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六角の花   作者: フミ
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ターゲット

夫婦円満


おめでとうアキヨリさんリッカ


おめでとう私も幸せです


俺も早く嫁が欲しい


おめでとう幸せにな



リッカの作業台の前の壁には皆の寄せ書きが貼ってある

それをニヤニヤしながらその日の作業の下準備をするのが彼女の日課となっていた


「あぁ~三鴨山の~すだちを食べたら若武者口が尻の穴~あ尻の穴~

あーはっはっはっはっひー

あははあはは

アキヨリ様が聞いたらなんて言うかしら」


ダカダッ!ダカダッ!ダカダッ!


けたたましい蹄の音が凄まじい早さで近付いてきた


「何かあったのかしら⁈まさか!」


リッカは不安になり外に飛び出した

心を支配したのは まだ雪の残るあの時のアキヨリとアクヤの去って行く後ろ姿であった



天守閣の十字架それはサナガ ジョスイの支配下を意味し

十字架の破壊はそれの終りを意味する


トミナリ城を取り巻く情勢が急速に変化している

アクヤとリヨウもそれを察したのかその速度は戦場での彼等を彷彿させた


「ジョスイめが敗れたのか⁈

あやつがここまで逃れて来るようならここも戦場になってしまう!

それだけはさせるものか!

しかし何が出来る⁈

考えろ!何か手はある

ジョスイめと遭遇したなら先ずどうする

考えるまでも無い

兄上の皆の仇討たせ貰うぞ!」


仇という言葉に何故かアキヨリは違和感を感じた


「アキヨリ様ー!いかがなさったのですかー」


「ちょっとそこまで すぐ帰るよー」


槍を持ち出したかったが不安にさせるだけである

敗走してくる敵ならアクヤとリヨウがいれば丸腰でも奇襲を用いて討ち取る手はいくらでもある


「先ずは城を見渡せる所探そうか

リヨウ案内せい!」


リヨウは俯瞰からのホウライ山の地形を理解している筈である

アキヨリは指で




見る


高い


と合図した


「ピイィィー!」


元々そのつもりだったのかリヨウは迷うことなく獣道に分け入った

敵に見つからない為の超低空飛行である


獣道は徐々に登り坂となった

それにつれ生茂った木々も段々まばらになり

辺りを見渡せるような高台に出た


すると先行していたリヨウが木の枝にとまり一点を見つめている

全身から発するのは凄まじい殺気である


待て!


アキヨリは咄嗟に指で合図したが

翼を広げ今にも飛びかかりそうだ


待て!


今度は手の合図ではなく心をぶつけた

何者かが近くに居る声は出せない


リヨウは渋々翼をたたんだ


「…リヨウ何が見える?俺の目にも見えるか?…」


リヨウの直ぐ隣まで木を登り小声で話し掛けると

リヨウはより一層視線に力を籠めた

視線の先には半町程先に道も無い雑木林を進む五人の人影

人物の特定は鷹の視力に遠く及ばないアキヨリの目にも可能だった


「サナガ ジョスイ‼‼」


アキヨリに待ての合図を送る者はいない




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