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六角の花   作者: フミ
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猪武者

アクヤは歩きだした

すべて納得したように諦めたように二度と振り返りはしなかった


自分の体力が命が女の導く所までもつかどうかそれだけだった


女がこの寒さの中汗をかいている理由が分かったからだ


女のかざした提灯の灯りでぼんやりだが見えた

皆衣服を整えられ胸の前で手を合わせているようだった

馬達もアクヤと同じように吐き戻した者もいただろうが汚れた様子は微塵もなかった


女は徐々に回数は減っていったが時々足を止めるほど咳込みその度深呼吸した

彼らほどではなかったが火山性の有毒ガスを吸い込んでいたのだ


取り残された者達の視点からアクヤと女の姿は吹雪にかき消されもう見えなくなってしまった



その頃アキマサはトミナリ城を落とし城主ナリモトを捕らえていた


元々食料の尽きていたトミナリ城は三つの支城とは逆に抵抗らしい抵抗は無く

呆気なくナリモトの投降という形で攻城戦は幕をひかれた


シジマ軍本陣のアキマサの元にナリモト始め重臣達が拘束され引き出された


「儂は信仰上 腹は切れん

シジマ アキマサ 男と見込んで頼みがある

総大将である貴公に首をはねてもらいたい!」


やはり異国の神を信仰するナリモトがアキマサの顔を見るなり言い放った

覚悟を決めた淀みない物言いだが酷く話しずらそうだ 饑餓状態が続いた為だろうか それとも病にかかっているのか


「わかり申した しかしその前に聞くべき事がある

サナガ ジョスイは何を企む

いつから繋がっておった」


「ジョスイなどとは繋がっておらん!

ただ我らが神に従ったまで 故にあやつがなにを企むかなど知らん!」


嘘をついているようには見えなかった

ただいいようのない不気味さ得体の知れなさを全身から漂わせていた


「あい分かった ジョスイに直接聞く事にいたす

覚悟はよろしいか!」


アキマサが立ち上がり太刀を引き抜くと隣にいたイエナガの腕が行く手を阻んだ


「兄上ここは拙者が

ナリモト!俺では不満などと申すなよ!」


「不満だ!猪侍などに首を切られたとあっては肥溜めに落ち溺れ死んだと同じ事だ!」


ナリモトの異様な雰囲気に薄ら寒いものを感じとり

アキマサ不在の刑場に連れて行き首をはねようと思っていたイエナガだったが


「それでは望み通り貴様の首 肥溜めに落としてくれるわ!」


頭に血が上ると慣れない動作は難しいが体に染み付いた動作は数段早くなる

ナリモトの首に太刀を振り下ろすイエナガの一連の動作は閃光の如くであった


宙を飛んだ首が笑うと辺りを実際の閃光が包んだ


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