表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六角の花   作者: フミ
7/788

決意

心配そうに取り囲む家臣達を右手の掌を差し出し征しながらアキヨリは言葉を絞り出した


「大丈夫…大丈夫…すまない…」


すぐに立ち上がり祠の中に入ると

居残り組達は安堵の表情を浮かべたあとすぐ

アキヨリのただならぬ様子に色めき立った


しかし どう言葉をかけてよいのか分からず

アキヨリも中々言葉を発する事が出来なかったので

しばらく沈黙が続いた


「リヨウが彼奴らに捕まっている」


物見に行った一人がやっと口を開くと


「やはり彼奴らは敵だったか

で どこの軍勢か!」


「リヨウをそのままに戻ってきたのか!

俺だったら 助け出すまで戻りはせんぞ!」


などと よほど我慢していたのか各々自らの疑問 心情を吐き出した


皆アキヨリとリヨウの結びつきは知っていた

幼い頃どこからか 拾って来た雛をそれは慈しんで育てた

早くに父を亡くした寂しさも手伝ってか 片時も離れることはなかった


人でなし呼ばわりされた偵察組だか どう反論して良いか

何から話して良いか分からずにいると

アキヨリが皆の中心に どかりと座り込み


「順を追って話す」


皆アキヨリを囲んで次の言葉に全神経を注ぎ込んでいた


「先ずは事実を見て来たままに話す

兵力約四万

鉄砲五千

騎馬二千

兵糧は十五日分と言った所か

軍旗は帝の錦の御旗

帝の御輿も確認した その中にリヨウが捉えられていた

将兵の中に十字の首飾りをしている者がいた

そしてサナガ ジョスイ配下の

カトウ タナダが野営の指揮をとっていた」


居残り組は息を呑んだ

アキヨリは続けた


「その事実から俺の予想を話す

サナガの軍勢と見て間違いない

敵と和睦しここまで来たのだ

奴の戦地からここまで来るには都を通らねばならない

御館様が許す筈は無い

これは謀反である

ここまで来る事が出来たということは御館様の軍勢を破って来たのだろう

兵糧が少ないのは都での一戦から間もないのが原因で

我等さえ亡き者とすれば後はどうとでもなると踏んでの強行軍だと考えられる

サナガはナリモト攻めの不手際を咎められ配置代えされている

当時からナリモトと繋がっていたと考えてもいいだろう

俺が攻略出来なかった支城の奴等の不自然な抗戦はこれが原因だろう

偵察に来たリヨウを捕まえ帝の御輿に閉じ込めたのは帝が同行していない証拠だ

謀反の大儀として帝を担ぎ上げだけに過ぎない

帝も御館様には脅威を感じていたはずだ不思議な事では無い

鉄砲の数が多いのは南蛮のいずれかの国が加担しているかもしれん

異国の神を信仰する奴が利用されているとすれば

奴に我等が負ければ この国は南蛮の属国となるぞ!」


まくしたてられ一同仰け反った

いつもの事だか良くこの短い時間でと気圧されたが


「分かり申した!

しかし いつリヨウを助けだすのです皆が知りたいのはそれだけです!

だよな、な、な」


皆に確認するようにタキが告げるとアキヨリは考え込んだ


敵に見つからずリヨウを助け出すのは恐らく無理だろう

普通の鷹では無いのだ

今敵に悟られず味方の元に戻れば

奇襲をかけるのは我が方と高を括っているだろうサナガに奇襲をかけられるかもしれない

さらに鉄砲が別部隊で来ているのだ

上手く行けば勝利を一瞬で得られる

しかし兄達が支城の攻略に手間取っているかもしれない

その場合奇襲に割く兵は限られてしまう

奇襲と言っても四万に対してのものだそれなりの兵力は必要だ

確実なのは奴等を足止めする事だ

リヨウを助け出し足止めまで出来る策はあるにはあった

しかしこの人数で奇策に奇策を重ねて成し遂げなければならない策であり

成否は五分五分といったところだ

何より失敗した場合の痛手が大き過ぎる

リヨウの為に皆の命を危険に晒す事になるのだ


「アキヨリ様!いつ迄ぐだぐだと思いあぐねておられるか!

情けない!

我等の命預かってはくれぬと申すか!」


黙り込むアキヨリにタキの言葉の拳が放たれた


「あい分かった!皆の命俺にくれ

!!」


つづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ