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六角の花   作者: フミ
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運命は引き留める

馬小屋の天井

ここ数日間アキヨリはそればかり見ている

アクヤとリヨウに寄り掛かって馬小屋の中で一日中何をするわけでも無く

朝晩タキ達の元に弔いに行く以外はゴロゴロしていた


リッカの屋敷にはかつて行商の為馬を飼っていたのだが

今は商人が買い付けにくるので飼ってはおらず馬小屋は空になっていた

三者はそこに寝泊まりしていた


元服前後のアキヨリは屋敷の中で寝ることは少なく馬や犬そしてリヨウと寝食を供にしていた

そのせいもあってそうする事が一番落ち着き安心出来るのであろう


リッカも戸惑ったがどうしても屋敷に入れなどと無理強いはしなかった

アキヨリは負けない強く信じていた


リッカの方も急いで仕上げなければならない作品があるらしく食事を持って来る以外は現れなかった

だがそれで良かった

一人になりたかった


ゴロゴロしてはいるが戦っているのだ

己の中に混在する生きたいという希望と死ぬべきと言う憧れが戦っているのだ

孤独な戦いだが人の手は借りられない

借りてはいけないとも思っていた


だが実際はそんな勇ましい様子は殆ど無く二人の兄の形見の脇差しを目にしてはメソメソしていた


そんな繰り返しを二月も過ぎるた頃だろうか

アキヨリは大きな炎の気配を感じた


「ああ いよいよ出来上がるのだな…」


そう思っただけでどんな作品が出来上がるのかなど興味を持てなかった

ただ懸命に働くリッカ達に申し訳ない気持ちだけは次第に高まってきた

落ち武者をかくまってくれているのだそれがどんなに危険な事か


「やはり出て行くべきだろう」


窯に火が入ってから三日目そろそろ作品が焼き上がり

皆の手が空けば気の良いリッカ達の事だ何かと気を使って自分を一人にはしてくれないだろう


今の内だ 自分の生きる道を見つけ

たら必ずまた会いに来る

書き置きを残しアクヤに跨ろうとした時 ゲンがこちらに走って来るのが見えた


「なんと間の悪い」


ゲンにはすまない事をしたことがある

行くなと止めてくれたゲンに怪我をさせてしまった

屋敷に戻っていの一番に頭を下げ謝ったが ただ満面の笑みだけで応えてくれた


このまま走り去るのは余りにも忍びない


「またの機会にするか

どうかしたのかゲーン!」


「アギーアギー!!

リッガがぁ!リッガがぁ!」



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