表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六角の花   作者: フミ
69/788

勝ち負けでなく 奪い合うではなく 与え合う

自分の寝室にアキマサとイエナガの面を持ち帰りリッカはぼんやり眺めていた


「不公平だわ なんで始めからこんな物が作れるの

私はあんなに必死に修業して毎日毎日修業して

アキヨリ様と私何が違うというの?

アキヨリ様にあって私に無いもの…

外の世界…あの人は日の本中駆け回っていた…沢山の仲間沢山の敵沢山の栄光…

私に会うまでの十年間どんなに沢山の事があったか分からないわ

きっとそこなんだろうな…

私もこの山を離れてアキヨリ様と旅がしたいなぁ

アクヤちゃんに乗って蝦夷や琉球

南蛮船に乗って印度そして羅馬

はぁ…出来っこないのに」


バンッバンッ!


部屋の襖を激しく二回叩く音にリッカは現実に引き戻された


「はい!誰?入っても大丈夫よ」


襖を開けて入って来たのはマイだった

かた言だが少し話せるゲンと違って

彼女は言語を話す事だけでなく声自体出すことは出来ない

その為身振り手振りで何か訴え始めた

必死な様子だ

まず彼女は指で自分の目尻を釣り上げた


「つり目?ああアキヨリ様の事ね

アキヨリ様がどうしたの?」


次にマイは転んでのたうち回った


「アキヨリ様に何かあったの⁈

どこ⁈連れて行って!」


マイに連れられリッカが調理場まで行くと やはりアキヨリは床に倒れていて

それをオタマが彼の上半身起こすように抱えていた


「アキヨリ様!オタマ!ちょっと代わって!」


リッカは突き飛ばすようにオタマをのけると

アキヨリを先程までオタマがそうしていたように抱きかかえた


「ありがとう大丈夫だよリッカ

さっきつまづいて尻餅をついたら動かなくなってた足が急に痙攣して凄く熱くなったんだ

もう収まったよ

オタマもありがとうな」


リッカはアキヨリのオタマを気遣う言葉に

ハッとなってオタマを見ると悲しそうにうつむいていた


「ごめんなさいオタマ私どうしてこんな…ごめんなさい」


ゴチン!


リッカが今度はオタマを慌てて抱きかかえたので

アキヨリの頭は床と仲良しとなった


「ああ!アキヨリ様!ごめんなさい!」


「リッカ!そこまで!

永久に繰り返す事になるぞ

そんな事より指が動くぞ!

尻を打ったせいかな?

あはは!やった!やった!」


「本当!動いてる!良かった本当に良かった!」


「あぎ よ よがった!」


声を出せない者たちは手を叩いて喜んだ


「はぁ一時はどうなるかと思ったよ

みんなありがとう!

あらためて飯にしよう

リッカ今日は俺が作ったんだ」


「えっ⁉これを?アキヨリ様が?」


「食うまで褒めるな問題は味だろう?」


「褒めてません 盛り付けが豪快過ぎます

でも凄く美味しそう!

いただきまーす」


「リッカ!無作法だぞ!」


「美味しい!

みんな早く食べないと私が全部食べちゃうから!」


宴となった こんな楽しい食事はゴクラクサイが亡くなってからはついぞなかった


「今日が始まりなんだ

アキヨリ様の新しい人生の

でも私オタマを突き飛ばしたりしてどうしちゃったのかしら」


するとオタマが微笑んで少し憎らしそうに肘でリッカをつついた

相変わらずリッカの独り言は独り言ではない


食事がすむとリッカはサッとアキヨリに寄り添い肩を支えた


「なんだよ 大丈夫一人で歩けるよ

でもありがとうな」


「お部屋まで参ります

万が一また転んだりしたら」


「うん わかったよ」


「私やっぱり変だ

さっきは正直オタマが憎らしかったもの

そうだ私アキヨリ様に誰にも触れさせたくないんだ」


「おい!リッカ!何をする!」


「えっ⁉」


声を出さないようにと それだけに意識を集中していたリッカは

他の事がおろそかになり

あろうことかアキヨリの足を引っ掛けるように自分の足を運んでしまった


「んがー‼」


アキヨリは何とが受け身をとるように体を捻り

かろうじて敷きっぱなしの自分の布団まで横っ飛びしたのだが

また尻餅をついてしまった


「わ!わ!わ!私なんてことを!」


「痺れる!しび!痺れるが~

今度は膝が動くぞ~」


「えっ⁉あわわわ本当!動いてる!」


「あはは!動いた!動いた!

ありがとうリッカ」


しばらく動かさずいた方の足は細くなってしまっていたが

ぎこちないながらも膝はわずかに動いている


「ねえアキヨリ様」


「ん?なんだい?」


「まだ痺れます?」


「ああ痺れてる でもすぐ収まるよ

さっきもそうだったし」


「自由に動けます?」


「無理だ ちょっと背中に変に力が入る

支えてくれ 攣りそうだ」


「こうですか?」


「違うよ背中だよ」


「今アキヨリ様と私が戦ったら

私勝てます?」


「うん 勝てるよ

それより背中を」


「じゃあ勝たせていただきます」


「リッカ!」


「私がお嫌いですか?」


「な!な!な!」


「私がお嫌いですか!」


「……!」


「私がお嫌いですか」


「嫌ってなどいるものか

愛しているリッカ」


「私の勝ち」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ