契
「アキヨリ様元気を出して下さい
必ず割れは出るのです
今回のような事は私も始めてです
素晴らしい事なんです
感動しているのですよ私は」
「兄上…」
「そっ!そうだわ!ご褒美として明日から轆轤を使って茶碗や皿の成形の仕事をしてもらいます!」
「本当に⁈」
「二月も見習いの仕事ばかりさせてしまって申し訳ありませんでした
屈辱だったでしょう
それなのに文句一つ言わずに…
今日はもうゆっくり休んで下さい
みんなもお疲れ様でした!」
「リッカその前に行きたい所があるのだが」
「えっ⁉お疲れでしょう?
三日もろくに休まず働いてくださったのですもの」
「父君の墓は近くにあるのだろうか?
考えてみればここに来てしばらく経つが一度もご挨拶させてもらっていない」
「はい近くに御座います
父も喜びます さあ日が暮れるまえに行きましょう」
ゴクラクサイの墓はリッカの屋敷から見える高台にあった
「アキヨリ様あそこです
墓石が見えますよね」
「あっ本当だ
なんで今まで気がつかなかったのだろう」
二人でアクヤに跨りアキヨリが袴のシワを直している間にもう着いてしまった
「お父様アキヨリ様ですよ
ずっと会いたがってましたよね」
「ん?俺は父君に会った事はあるのか?」
「何を仰っているのです
とても仲がよろしかったじゃないですか」
アキヨリが不思議がって墓石の文字を読むと戒名では無く
「ゴクラクサイの墓」
とだけ記してあった
「ゴクラクサイ様が亡くなったという報せはあった
覚えている
リッカここはシラセ家の墓なのか?
失礼だが父君の名はなんというのだ?」
「えっ?
アキヨリ様勘違いなさってませんか
年齢が年齢ですから無理もないかも知れませんが
ゴクラクサイは私の父です」
「ええええっ‼」
「あははあははあははやっぱり
あははあはは」
「何もそんなに笑う事はないだろう
しかし今考えると父君とは知らず大変な失礼をしていた
申し訳御座いませんゴクラクサイ様」
「違いますお義父さんでしょう」
「なっ!なっ!なっ!何を!」
「お父様私アキヨリ様と約束通り夫婦となります
見守っていて下さい」
「なんと!なんと!兄上の髭は折れていたのだぞ!」
「もう報告してしまいました」
「もう‼」
「アキヨリ様きちんとご報告してもらわないと困ります」
「困りますじゃないよ
ああもう!」
「お父様アキヨリ様が約束を反故にすると言うのよ」
「言ってないよ!
分かったもう腹を決めた!
アキヨリで御座います
ご存知かも知れませんが全てを失いました
仇を打つ事もなし得ておりません
武士としては死んだも同じで御座います
しかしリッカに再び命を貰いました
たった一つ残ったこの命でリッカを守って参ります
どうか!どうかこのアキヨリをリッカの夫と認めてくだされ
ゴクラクサイ様!アキヨリ生涯一度の願いで御座います!」
「父ちゃんと呼べよぅ」
「リッカ!聞こえたか⁈」
「聞こえました
ありがとうございますアキヨリ様
立派で御座いました
嬉しい…嬉しいあああぁぁぁ
幸せで御座いますぅぅ」
「いやそうじゃなく…空耳かなぁ」
「ひゃっはっはっはっ寿ぎ寿ぎかな」




