ!」



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