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六角の花   作者: フミ
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翼無き者 空を見上げて

皿 壺 花瓶 そしてひときわ目を引くこの茶碗

見事な作品群越しに庭に積った雪を見ては皿 花瓶を見ては雪 雪を見ては茶碗

全て白い釉薬が使われた作品で目に映る色といえば白 白 白だったが

同じ作品でも見る度新たな発見があり

そうして日がな一日過ごしても少しも飽きる事は無かったが

アキヨリの心は少しも晴れることは無かった


右足が膝から下が痺れたように全く動かない

引きずるように歩けはするが戦場で今までの様に武勇を発揮出来るとは到底思えない


落伍者 取り残された者 自分にそんな烙印が押されたように感じられる

壊す殺すそれ以外に自分の価値を見出せ無い事に始めて気が付いてしまった


それに比べリッカはこんな素晴らしい焼き物を作れる

聞けば自分と同じ二十一歳だと言う

そのリッカも二日前の窯入れから殆ど相手をしてくれない

窯に火を入れてから三日三晩目を離せ無いらしい


登り窯というその窯はリッカの屋敷の裏の山の斜面にあった


かまくらの様な形の窯が四つ斜面に沿って繋がって奥に行くにつれ高くなるよう作られており


横から見ると巨大なイモムシが山の斜面に横たわっているように見えた

そうすることで熱が効率良く循環するのだそうだ


父の弟子達と手を取り合って

窯の中に焼く前の作品を並べ蒔を敷き詰め

実に段取りよく無駄なく働く姿は容姿とは関係無く美しかった


アクヤに咥えられ宙吊りになりながら作業を見ていたアキヨリは

羽化出来なかった蝉の幼虫が空を見上げる気持ちとはこういう気持ちではないか

リッカが自分とは別世界に生きる崇高な存在に自分は酷く卑しく思えて仕方なかった


自分もこんな仕事がしたい生き方がしたい

壊す殺すではなく作る生み出す生き方がしたい


「もう遅いもう遅いんだ」


自分に言い聞かす様につぶやき首の数珠を握り締めた


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