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六角の花   作者: フミ
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リヨウ

武士の道 そして数珠の誓いに照らし合わせるなら戦地に駆けつけこの命を使い切る

アキヨリが今の赤く黒い絶望の渦から逃れるたった一つの手段である


しかし兄は生きろと言う


嬉しい


生きていていいのだ


一瞬そう思った自分が心の底から許せなくなり 次にこの先に生きて行ってこの罪悪感 劣等感 疎外感を全て背負って天寿を全うする

そんな凍り付くような想像を巡らし あまりの絶望に泣くのもやめフラフラと立ち上がった


顔の表情を作り出す筋肉は一つとして機能していない


反射的にアクヤの蹄の音に振り向いたが何が見えているわけでもない


「あっ!アキ…」


アクヤにしがみつくリッカの目に映ったアキヨリが彼女の心に引っかかった重い何かを払い落とした


アキヨリの名を大声叫びたい激しい衝動に駆られたが彼の顔を見て後ろから肩を掴まれたように押しとどめられてしまった

幽鬼という言葉が脳裏に浮かんでしまったのだ


アクヤもただならない気配を感じアキヨリの前に立ちはだかる様に川原の砂 小石を撒き散らせ止まった

リッカを慣性の力が襲い馬上に留まる事を許さなかったが その力でアキヨリに飛び付いた


アキヨリは簡単に倒れてしまいリッカは体をひねり自ら下敷きになろうとしたが上手くいかず 二人はもつれるように川原の砂を浴びた


「アキヨリ様!何があったのですアキヨリ様!アキヨリ様!」


リッカの声を聞く前聞いた後アキヨリの状態は何も変わる事は無かった


「アキヨリ様!アキヨリ様!」


揺すっても叩いても変わりは無い

その様子を見て業を煮やしたリヨウがくちばしをアキヨリの脳天にみまった


「リヨウちゃん何をするの!」


「なぜ知っている」


「あっ!アキヨリ様!」


「なぜ知ってる」


「えっ何をです?」


「リヨウの名だ」


どんな状態にあってもアキヨリの感性は違和感に敏感だった

それが数々の危機から彼を救ってきたのだ


「リヨウのリの字はリッカのリ!

リヨウのヨの字はアキヨリのヨ!

リヨウのウの字は生まれたてのう!

思い出して下さいましたか⁈

今度はリッカがあなたを守ります!

この腕は絶対はなしません!」


アキヨリの目から再び涙が溢れ出した



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