乙女の好機
「ヨリや気に病むでない
遅かれ早かれああなっていたのだ」
「大御祖父様 教えて下さい
俺はどうすればよいのです
この力を使えば乱れた世の中を最も少ない犠牲で治める事が出来るのではなかったのですか
俺には却って多くの人々を殺してしまうように思えます」
「使い方しだいだ 古の将軍ヨリトモの弟ヨシツネは知っているだろう?」
「はい存じております
炎を操る力で火の山を操り 初めてこの日の本を統一した英雄です」
「そういう事になっておるがな
ヨシツネは功を焦るあまり火の山の封印を次々と解いてしまったのだ
そのせいでこの日の本は人の住めぬ灼熱地獄となってしまった」
「そんなことが
それでヨシツネは兄ヨリトモに討たれたのですか」
「そうだ 大き過ぎる力は使い方を誤れば破滅を招く
良く使えば人々の幸福となる事が出来る」
「肝に銘じます
しかしなぜ今は溶岩を吹き上げる火の山は一つも無いのですか
何故日の本の人々は死に絶えなかったのですか」
「火の山の怒りを鎮める為に多くの人々が犠牲になった
お前の力と対をなす力を持った者達だ
ヨリトモを筆頭に冷の力を持った者達は仲間の屍を乗り越え次々と火の山を封印して行ったそうだ」
「俺に出来るでしょうか
俺は仲間を侮辱されるとすぐに我を忘れ怒りに身をまかせてしまいます
俺はヨシツネのようになってしまうのではないですか
またこの国を地獄に変えてしまうのではないですか!」
「その心忘れなければ大丈夫だ
それに火の山の封印は強固な物だ
強い力を持った守人もおる
過去の過ちに学べば恐れることはない
儂はな天がお前を選んだのだと思う
お前ような優しい心を持った者だからこそ その力与えたのだ
だがそれ故に辛かろう
ほれっ近こうもっと近こうに」
「大御祖父様…」
「おじいさまって あんまりじゃありませんか?
私まだ二十一の花盛りですわ」
「えっ⁈リッカ!何をしておる!」
アキヨリはリッカの腕の中で目を覚ました
また長い間眠っていたようだ
この屋敷で初めて目を覚ました部屋だ
土間にはリヨウとアクヤの姿もあった
「だって寝顔が可愛らしいのですもの」
「馬鹿者!俺は落武者ぞ許婚の約束はシジマ家あってのものだろう」
「あら 私は侍など大嫌いです
初めてお会いしたあの時申し上げたはずです
約束はあなた様アキヨリ様個人といたしたのです
ご理解いただけておりませんでしたか?」
「だからといって!」
「うふふ
大体あなた様から私の元に来て下さったのですよ
約束の事はあなた様の気が済むまでお待ちいたします
うふふ
これくらいの事て大騒ぎして
うふふ
ねぇアキヨリ様あの…」
「なんだ⁈」
「あの奥方様は…あなた様は武家の御曹子
正室の方はいらっしゃるのでしょう?」
「おらん!妻などまだ娶ってはおらん!」
「本当に⁈うへへへ」
「なんだというのだ!」




