呼ぶ声
「ねぇじっちゃん さっきのあれ
じっちゃんがやったんだろう?
俺にも出来る?
何がどうなってんの?ねえ」
「ひゃはは お前もしつこいのう
後でゲンユウサイに教えてもらえ
あいつは何でも知ってるからなぁ」
「なんだよ ケチ 俺何でも知りたいし出来るようになりたいんだ」
「いっぺんに知らない方がいいこともあるよ
それより一つ覚えておけ
困った時どうしていいか分からない事があったら その御守りに聞くのだよ」
「御守りが教えてくれるの?
そんなわけないじゃん」
「教えてくれるよ
じじいが嘘ついた事あるか?」
「あるよ 年中だよ本当の事言ってる方が少ないよ
でもさ
つまんない嘘はつかないよ みんなが愉快になる嘘さ
だからさ教えてくれるとは思わないけど何か意味があるんだと思うよ」
「ひゃーはっは
手厳しいなぁでもお前は良く分かっておるなぁ」
「嘘ついてるヤツは分かるよ
そういうヤツは自分の都合のいいようにいいように持って行こうとするからさ」
「じじいはどうだ?」
「じっちゃんがやることは全部誰かの為だよ」
「そうか…そう思ってくれとるのか〜」
トボトボ歩くゴクラクサイの衛星の様に周りをまわり 時々顔を覗き込んだり
アキヨリはリッカといる時とは打って変わり非常に子供らしかった
「ゴクラクサイ様アキヨリ!」
二人の名を呼んだのはアキマサであった
その横にはリッカが今にも泣き出しそうにうつむいて立っていた
「リッカ!どうした?何かあった?」
アキヨリは我を忘れてリッカに駆けつけ顔を覗き込むとリッカは一言だけ
「お山が呼んでるの…」
そう応えたきり口を固くつぐんでしまった
さらに一言でも言葉を発すれば堪えていたものが溢れ出してしまうのだろう
「そうかぁ残念だぁ
リッカ仕方ない帰ろうかぁ」
「えっ⁈何で⁈そんなのないよ!
俺にも分かるように教えてよ!」
取り乱したアキヨリの肩をアキマサが力強く押さえ付けるように両手で掴んだ
「リッカ殿が堪えているのだ
お前が取り乱してどうする
訳は後々話して聞かせる
送って差し上げろ国境まで行ってよい
帰りはいつになっても良い
分かったな」
「わかんないけど分かったよ
兄上!わかんないけど分かったよ!」
「すまねぇなあアキヨリよ
また来るからなぁ」
「ゴクラクサイ様 護衛の者を準備させましたアキの国までお連れ下さい」
「いいよぅかえって目立って物騒だよぅ」
「このアキマサの面目を立ててやって下さい
シジマ家の大恩人に万が一があっては拙者が腹を切るだけではすみません」
「だったらアキヨリを連れて行く」
「ゴクラクサイ様!」
「悪かったよぅ怒るなよアキマサ
でもいつか貰いにくるぞ」
「渡しませんアキヨリはシジマの宝です」
二人が冗談混じりのアキヨリ争奪戦を繰り広げていると甲高い声が割って入った
「アキマサ様ー!準備整いましたーいつでも出発できまーす」
みながタキの声に気を取られていると
アキヨリの手を握る手があった
振り返ると無理に作ったリッカの笑顔があった




