炎のルーツ
「うわぁぁ⁈
なんだこれ!
じっちゃんがやってるの⁈
俺と同じ技⁈
じっちゃんも俺と同じ⁈」
「そうだよ シラセ ナガヨリと名乗っていた頃はこの力で戦にも出とった」
「知ってる じっちゃんは凄い侍だったって大お祖父様から聞いた」
「へっへっへ そんな事はどうでもいいんだよ
このお方は知ってるか?」
ゴクラクサイが指を振ると二人を取り巻いた炎が揺れながら集まり
古の装束の人の形になった
「すげー!すげー!どうやってやるの⁈
オオクニヌシだ知ってるよ神話の時代の出雲の大王だよ!」
「うん うんオオクニヌシはヤマトの神々と戦ったなぁ
まぁ神様って言ったって強大な軍事力を持った 要は人間だぁよ」
「うん でも結局は国を明け渡して出雲大社に祀られたんだよね」
「何でヤマトの軍勢は強かったのだろうなぁ?」
「兵力じゃないかなぁ?それと戦術かなぁ?」
「もちろんそれもあるが
何と言っても鉄だぁよ優れた鉄を作る技術で優れた武器を作れたんだよ」
「そうなんだ鉄かぁ
で じっちゃん頼み事と鉄がどう関係あんの?」
「俺と同じ力を持つお前にしか頼めない事なんだ」
急にゴクラクサイの口調が変わった事にアキヨリが驚いて
炎で出来たオオクニヌシから目を移すと別人のように凛々しく若く見え恐怖に似たものさえ感じた
「鉄を作るには高い温度の炎が必要だよな
俺達の力は鉄の精錬技術を渇望したオオクニヌシつまり出雲の人々が身に付けた力なんだ」
「しっ知らなかったよ
でもさ そんなに上手く操れるんなら 俺に頼む事なんかないじゃないか」
「お前は俺よりずっと大きな力を秘めている
それに俺はもう永くは生きられないだろう」
「なんだよ そんなに元気じゃないかよ
そんな事いうなよ!」
「いいから良く聞けここからが本題だ
リッカから御守りを貰ったな
それを手に掴んでみろ」
「こう?」
アキヨリが白い玉を右手で掴むと
指の間から僅かに光が漏れた
しかし余りに朧な光だった為アキヨリは気付く事は無かった
「アキヨリお前にリッカを託す」
「へっ⁈」
アキヨリが間の抜けた返事をしたのは一瞬目の前が真っ白になったからで
気を取り直し目の前の様子に目を凝らすと元の老人らしい老人が座っているのが見えた
「なんだ!今の!じっちゃんがやったの⁈」
「何のことだぁ?
それより昼飯にしようかぁ
朝あんなにうまかったんだぁ期待するなぁ」
「えっ⁈昼飯⁈何言ってんのじっちゃん!俺朝飯まだなんだよ」
「いいから行くぞぅ」
またゴクラクサイに肩を掴まれ小屋の外に出ると
太陽は天空の真上に位置して夏の日差しを放っていた
「どっどっどうなってん⁈」
「これでもう思い残す事は無い
最後の仕事をやるだけだ…」
大幅に取り乱したアキヨリにはシラセ ナガヨリのつぶやきは勿論聞こえることは無かった




