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六角の花   作者: フミ
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家族

アクヤの蹄音はある主の心情を孕んでいた

それは躊躇であった


「ああ もう昼だ…

なんと言って顔を合わせたら良いものか」


もうリッカの屋敷は見えているが

中々踏ん切りがつかない

平常心でいられるだろうか?

気取られてしまわないだろうか?

アキヨリの心の波はまだ完全に収まってはいない

仇と会っていた そして兄達の雪辱を晴らすどころか

逃げる手伝いまでした

知られたくなかった

最愛の人に軽蔑される

それが恐くて仕方がなかった

兄に叱責されるのは恐ろしかったが突き離される恐怖とは異質なものだ

アクヤはじれったそうに振り向きアキヨリの様子を伺っている


「リヨウちゃんアキヨリ様はどこ!

教えてよ!連れて行ってよ!」


リッカの声が聞こえてくるとアクヤは勝手に走り出した

戦友の危機に駆け付けるは優れた軍馬の第一条件である


「おい!アクヤ!ちょっと待て!

なんでお前はいつもそうなんだ!

自分で正しいと思ったらそれでいいのか!」


馬耳東風という言葉があるがアキヨリの声はまさに東風であった


案の定リヨウは大苦戦の只中にいた

完全包囲状態だリッカ達に囲まれ絶体絶命四面楚歌である

囲師は周することなかれ

完全包囲すれば敵の決死の覚悟を促し手痛い反撃を受ける

だがこの場合只可哀想というものだ

アキヨリの命令に従い先に戻ったらこの有様だ


「リッカ君は孫子を知らずか」


「アキヨリ様!」


アキヨリは急に走り出したアクヤに体勢を全く合わせておらず

仰向けにぶら下がるというか寝そべっていた

それをリッカは駆け抜けざまにむしり取り強く胸に抱いた


「うわぁぁきうょぇるぇいざまぁ

いっだうぇいでてこにぃぃ!」


何を言っているか分からなかったが何が言いたいかは分かった


「すまない

正直に話すから許してくれ…」


リッカの気持ちに応える方法をただ一つしか持ち合わせないアキヨリは

今まであった事全て事細かに話して聞かせた


リッカはただ腕の力を強めるだけであった


ゲン、チョウキチ、タノスケ、マイ、オタマ

も駆け寄り次々にのしかかって来た

アキヨリの葛藤、喪失感を自らの体温で溶かすかのように



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